スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 1 人員に関する基準 (1) ⑥〜⑧

童発達支援の人員基準ポイント解説:重症心身障害児対応・単位の考え方・管理責任者の専従規定


記事の概要:
児童発達支援における人員配置基準の重要ポイントを解説します。特に、重症心身障害児(重い肢体不自由と重い知的障害が重複したお子さん)を受け入れる事業所の場合のスタッフ配置、サービス提供の「単位」の考え方、そして児童発達支援管理責任者(以下、管理責任者)の役割と兼務禁止について、やさしくシンプルに説明します。

▶︎ 児童発達支援 関連記事まとめページはこちら

重症心身障害児対象の事業所における機能訓練担当職員の配置

重症心身障害児を主な対象とする指定児童発達支援事業所では、通常の職員に加えて機能訓練担当職員(リハビリを行うスタッフ。例:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)を配置することが義務付けられています。この機能訓練担当職員は、日常生活に必要な機能訓練(リハビリ)を提供する重要な役割です。ただし、規定では「機能訓練を行わない時間帯」については、この職員を配置しなくてもよいとされています。つまり、リハビリを実施していない時間帯は常駐の必要はありません。しかし注意が必要なのは、事業所として機能訓練担当職員自体は必ず確保しておかなければならないという点です。あくまで訓練を行っていない間は不在でも構いませんが、必要なときに適切な機能訓練を提供できるよう、一人以上雇用しておく必要があります。利用児童の日常生活に支障が出ない範囲でのみ不在を認める趣旨であり、「最初から配置しなくてもよい」という意味ではないので気を付けましょう。

児童発達支援における「単位」と人員配置

児童発達支援における「単位」とは、同じ時間帯に一体的(ひとまとまり)に提供される支援のグループのことを指します。分かりやすく言えば、同時にサービスを行っている一つのクラスやセッションが1単位です。例えば、午前と午後で別々の子どもたちに支援を提供する場合、午前の部と午後の部はそれぞれ別の1単位として扱われます。そして各単位ごとに定められた人数の職員を配置する必要があります。午前と午後で利用者が入れ替わるケースでは、それぞれの時間帯(単位)ごとに必要なスタッフ数を満たすことが求められます。ただし時間帯が分かれて提供される場合、同じスタッフが続けて担当することも可能です。

一方、一つの事業所で同時に2つ以上の単位を運営する(例えば、別々の部屋で2グループの療育を同時並行で行う)場合は注意が必要です。この場合、同時稼働する単位の数だけ、常勤の職員(管理責任者以外)が必要になります。つまり、同時に二つのクラスを動かすなら、その時間帯にそれぞれ担当の常勤スタッフを配置し、一人の職員が二つの単位を兼ね持つことはできません。以下に例を示します。

サービス提供の形態必要な児童指導員等の配置
午前と午後でそれぞれ10名の児童を支援(時間帯を分けて実施)2名(各単位ごとに1名ずつ配置。※同じスタッフが両方担当可)
同じ時間帯に2グループ・各10名の児童を支援(同時に2単位を実施)4名(各単位ごとに2名ずつ配置。合計4名の職員が必要)

要するに、サービスは単位ごとに人員基準を満たすよう運営し、複数の単位を同時進行するときはその分だけ独立したスタッフが要るということです。

児童発達支援管理責任者は他の職務と兼務できない

児童発達支援管理責任者(管理責任者)は、個別支援計画の作成や提供したサービスのモニタリング・評価など、事業所で非常に重要な役割を担うスタッフです。法律上、児童発達支援事業所の職員は原則として専従(専門の職務に専念すること)が求められており、一人の職員が複数の異なる職種を兼務することは認められていません。したがって、管理責任者についても直接支援を行う児童指導員や保育士とは別の職員を充てなければなりません。同じ人が管理責任者と現場の指導員を兼ねることはできないということです。この規定は、管理責任者が支援計画の立案・評価を客観的な立場で行えるようにするための配慮です。現場で子どもと関わる役割と、計画を管理する役割を分けることで、公平で的確な支援を提供する狙いがあります。現実的には、小規模事業所などでは人材確保の都合で管理責任者が現場支援を手伝う場面もあるかもしれません。しかし、その場合でも管理責任者は人員配置上、児童指導員等としてカウントできず、形式上も別の職務として扱われます。人員基準上は必ず管理責任者専任の枠を用意し、直接支援スタッフとは別に配置することを覚えておきましょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 機能訓練担当職員の配置義務:重症心身障害児を受け入れる事業所では、機能訓練担当職員を一人以上配置する必要があります(リハビリを行わない時間帯のみ不在でも可)。
  • サービスの単位ごとの人員配置:支援提供は1単位(同一時間帯に一体的に行うグループ)ごとに人員基準を満たす必要があります。午前・午後で別々に提供する場合もそれぞれ別の単位として人員を配置します。同じ時間帯に複数単位を運営する場合は、その単位数と同じ数だけ常勤スタッフが必要です。
  • 管理責任者は専従が原則:児童発達支援管理責任者は他の職務(児童指導員や保育士など)と兼務できません。必ず専任の管理責任者を置き、直接支援スタッフとは分けて配置しましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。