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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 3 運営に関する基準 (27) 後半

童発達支援事業者に義務化された職場のハラスメント防止策


記事の概要:
2024年の制度改正により、児童発達支援事業者は職場でのハラスメント(セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント)防止策を講じることが義務化されました。これは、職員が安心して働ける環境を整え、サービスの質を維持・向上するために重要な取り組みです。本記事では、新たに求められる具体的なハラスメント対策の内容とポイントを、やさしくシンプルに解説します。

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ハラスメント防止策の義務内容

児童発達支援の現場でも、職場のセクハラ・パワハラを防止する対策を取ることが法律上の義務となりました。男女雇用機会均等法や労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)の規定に基づき、事業規模に関係なくすべての児童発達支援事業者が対象です(小規模事業所も例外なく適用されます)。また、児童発達支援の指定基準(運営ルール)にもこの義務が規定されています。

具体的に事業者が講じるべきハラスメント防止措置として、特に重要なのは次の2点です。まず、「職場でハラスメントを行ってはならない」という事業所の方針を明確にし、職員に周知・啓発すること。例えば就業規則や社内掲示でセクハラやパワハラ禁止を明記し、研修やミーティングで徹底しましょう。次に、相談に応じ適切に対応するための体制整備です。あらかじめハラスメントや苦情を受け付ける相談窓口と担当者を決め、全職員に周知しておくことが求められます。職員が「困ったときに誰に相談すれば良いか」分かるようにしておくことで、万一問題が起きても早期に対処できます。なお、ハラスメントが発生した場合の迅速・適切な対応や再発防止措置を講じることも重要であり、これらも含めた総合的な対策が求められています。

保護者対応や障害児の行動にも配慮が必要

ハラスメント対策というと職員同士の問題に目が向きがちですが、児童発達支援では利用者の保護者など外部から職員へのハラスメントにも注意が必要です。保護者等による行き過ぎたクレームや暴言(いわゆるカスタマーハラスメント)が起きた場合、事業者は職員を守るために適切な対応策を検討しましょう。厚生労働省のパワハラ防止指針でも、顧客からの著しい迷惑行為への対策として、次のような望ましい取り組み例が示されています。

  • 相談体制の整備:保護者等からの苦情・嫌がらせについても職員が相談できる窓口や仕組みを設ける
  • 被害職員への配慮:精神的ケアの相談に応じる、不当なクレーム対応を一人に任せない等の配慮
  • 再発防止策:クレーム対応マニュアルの作成や職員研修の実施など、事業所の実情に応じた予防策

さらに、障害のある子ども本人による問題行動にも目を配る必要があります。例えば、障害児が感情のコントロールが難しく職員に対し暴力的な行動を取ってしまうケースです。このような場合、職員の就業環境が害されないように、事業者は職員からの相談に適切に対応できる体制を整備することが望まれます。同時に、子どもの問題行動が徐々に減っていくよう専門家に助言を求めたり、個別支援計画に反映したりするなど、子どもの成長発達につながる支援を行うことが重要です。

以下に、ハラスメントの種類ごとに事業者に求められる対応をまとめます。

ハラスメントの種類事業者に求められる対応内容
職場内(職員間)のハラスメント
(セクハラ・パワハラ)
義務:ハラスメント禁止の方針明確化・周知、相談窓口の設置、事後対応の徹底等
保護者等によるクレーム・嫌がらせ
(カスタマーハラスメント)
望ましい取組:相談体制の整備、被害職員のケア、マニュアル作成・研修実施等
障害児による職員への問題行動望ましい取組:職員からの相談対応体制整備、就業環境への配慮、子どもへの適切な支援

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • ハラスメント禁止の方針を明確化し周知する:職場でセクハラ・パワハラは許されない旨を就業規則などに明記し、全職員に周知徹底しましょう。
  • 相談窓口の設置と対応体制の整備:ハラスメントや苦情を受け付ける窓口と担当者を決め、問題発生時に迅速・適切に対応できる仕組みを整えましょう。
  • 保護者対応と子ども支援の両立:保護者からの悪質クレームや障害児の問題行動による職員への負担にも目を配り、職員のケアと子どもの適切な支援の両立を図りましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。