児童発達支援における非常災害対策(基準第40条)のポイント解説
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児童発達支援事業所では、火災や地震などの非常災害に備えた対策が義務付けられています。これは子どもたちの安全を守るために欠かせない重要な取り組みです。本記事では、児童発達支援の運営基準第40条に定められた非常災害対策について、やさしくシンプルに解説します。
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非常災害対策とは何か?
非常災害対策とは、火事や地震などの緊急事態に備えるための対策です。児童発達支援事業所など障害福祉サービスの施設では、法律で非常災害への備えが求められています。具体的には、非常災害時の計画策定、消火器など必要な設備の設置、緊急時の通報・連絡体制の整備、そして避難・救出訓練の実施を万全に行うよう求められています。つまり、「非常災害に備えて万全の準備をしておきましょう」ということですね。
消火設備など必要な設備の設置
非常災害対策でまず重要なのが設備の備えです。法律上、「消火設備その他非常災害に際して必要な設備」を確実に設置しなければなりません。具体的には、消防法などで義務付けられた設備を指します。例えば、消火器や火災報知機の設置は基本ですし、場合によってはスプリンクラー設備や避難ハシゴも必要になることがあります。事業所の規模や構造によって必要な設備は異なりますが、最低限消防署の指導に従った防災設備を準備しましょう。設備が整っていれば、万一火災が起きても初期消火や安全な避難が可能になります。また設置後も定期点検を行い、いつでも使える状態に保つことが大切です。
非常災害に関する具体的計画の策定
設備と並んで重要なのが非常災害時の具体的な計画づくりです。基準第40条では「非常災害に関する具体的計画」を立てるよう求めています。簡単に言うと、消防計画と自然災害対応計画の両方を用意するということです。
- 消防計画: 消防法に基づいて策定する火災時の対応計画です。火災等が起きたときに誰が何をするか(119番通報、初期消火、避難誘導など)を定めたものです。通常、建物の防火管理者(火災予防の責任者)がこの計画を作成し、訓練も指揮します。
- 自然災害対応計画: 地震や台風・大雨など自然災害が起こった場合の対応計画です。例えば地震なら「まず机の下に隠れる、その後安全な場所に避難する」といった具体的な動きを決めておきます。また台風や洪水時の避難場所や連絡方法も決めておきましょう。
この2つを合わせて「非常災害対策の計画(マニュアル)」と考えてください。ポイントは具体的に作ることです。ただ「火事に注意」「地震に気を付ける」ではなく、誰が・いつ・何をするかを明記したマニュアルを用意しましょう。計画を作ったら職員全員に共有し、非常時にすぐ実行できるようにしておいてください。
関係機関への通報と地域連携の体制づくり
非常時の通報・連絡体制も重要です。基準第40条では、非常災害時に関係機関へ速やかに通報する体制を整備するよう求めています。言い換えると、緊急時にすぐ消防などに連絡できる準備をしておきましょうということです。
まず職員全員が119番通報の手順を理解し、落ち着いて通報できるよう訓練しておきましょう。「火事です」「住所は〇〇」「○○が燃えています」など、伝える内容を事前に練習しておけば非常時にも落ち着いて通報できます。また、日頃から近隣の消防署・消防団や地域住民と連携しておけば、いざ火災時に消火や避難の協力を得られる体制を整えられます。
地域住民も参加する避難訓練の実施
避難や救出の訓練は定期的に実施することが求められます。訓練を重ねることで、非常時にも落ち着いて対処できるようになります。基準第40条第2項でも、事業者は定期的に避難・救出等の訓練を行わなければならないとされています。さらに第3項では、その訓練にできるだけ地域住民の参加を得るよう努めることが定められています。
地域の方々を巻き込んで訓練をするのはなぜでしょうか?それは、実際に災害が起きたとき地域ぐるみで助け合える体制を作るためです。普段から避難訓練に参加してもらえば、近所の人も非常時の動きを理解し、協力してもらいやすくなります。「地域密着の児童発達支援事業所」として信頼関係を築くことにもつながるでしょう。また、訓練にはぜひ地元の消防署職員にも立ち会ってもらいましょう。プロからアドバイスを受ければ訓練がより実践的で効果的になりますし、参加者も真剣に取り組めます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 防災設備と計画の整備: 消火器や火災報知機などの設備を設置し、火災・地震等の対応マニュアル(消防計画+自然災害計画)を具体的に策定することが必須です。
- 迅速な通報と日頃からの連携: 非常時には迷わず119番通報できるよう訓練し、平時から消防署・消防団や近隣住民と関係を築いておきましょう。
- 定期的な訓練と地域参加: 避難・救出訓練を定期的に行い、可能な範囲で地域住民や消防関係者にも参加を呼びかけて、実効性の高い訓練にしましょう。
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