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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 2 設備に関する基準

童発達支援の設備基準(指定基準)をやさしく解説


記事の概要:
障害のある子どもたちのための支援施設を運営・計画する上で欠かせない、「どんな設備が必要か」「建物や場所の条件」「特別な場合の対応」について、公式な解釈通知をもとにやさしくシンプルにまとめました。

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通常の指定児童発達支援事業所の設備基準(基準第9条)

まず、「指定児童発達支援事業所」(児童発達支援センターではない通常の事業所)とは、児童発達支援を行うために必要な設備や備品を備えた場所のことです。原則として1つの建物には1つの児童発達支援事業所しか設置できません。

ただし例外として、障害のあるお子さんの利便性を考慮し、既存の施設を活用して出張サービスを提供する場合があります。このような場合、その出張先の施設も自分の事業所の一部とみなされ、そこでの設備も含めて設備基準を満たす必要があります。

児童発達支援センターの設備基準(基準第10条)

児童発達支援センターとして指定を受ける事業所には、上記の通常事業所と異なる追加の設備基準が定められています。もともと児童発達支援センターには省令の設備基準(旧設備運営基準第62条)で定められた設備を備える必要があり、この内容が指定児童発達支援事業所(センターの場合)にも適用されます。簡単に言えば、センターには療育に必要な専用のスペースや備品(例:観察・訓練室、相談室、医務室など)が求められるということです。

さらに、児童発達支援センターで肢体不自由のあるお子さんに治療的な支援(リハビリ等)を提供する場合には注意が必要です。その場合、先ほどのセンター用設備に加えて、医療法に定める診療所(クリニック)として必要な設備も整えなければなりません。医療ケアを伴うリハビリを行うなら、福祉施設であっても医療機関レベルの設備基準を満たす必要があるという意味です。

また、児童発達支援センターでは設備の兼用が認められる点も覚えておきましょう。基準第10条第4項では、センターの必須設備について、併設する他の社会福祉施設(例えば同じ建物内の保育園など)の設備を兼ねて使うことができると定めています。つまり、保育所と児童発達支援センターが同じ場所にある場合、一部の部屋や設備を共有し、両方の施設の基準を同時に満たす形で活用できるようになりました。

なお、2024年の改正に伴い経過措置も設けられています。旧来の「医療型児童発達支援事業所」については当分の間、従来の基準(旧基準第58条)を適用してよいことになっています。また、2024年4月1日時点で指定を受けていた難聴児通所の事業所や重症心身障害児通所の事業所についても、当分の間は新たな設備基準第10条ではなく旧基準第10条に基づく運営が認められます。これらの施設は、現行の基準にすぐには合わせられない事情があるため、一定期間は旧基準での運用が許容されています。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 原則「一建物一事業所」 - 児童発達支援事業所は基本的に1つの建物に1事業所です。同じ建物に複数の事業所を構えることはできないので、計画段階で注意しましょう(スタッフが外部施設に出向いてサービス提供する場合は例外的に可能)。
  • センターには追加設備が必要 - 児童発達支援センターを開設する場合、通常の設備に加えてセンター専用の設備(例:医務室等)が求められます。さらに、肢体不自由児への治療を行うならクリニック並みの医療設備も整えなければなりません。
  • 設備の共有・柔軟な運用 - 児童発達支援センターでは、併設する他の福祉施設(例:保育園)と設備を共有することが認められています。同じスペースを有効活用しながら双方の基準を満たす工夫が可能です。また、旧来の事業所形態には経過措置が設けられており、一定期間は旧基準で運営できます。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。