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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 3 運営に関する基準 (24)〜(25) 

童発達支援における不正受給時の市町村通知義務と管理者の責務を解説


記事の概要:
令和6年(2024年)の制度改正により、障害児通所支援の運営ルールに重要な変更・追加が行われました。本記事では、その中から「不正受給発見時の市町村への通知義務」と「事業所管理者の責務」という二つのポイントに絞って、やさしくシンプルに解説します。

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不正受給時の市町村への通知義務(基準第35条)

まず、通所給付決定保護者とは、障害児通所支援(児童発達支援や放課後等デイサービスなど)の支給決定を受けている子どもの保護者を指します。簡単に言えば、サービスを利用する障害児の親御さんです。令和6年の改正により、この保護者が障害児通所給付費等を偽りや不正な手段で受け取っていた(不正受給)、または受け取ろうとしていた場合、指定児童発達支援事業者(サービス提供事業者)には市町村に速やかに通知する義務が課されました。通知の際には事業者として把握した状況や意見を添えて報告します。

この規定(基準第35条)の背景には、障害児通所給付費の適正な支給を確保する目的があります。児童福祉法の規定(法第57条の2)では、不正受給があった場合に市町村がその金額を返還請求できると定められています。そのため現場でサービス提供を行う事業者が不正を発見したら見過ごさず、遅滞なく市町村へ知らせることが求められるのです。これにより、不正受給の早期発見と、公平で健全な制度運営につなげる狙いがあります。事業者の皆さんは、万一そのようなケースに遭遇した際には速やかに市町村に連絡しましょう。黙っていると事業者自身が行政から指導を受ける可能性もありますので注意が必要です。

管理者の責務(基準第36条)

次に、指定児童発達支援事業所の管理者についてです。ここで言う「管理者」とは、その事業所全体の運営を統括する責任者(いわゆる施設長)のことです(※個別支援計画を作成する児童発達支援管理責任者〈児発管〉とは異なる役職なので混同に注意)。改正後の基準第36条では、管理者は事業所の従業員と業務の管理を一元的に行わなければならないと明記されています。つまり、事業所内のスタッフの労務管理や利用者対応の状況把握など、運営全般を一手に把握・管理する役割が求められます。

さらに管理者は、事業所の従業者に対し運営基準(ルール)を遵守させるための指揮命令を適切に行う責務があります(基準第36条第2項)。運営基準とは、例えば利用者への適切な支援提供や記録の整備、緊急時の対応策、職員の配置基準や研修の実施など、事業運営上守るべき具体的ルールのことです。管理者はこれらが現場できちんと守られているかを監督し、必要に応じてスタッフに指導・命令して是正する役割を担います。言い換えれば、サービスの質と法令順守の番人が管理者なのです。

今回の改正で管理者の責務が改めて規定されたのは、サービスの質の確保とコンプライアンス強化が重視されているためです。事業者・起業予定者の皆さんは、信頼できる管理者を配置し、その者が十分に役割を果たせる体制を整えましょう。また、管理者自身も日々現場の状況把握に努め、問題発生時には迅速に対処・報告できるようにしておくことが大切です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 不正受給の通報義務:サービス利用児童の保護者による障害児通所給付費の不正受給を発見したら、遅滞なく市町村へ報告する法的義務があります。見逃さず迅速に対応しましょう。
  • 管理者の一元管理:事業所には運営全体を統括する管理者(施設長)を置き、従業員の管理や業務の進捗を一括して把握・管理する必要があります。責任の所在を明確にし、安定した運営につなげましょう。
  • 運営基準の遵守徹底:管理者はスタッフに対し運営基準を守らせる指揮監督の責務を負います。緊急時対応や記録管理などルール遵守を徹底し、サービスの質と信頼性を維持することが重要です。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。