児童発達支援の取扱方針（基準第26条）をわかりやすく解説
記事の概要:
児童発達支援の運営に関する取扱方針（児童発達支援の指定基準第26条）ですが、ポイントは、支援が画一的にならず子ども一人ひとりに合わせた支援を行うこと、子どもの意思を尊重して最善の利益を確保すること、そして支援計画の内容充実と異性介助への配慮です。この記事では、これらの3つのポイントについて、やさしくシンプルに解説します。
▶︎ 児童発達支援 関連記事まとめページはこちら
個々の子どもに合った支援を提供する（基準第26条第1項）
児童発達支援では、支援の提供が漫然かつ画一的にならないようにすることが求められます。簡単に言えば、子ども全員に同じプログラムをただ何となく実施するのではなく、一人ひとりの障害の状況や発達段階、環境に応じて適切な支援を行う必要があるということです。例えば、ある子にはコミュニケーションの練習を中心に、別の子には感覚遊びを取り入れるなど、それぞれに合った方法で支援計画を組み立てます。国が示す「児童発達支援ガイドライン」や各自治体独自のガイドラインがあれば、それらを参考にして支援の質を高めることが望ましいとされています。こうしたガイドラインには効果的な支援方法や配慮点がまとめられており、事業者は積極的に活用すると良いでしょう。
子どもの意思を尊重し最善の利益を保障する（基準第26条第2項）
支援を提供する上で障害児の意思を尊重し、その最善の利益を保障することも重要な柱となっています。具体的には、児童発達支援計画（個別支援計画）を作成する際や日々の支援内容を見直す際には、子ども本人およびその保護者の希望や意向を丁寧に聞き取って把握し、可能な限りそれを尊重した支援を行う義務があります。たとえ幼い子どもであっても、好きな遊びや苦手な活動について意思表示できることがあります。年齢や発達の程度に応じて、その子なりの声を汲み取り、計画に反映させることが大切です。また、支援内容を決める際には「支援におけるこどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引き」という指針にも十分留意するとされています。これは、子どもの権利や意思決定支援の観点から具体的な配慮事項を示した手引きで、事業者はぜひ目を通しておきましょう。
子どもの意思を尊重した支援を行うことで、子どもの自己決定や自己表現の力を育て、自立した日常生活・社会生活への一歩につながります。例えば、活動内容を選ぶ場面で子どもに選択肢を与えたり、将来の目標（「小学校に入学したら〇〇ができるようになりたい」等）を一緒に考えたりすると、子ども自身が主体的に取り組みやすくなります。
支援計画の内容充実と異性介助への配慮（基準第26条第3項）
改定後の基準では、個別の支援計画に盛り込むべき事項が明確化されました。「支援上必要な事項」として定められているものには、支援の目標や内容だけでなく、行事や日課といった日々のスケジュールも含まれます。つまり、年間行事（遠足や季節のイベントなど）や1日の流れ（朝の会、散歩、制作活動、帰りの会など）についても計画に記載し、保護者と共有することが望ましいでしょう。計画に具体的な日課や行事予定が書かれていれば、支援が子どもにとって見通しの持てるものになりますし、事業所内でもスタッフ間で共通認識を持ちやすくなります。
さらに、異性介助への配慮も新たに示された重要ポイントです。異性介助とは、子どもと異なる性別のスタッフがトイレや着替えなどの身体的な介助を行うことを指します。基準第26条第3項の解釈では、「本人（子ども）の意思に反する異性介助が行われないようにする」ため、児童発達支援管理責任者（児発管）等が日頃から子どもの意向を把握し、それを踏まえて支援提供体制（スタッフの配置など）を整えるよう努めるべきとされています。例えば、小学校高学年の女の子が男性スタッフに身体介助されることへ抵抗や恥ずかしさを感じている場合、できる限り女性スタッフが対応する、あるいは男性スタッフしかいない場合でも事前に本人・保護者に説明し理解を得る、といった配慮が必要です。これは子どものプライバシーや尊厳を守る観点からも非常に大切な取り組みです。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 支援は子ども一人ひとりに合わせて提供すること – 漫然と全員同じメニューをするのではなく、各児童の発達段階や特性、環境に応じた個別支援計画を立てましょう。国や自治体のガイドラインも参考に、支援の質の向上に努めます。
- 子ども本人と保護者の意思を丁寧に汲み取り尊重すること – 支援計画の作成時や見直し時には、利用児童と保護者の希望をしっかり聞き取り、できる限り反映します。子どもの年齢や理解力に応じて意思表明の機会を設け、最善の利益を考慮した支援を心がけましょう。
- 支援計画の詳細と異性介助への配慮を忘れないこと – 個別支援計画には目標だけでなく日々のスケジュールや行事予定も盛り込み、具体的な支援内容を明確にします。また、子どもが望まない異性スタッフによる介助は極力避けるようにし、児発管を中心に子どもの意向を把握した上でスタッフ配置などに反映させましょう。
【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。
