児童発達支援の利用定員と利用者への説明義務
記事の概要:
本記事では、解釈通知にて述べられている「利用定員の下限」や、サービス開始時の重要事項の説明と同意に関する義務について、わかりやすく説明します。難解な行政通知の内容を、やさしくシンプルにまとめています。
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利用定員の下限とは?(基準第11条)
指定児童発達支援事業所には、利用定員の下限が定められています。これは、事業を安定的かつ継続的に運営し、専門性の高いサービスを提供するために必要な基準です。原則として、10人以上の定員が必要とされています。ただし、主として重症心身障害児を通わせる事業所(児童発達支援センターを除く)については、例外的に5人以上の定員でよいとされています。
なお、「利用定員」とは、その事業所が1日に設置する全てのサービス提供単位(時間帯など)に設定された定員数を合計した最大数のことをいいます。例えば、午前中に5人、午後に5人の児童を受け入れる場合、それらの合計である10人が「利用定員」となり、基準を満たします。
サービス提供前の説明と契約時の手続き義務(基準第12条)
児童発達支援のサービスを開始するにあたり、事業者には利用申込者(保護者)への説明と同意取得の義務があります。まず、サービス利用前に運営内容や手続きについての重要事項を利用者に事前に説明し、理解してもらう必要があります。説明すべき内容には、事業所の運営規程の概要(どのようなルールで運営されているか)、従業員の勤務体制(スタッフ配置の状況)、万が一事故が起きたときの対応方法、苦情受付の体制(クレームや相談にどう対応するか)、提供するサービスの第三者評価の実施状況(外部評価を受けているか、その最終実施日や評価機関名、結果の公表状況)など、利用者が施設選択する上で必要な重要事項が含まれます。これらの事項を、障害のあるお子さんの特性にも配慮しながらわかりやすい言葉や資料(説明書やパンフレット等)で丁寧に説明します。そして、当事業所のサービスを利用することについて、保護者の同意を得なければなりません。この説明と同意は双方の保護にもつながるため、書面で確認しておくことが望ましいでしょう。
次に、利用者との契約締結時の手続きについてです。サービス利用契約が成立した際には、法律(社会福祉法第77条)に基づき、契約内容を書面で交付しなければなりません。具体的には、契約書またはそれに準ずる書面に以下の5つの項目を記載して、利用者(保護者)に交付します。
以上の項目を記載した書面を必ず利用者に交付します。なお、利用者(保護者)の承諾がある場合には、この書面の内容を紙ではなく電子データ(メールや専用システム等)で提供することも認められています。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 利用定員は原則10名以上: ただし、重症心身障害児を主に受け入れる事業所に限っては、5名以上でも可とされています。施設種別や対象児の状況に応じて、自事業所がどちらに該当するかをしっかり確認したうえで、事業計画を立てましょう。
- 重要事項の事前説明:サービス開始前に運営ルールや事故対応など重要事項を分かりやすく説明し、保護者から同意を得ることが必須です。
- 契約書面の交付:契約時には事業者情報、サービス内容、利用料、開始日、苦情窓口の5項目を記載した書面を利用者に交付しましょう(電子交付も可能)。
【免責事項】
