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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 3 運営に関する基準 (15) ④〜⑦

童発達支援の新基準:5領域の総合支援と評価公表義務


記事の概要:
本記事では、児童発達支援の運営基準(基準第26条)の改正点をやさしくシンプルに解説します。ポイントは、支援内容を子どもの発達に必要な5つの領域を網羅したものにすること、サービスの質の評価を定期的に行い保護者からの評価も取り入れること、そしてその結果を公表して透明性を確保することです。

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5領域を含む総合的な支援の提供

まず、児童発達支援のサービス内容は子どもの成長に必要な5つの領域を全て含む総合的な支援でなければならないと定められました。具体的には、支援計画やプログラムに以下の5領域をバランスよく盛り込む必要があります。

  • 健康・生活:基本的な生活習慣の習得や健康管理を支援する領域です。
  • 運動・感覚:運動能力や感覚の発達を支援する領域です。
  • 認知・行動:考える力(認知能力)や行動面の発達を支援する領域です。集中力や問題解決力、望ましい行動習慣を育てます。
  • 言語・コミュニケーション:言葉の理解や表現、コミュニケーション能力を育む領域です。会話の練習や意思伝達の方法を支援します。
  • 人間関係・社会性:対人関係の築き方や社会性を養う領域です。集団遊び等を通じてルールやマナー、感情のコントロールを学びます。

これら5領域は相互に関連し、どれか一つだけでは子どもの発達をバランスよく支えることはできません。そのため、事業所の提供する療育プログラムが一部の活動(例:学習支援だけ、運動だけ等)に偏らず、包括的な療育になるよう求められています。今回の基準見直しによって、事業所は個別支援計画の作成時にも各活動がどの領域をカバーするか意識し、子ども一人ひとりに合わせた全人的な支援を提供することが強調されています。

サービスの質の評価と外部評価の推進

次に、事業所は自ら提供するサービスの質の評価を継続的に行うことが義務づけられました。自社内での点検(自己評価)はもちろんですが、第三者による外部評価の導入にも努め、常にサービスの質の改善を図る姿勢が求められます。つまり、「うちのやり方はこれで十分」と現状に安住するのではなく、外部の専門家や評価機関から客観的なアドバイスを受け入れることによって、サービス内容の見直しや職員のスキル向上に役立てようという考え方です。

外部評価は法令上は努力義務(任意)ですが、第三者の目を取り入れることで、利用者(子どもと保護者)にとってより良い療育環境を作り続けることが重要です。また、質の評価は一度きりではなく、定期的に計画→実施→点検→改善というサイクルで見直すことが大切です。

自己評価・職員評価と保護者からの評価の実施

質の評価と改善を具体的に進める手順も明確化されました。事業所は、まず施設の職員による内部評価を実施し、その結果を踏まえて管理者等が自己評価を行います。さらに、サービスを利用している障害児の保護者による評価(保護者評価)も受けなければなりません。保護者にはアンケート等を通じてサービスへの満足度や改善希望点など率直な意見を提供してもらうと良いでしょう。

複数の視点から評価し、改善点を洗い出してサービス向上につなげます。評価を行う際には、児童発達支援ガイドラインを参考にすることが望ましいとされています。ガイドラインには自己評価や保護者評価の項目例や実施方法が示されており、それに沿って評価を行えば漏れなくサービス内容を点検できます。また、各自治体が独自に作成している運営指針や評価シートがあれば、それらを参考にすることも差し支えありません。

評価結果の公表とフィードバック義務

最後に、評価を行っただけで終わらせず、その結果を公表する義務が課されました。具体的には、少なくとも年1回、先述の自己評価および保護者評価の結果と、それを受けて講じたサービス改善内容を取りまとめ、保護者に説明するとともに、インターネット等で公表しなければなりません。多くの場合、事業所のホームページに「自己評価結果」や「保護者アンケート結果」を掲載し、改善取り組みを報告する形になるでしょう。ウェブサイトを持っていない事業所でも、例えば事業所内に掲示したり、配布資料を用いて公表するなど、何らかの方法で公開する必要があります。

この公開により、保護者は事業所の取り組みを確認でき、信頼感につながります。評価結果の公表は透明性の確保と説明責任の実践につながります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 支援内容は5領域を網羅:児童発達支援のプログラムは「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域すべてを含むように計画し、子どもの発達をバランス良くサポートしましょう。
  • サービスの質を継続的に改善:職員による評価・自己評価・保護者評価を定期的に行い、必要に応じて外部の第三者評価も活用して、サービスの質の向上を続けましょう。評価の際は公式ガイドラインや自治体の様式を参考にすると効果的です。
  • 評価結果の公開で信頼性向上:少なくとも年1回、自己評価と保護者評価の結果および改善内容を取りまとめ、保護者への共有とインターネット上での公表を実施します。透明性のある情報公開によって利用者からの信頼を得るとともに、自社のサービスを客観視する機会にしましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。