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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 1 人員に関する基準 (3) 

童発達支援の管理者は他の職務を兼務できるか?


記事の概要:
児童発達支援事業所を運営する上で欠かせないのが管理者の配置です。本記事では、2024年の指定基準改定に伴う解釈通知に基づき、管理者が他の職務を兼務できる条件(基準第7条)についてやさしくシンプルに解説します。

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児童発達支援における管理者について

児童発達支援事業を始める・運営する際、管理者の要件は非常に重要です。管理者とは、施設の運営や職員のマネジメントを担う責任者で、各事業所に1名以上配置しなければなりません。その管理者について、児童福祉法に基づく指定基準(基準第7条)では、原則として「専ら当該事業所の管理業務に従事する」、つまりその事業所の管理に専念すべきことが定められています。平たく言えば、管理者は基本的に他の仕事を掛け持ちせず、事業所の運営管理に集中するのが原則です。

しかし、現実には小規模な事業所などで、管理者が他の役割もこなさなければ運営が難しいケースもあります。そこで基準第7条のただし書きでは、管理業務に支障がない場合に限り、管理者が他の職務を兼務することが認められています。解釈通知では、具体的に次の2つのケースが例示されています。

管理者が兼務できるケースと条件

ケース1: 同じ事業所内で他の職務を兼務する場合

管理者が当該児童発達支援事業所の従業員として、別の職務(例えば児童指導員や事務など)を兼ねるケースです。小規模事業所では、管理者が現場で子ども達の支援に直接関わることもあるでしょう。この場合、管理業務に支障が出ない範囲であれば兼務可能とされています。つまり、現場業務を行いつつも、利用者の安全管理や職員への指示といった管理者としての役割がきちんと果たせている限り、問題はないということです。

ケース2: 他の事業所や施設の職務を兼務する場合

もう一つは、同じ事業者(運営法人)が設置する別の事業所や施設で、管理者または従業員としての職務を兼務するケースです。例えば、A事業所の管理者がB事業所のスタッフも務めるような場合です。この場合は特に注意が必要で、以下の条件を満たすことが求められます。

  • 不在時でも適切な管理: 管理者が他の事業所で勤務している時間帯でも、元の児童発達支援事業所で何かトラブルや緊急事態が発生した際に、適時かつ適切に状況を把握できる体制であること。また、その状況下でも元の事業所の職員へ的確に指示・指揮が行えること。
  • 緊急時の迅速な対応: 事故など緊急時の対応フロー(手順)を事前に定めておき、必要に応じて管理者本人が速やかに現場に駆け付けられる体制を整えておくこと。

これらの条件を満たして初めて、「管理業務に支障がない」と言えます。逆に言えば、一人の管理者にあまりに多くの事業所を掛け持ちさせたり、遠方の事業所を兼務させたりすると、いざという時に駆け付けられず管理がおろそかになる可能性があります。そのような場合、行政から「管理業務に支障あり」と判断されるおそれがあるため注意が必要です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 管理者は基本的に事業所に専念させる: 児童発達支援事業所には各所に1名の管理者を配置し、原則としてその事業所の運営管理だけに従事させることが求められます。
  • 他業務の兼務は管理に支障がない場合のみ: 管理者に現場業務や他施設の業務を兼務させる場合は、「管理業務に支障がない」ことが絶対条件です。客観的に見て問題ない体制を整えてから兼務させましょう。
  • 緊急時対応の体制づくりが重要: 複数事業所を兼務させる場合は、事故など緊急時に管理者がすぐ駆け付けて指揮できるよう、あらかじめ対応手順や代行ルールを決め、万全の体制を整備しておきましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。