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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 3 運営に関する基準 (27) 前半

童発達支援の勤務体制確保とは?基準第38条のポイントを徹底解説


記事の概要:
児童発達支援事業を運営するには、スタッフの配置や働き方について守るべきルールがあります。その代表的なものが、運営基準第38条「勤務体制の確保等」に定められた規定です。この基準では、毎月の勤務表の作成、業務の外部委託の範囲、そして職員研修の機会確保についてのルールが示されています。この記事では、基準第38条の内容をやさしくシンプルに解説します。

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1. 毎月の勤務表で職員の配置を明確に

まず、事業所ごとに月ごとの勤務表(シフト表)を作成することが求められます。勤務表には、各従業者(スタッフ)の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別(フルタイムかパートタイムか)、そして管理者との業務関係(誰が管理者で誰がスタッフか、管理者とスタッフの役割分担など)が一目で分かるように記載します。例えば、以下のような形で勤務表を作成します。

  • 例:勤務表の一部(4月1日)
    • 管理者(施設長): 9:00〜18:00 (常勤)
    • 職員A : 9:00〜17:00 (常勤)
    • 職員B : 10:00〜16:00 (非常勤)

このように勤務表を整備することで、どの時間帯に誰が勤務し、どの役割を担っているかが明確になります。スタッフ間で情報共有がしやすくなり、保護者対応や緊急時の連絡体制もスムーズになります。また、行政から実地指導などが入った際にも、適切な人員配置を証明する資料として勤務表は重要です。勤務表は原則毎月作成し、必要に応じて見直し・更新することで、安定したサービス提供につながります。

2. 支援に直接関わらない業務は外部委託が可能

次に、業務の外部委託に関するポイントです。基準第38条第2項では、「指定児童発達支援は原則としてその事業所の従業者(自社スタッフ)が提供すること」と定めつつ、障害児の支援に直接影響を及ぼさない業務については第三者に委託してもよいとしています。言い換えれば、子どもたちのケアや発達支援そのものは自社の職員が担当すべきですが、それ以外の裏方業務はアウトソーシングしても構わないということです。

では、「支援に直接影響を及ぼさない業務」とは具体的にどのような内容でしょうか?例としては、施設の清掃や給食の調理、洗濯・リネン類の管理、経理・会計などが挙げられます。これらは子どもの発達支援のコア部分ではなく、業務を委託しても子どもへの支援の質に直接の影響が少ない作業です。たとえば、専門の清掃業者に施設清掃を依頼したり、ケータリング会社に給食の調理を委託したり、会計事務所に経理業務を任せたりすることが可能です。こうした委託により、職員は子どもの支援に専念でき、結果的にサービスの質向上にもつながります。

ただし重要なのは、あくまで「直接支援でない部分」に限ることです。子どもと触れ合ったり支援計画を実施したりする核心部分まで外部任せにしてしまうと、本来の趣旨に反します。外部委託を活用する際は、その業務内容が支援の補助的・周辺的なものであるか確認しましょう。また、委託先とも緊密に連携し、業務品質の管理責任は事業者側でしっかり果たすことが大切です。

3. 職員研修の機会を計画的に確保

最後に、職員の研修機会に関する規定です。基準第38条第3項では、従業者(スタッフ)の資質向上を図るために、研修の機会を計画的に確保するよう定められています。具体的には、外部の研修と事業所内での研修の双方に、職員が参加できるよう計画を立てる必要があります。

外部の研修とは、都道府県や研修機関(専門団体や資格研修など)が開催する講習会や研修プログラムのことです。例えば、障害児支援に関するスキルアップセミナーや、法令遵守・サービス向上に関する外部研修などが該当します。事業所内の研修は、自社で行う勉強会やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)、ケース会議を通じた情報共有などが考えられます。ポイントは、これら研修の参加機会を事前に計画して確保しておくことです。年度ごとに研修計画を作成したり、新人研修・定期研修の日程を予め組み込んでおいたりすることで、忙しい日常業務の中でも着実に研修を実施できます。

職員が継続的に知識や技術を磨けば、現場で提供するサービスの質も向上します。結果として、障害のある子どもたちへの支援内容が充実し、保護者からの信頼も高まるでしょう。研修への参加は事業運営上のコストや手間に感じられるかもしれませんが、長い目で見れば職員育成によるサービス品質向上に直結する重要な投資です。法律上も求められている事項ですので、計画的な研修機会の確保を怠らないようにしましょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 毎月の勤務表作成: 事業所ごとに月単位の勤務表を用意し、各従業者の勤務時間、常勤・非常勤の別、役職や管理者との関係を明確に記載しておく。
  • 外部委託の範囲: 子どもの支援そのものは自社職員が行い、清掃・調理・経理など直接支援に関わらない業務は専門業者への委託も活用できる。
  • 計画的な職員研修: スタッフのスキルアップのために、外部研修への参加や事業所内研修の機会を年間計画に組み込み、計画的に確保して実施する。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。