児童発達支援における「定員遵守」ルールの解説
記事の概要:
児童発達支援事業所を運営する上で知っておきたい重要なルールに「定員の遵守」があります。これは、事業所が役所に届け出た利用定員(1日に受け入れ可能な子どもの数)を原則として超えて障害児を受け入れてはいけないという決まりです。ただし、地域に他の受け皿がない場合などやむを得ない事情があるときは、一定の条件のもとで定員を超えて子どもを受け入れられる場合もあります。本記事では、この児童発達支援に関する定員遵守ルールのポイントをやさしくシンプルに解説します。
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定員遵守とは?
児童発達支援とは、障害のある未就学児を対象に通所で発達支援を行うサービスです。こうした指定児童発達支援事業所では、法律により届け出た利用定員を超えて子どもを受け入れることが原則禁止されています。例えば定員10人の事業所なら、通常は1日あたり10人までしか受け入れできません。定員を超えて受け入れれば指定基準違反となり、行政から指導や監査を受けるリスクがあります。
「減算されなければ問題ない」という考えは誤りです。定員遵守は減算の有無にかかわらず守るべき義務です。ただし、本当にやむを得ない事情がある場合には、例外として定員超過が認められる条件が定められています。
定員を超えて受け入れ可能となる例外条件
やむを得ない場合に限り、定員を超えて受け入れられる例外規定もあります。ただし、サービスの質を確保できることが前提で、本当にやむを得ない場合のみです。具体的な条件は次の2点です。
- 1日あたりの利用者数が事業所の定員の150%以内であること(定員が51人以上の大規模事業所は「定員 + (定員−50)×25% + 25」の人数以内)。
- 直近3か月間の累計利用者数が(定員×開所日数)の125%以内であること(定員11人以下の小規模事業所は(定員+3)×開所日数以内)。
例えば定員20人の事業所なら、1日の上限は「20×150%=30人」です(31人目から違反)。定員60人なら88人が1日の上限です(89人で違反)。以上の両条件を満たす場合に限り、「やむを得ない事情」があれば例外的に定員超過が可能です。
ただし、これらは緊急避難的な措置であり、常にこの上限まで受け入れてよいわけではありません。定員超過が長期間続けばスタッフの負担増やサービス低下につながる恐れがあります。行政も定員超過が常態化していれば指導に乗り出す可能性があります。
「やむを得ない事情」とは?
どのような場合が「やむを得ない事情」に該当するのでしょうか。例として、自然災害や児童虐待など緊急性の高いケース、あるいは地域に事業所が少なく待機児童が発生しているケースなどが考えられます。このような場合には自治体とも相談しながら、一時的に定員を超えて新規の障害児を受け入れることが認められることがあります。その際は職員配置やスペースなど質の確保に十分配慮しましょう。事情が解消したら速やかに定員内の運営に戻すことが大切です。
定員超過時のペナルティ(定員超過利用減算)
ルールに反して定員超過を行った場合には、ペナルティとして「定員超過利用減算」が適用されます。それは基本報酬が30%カット(70%に減額)される措置です。1日の利用者数オーバーなら当該日分、3か月の累計オーバーなら当該月分の報酬が減算となります。繰り返せば行政指導や指定取消し等の重い処分につながる可能性もあります。定員遵守を徹底することが重要です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 定員遵守は絶対:児童発達支援では届け出た利用定員を守ることが法令で決まっています。定員を超える受け入れは基本NGです。普段から予約枠の調整などで定員内に収める工夫をしましょう。
- 例外はあくまで例外:災害や他の受け皿が無い場合など、どうしてもの時だけ例外が認められます。その範囲も「1日定員の1.5倍以内」「3か月定員の125%以内(小規模は+3人/日)」と限定的です。サービスの質を確保できて初めて適用されるため、安易に当てにしないことが肝要です。
- 違反には減算等のリスク:定員オーバーをすれば報酬30%減算や行政指導といったリスクがあります。利用者の安心安全と事業の安定のためにも、ルール遵守の運営を徹底しましょう。
【免責事項】
