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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 3 運営に関する基準 (9)〜(11)

童発達支援の指定基準を解説:心身の状況把握・サービス記録・金銭請求ルール


記事の概要:
本記事では、児童発達支援の指定基準に関する最新の解釈通知の内容から、「心身の状況等の把握」、「サービス提供の記録」、「保護者に求められる金銭の支払い範囲」の3点についてやさしくシンプルに解説します。

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1.心身の状況等の把握(基準第19条)

指定児童発達支援事業者は、サービスを提供する際に、まず障害のあるお子さん一人ひとりの心身の状態をしっかり把握する努力が求められています。これは、その子に合わせた適切な支援を行うために欠かせないポイントです。また、お子さんの生活の継続性を大切にする観点から、その子が利用している他の福祉サービスや医療サービスの利用状況、そしてお子さんを取り巻く環境(家庭や学校・幼稚園の状況など)も含めて把握に努める必要があります。

このように、子どもの心と体の状態や周囲の状況を総合的に理解することで、支援の質を高め、他のサービスとも連携した継続的なサポートが実現できます。例えば、お子さんが他の療育プログラムや放課後等デイサービスを利用している場合、その内容を把握しておくと、サービス同士がちぐはぐにならず一貫した支援ができます。

2.サービス提供の記録(基準第21条)

事業者は、児童発達支援のサービスを提供するたびに、その都度記録を残さなければなりません。記録する項目としては主に次のようなものがあります。

  • サービス提供日(いつサービスを提供したか)
  • 具体的なサービス内容(どんな支援や活動を行ったか)
  • 利用者負担額(保護者が支払う金額がある場合はいくらか)

この記録を取っておくことで、保護者の方も事業者も、その時点での利用状況を正確に把握できます。さらに重要なのは、こうしたサービス提供記録について保護者から確認(サインや押印など)を得ることです。保護者に記録を確認してもらうことで、「サービスを確かに提供した」「内容に相違がない」といった適切な手続きが守られます。これは事業者と保護者の信頼関係を保ち、後々のトラブル防止にも役立ちます。

3.保護者に求められる金銭の支払い範囲(基準第22条)

児童発達支援事業者がサービスを利用する保護者に対して追加でお金の支払いをお願いできるケースには、厳しいルールがあります。基本的な考え方は、「そのお金の使い道が直接お子さんのためになること」かつ「保護者に負担を求めることが適当である場合」に限る、というものです。具体的には、事業者が保護者に費用負担を求める際には、その使途(何のために使うお金か)や金額、そして保護者にその費用をお願いする理由をきちんと書面で示し、事前に同意を得る必要があります。

これは、障害のあるお子さんやご家族に対して寄付金を無理に要求したり、「◯◯費」など目的がはっきりしないお金を請求したりする行為を防ぐためのルールです。裏を返せば、お子さんの利益につながるものについては、上記のルールに沿って保護者に納得してもらえれば費用をいただくこと自体は可能です。例えば、創作活動で使う特別な教材の実費や、おやつ・食事代などお子さんのために必要なものであれば、内容と金額を説明し保護者の合意を得た上で負担をお願いすることは問題ありません。しかし、「寄付金」「協力費」等の名目で実質的にサービスと無関係な費用を求めることはできません。事業者はこれらのルールを守り、必要な場合には保護者と十分に話し合って理解と同意を得ることが大切です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 子どもの状態の把握徹底: 支援の質向上と継続性のため、子どもの心身の状態や他の利用サービスも含めた環境をしっかり把握しましょう。
  • サービス提供記録と確認: サービス提供ごとに日時・内容・負担額を記録し、保護者に確認をもらう手続きを徹底することが信頼関係維持の鍵です。
  • 費用請求時のルール厳守: お子さんのために必要な費用以外は請求しないこと。必要な費用でも、内容・金額を明示し保護者の同意を得てからにしましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。