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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 3 運営に関する基準 (5)〜(8)

童発達支援の指定基準を解説:連絡調整から受給申請支援まで


記事の概要:
児童発達支援事業を運営するうえで押さえておきたい指定基準のポイントを、やさしくシンプルに解説します。本記事では指定児童発達支援事業者に課せられる義務のうち、基準第15条から第18条までに書かれている重要事項をまとめました。具体的には、市町村や相談支援事業者との連絡調整への協力、サービス提供が難しい場合の他事業所紹介などの対応、利用開始時の受給資格の確認、そして障害児通所給付費の支給申請のサポートについて取り上げます。

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連絡調整に協力する義務(基準第15条)

指定児童発達支援事業者(児童発達支援の指定事業所)は、自治体(市町村)や障害児相談支援事業所から障害児の利用紹介やサービス担当者会議への出席依頼などの連絡調整を受けた際、できる限り協力することが義務付けられています。これは、地域の関係機関としっかり連携し、児童発達支援サービスが子どもにとって円滑に利用できるようにするためです。

例えば、市町村担当者や計画相談支援の相談員から「○○くんの支援会議に参加してください」「このお子さんを受け入れ可能か検討してください」といった連絡があれば、可能な限り応じましょう。事業者同士や行政とのスムーズな連携は、子どもの支援に一貫性を持たせ、サービスの質を高めることにもつながります。

サービス提供が難しい場合の対応(基準第16条)

正当な理由があって自事業所で対象児に適切な支援を提供することが困難と認められる場合、指定児童発達支援事業者は速やかに他の事業所を紹介するなど必要な対応を取らなければなりません。これは「うちでは対応できないからお断りします」で終わりにせず、代わりの受け皿をきちんと手配する責任があるということです。

では「正当な理由」とはどんな場合でしょうか?一般的な例としては、利用定員を超えて受け入れできない場合、医療的ケアが必要で入院治療が適当な場合、お子さんの障害の種類が事業所の専門外で適切な支援ができない場合などが挙げられます。こうした場合には他の事業所につなぐ努力をしましょう。一方で、障害の程度が重いことなどを理由に「うちでは十分支援できません」と伝えて利用申込者側に諦めさせるような対応は、正当な理由とは認められません。利用を断りたいときこそ、誠実に対応し他の選択肢を案内することが大切です。

受給資格の確認義務(基準第17条)

児童発達支援を利用する際には、利用料の一部を国や自治体が負担する障害児通所給付費という仕組みがあります。ただし、この給付を受けられるのは市町村から「通所給付決定」を受けた保護者に限られます。そこで、事業者はサービスを開始する前に必ず保護者から「通所受給者証」を提示してもらい、その児童が正式に通所給付の対象となっているか確認しなくてはなりません。

通所受給者証とは、市町村が発行する証明書で、児童発達支援など障害児通所支援サービスを利用するための受給資格を示すものです。受給者証には利用できるサービスの種類、有効期間、支給量(利用可能日数や時間数)などが記載されています。事業者はこの受給者証を確認することで、その子どもが給付対象であること、どのサービスがどれくらい利用できるかを把握できます。受給者証を持っていない場合は給付金の対象外となり、自己負担での利用となってしまうため、利用開始時の確認は非常に重要です。

障害児通所給付費の申請支援(基準第18条)

事業者には、利用希望者の通所給付費の申請手続きをサポートする役割も求められています。基準第18条では、以下の2つのケースについて規定されています。

  • ① まだ通所給付決定を受けていない人への対応: もし保護者が通所受給者証を持っていない(=通所給付の決定を受けていない)状態で利用申込みをした場合は、事業者は本人(保護者)の意向を尊重しつつ、速やかに市町村への支給申請を手伝う必要があります。具体的には、申請に必要な書類の案内や記入のサポート、市町村窓口の紹介などを行い、早く受給者証を取得できるよう助言・協力しましょう。
  • ② 利用継続を希望する人への対応: 現在サービスを利用しているお子さんの受給決定の有効期限がもうすぐ切れる場合で、保護者が引き続き利用を希望しているときは、余裕を持って更新申請するよう促すことが事業者の務めです。市町村が更新申請を処理する標準的な期間(通常1〜2ヶ月程度)を考慮し、できれば期限が切れる数ヶ月前には「更新の手続きを始めましょうか?」と声をかけるなどの支援を行います。こうした申請勧奨によって、受給者証の期限切れによるサービス利用の中断を防ぎ、保護者が安心して継続利用できるよう配慮します。

以上のように、新規利用者であれ継続利用者であれ、事業者が率先して手続きをサポートすることが大切です。とくに通所給付の申請や更新手続きは初めての保護者には分かりにくい部分も多いため、プロである事業者側がリードしてあげると親切です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 自治体や相談支援からの依頼には協力的に対応する: サービス担当者会議への出席依頼や利用調整の連絡が来たら、できる限り応じましょう。地域の関係機関との連携が良好だと、子どもへの支援もスムーズになります。
  • 自事業所で対応困難な場合は他の受け皿を紹介する: 定員オーバーや医療的ケア対応不可など正当な理由がある場合でも、「お断り」して終わりにせず、他の児童発達支援事業所を案内し、また、適切な次善策の提案を尽くしてください。障害の重さを理由に遠回しに断るのはNGです。
  • 受給者証の確認と申請サポートを徹底する: 利用開始前には必ず通所受給者証を確認し、給付対象であることを確かめます。まだ受給者証が無い利用希望者には取得手続きを手助けし、継続利用者には受給期間の更新を忘れず案内しましょう。事業者の適切なサポートが利用者の安心につながります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。