共生型小規模多機能型居宅介護で障害児を受け入れる基準を解説
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小規模多機能型居宅介護事業所で障害児も受け入れられる共生型サービスの運営基準が明確に示されています。この記事では、共生型小規模多機能型居宅介護で障害児を受け入れる際に重要なポイントである通いサービスの定員、居間・食堂の広さ、職員配置と研修、そして専門機関との連携について、やさしくシンプルに解説します。
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通いサービスの利用定員:障害児を含む上限人数
共生型小規模多機能型居宅介護では、高齢者等の通常利用者に加えて障害児も通いサービス(デイサービス)を利用できます。ただし、1日あたりに通いサービスを利用できる人数には上限があります。この上限人数(利用定員)は、登録している利用者数(登録定員)の半数から15名までの範囲内と定められています。たとえば登録定員が20名なら、1日の利用定員は10名から15名までの範囲で設定されます。サテライト型事業所の場合は上限が12名となります(登録定員も最大18名)。さらに、登録定員が26名以上の大規模な事業所では、通いサービスの1日利用定員は以下のように固定の人数が上限となります(それ以上増やせません)。
- 登録定員26〜27名の場合:1日あたり最大 16名まで利用可能
- 登録定員28名の場合:1日あたり最大 17名まで
- 登録定員29名の場合:1日あたり最大 18名まで
このように、障害児を受け入れる場合でも通いサービス全体の利用人数は法律で定められた範囲内に収める必要があります。事業所は定員超過にならないよう利用者数を調整し、安全で適切なサービス提供を行いましょう。
居間・食堂の広さは十分に
共生型サービスでは、子どもから高齢者まで様々な世代が同じ空間で過ごします。そのため、事業所内の居間や食堂は機能を十分発揮できる適切な広さを確保することが求められています。具体的な数字で何㎡以上といった定めはありませんが、利用者が快適かつ安全に過ごせる広さが必要です。障害児を受け入れる際には、車いすや歩行器の使用、児童用の遊具配置なども考慮し、余裕をもったスペース設計にしましょう。居間・食堂が手狭だと、活動の制限や事故のリスクにつながるため注意が必要です。
職員の配置数と児童発達支援計画の作成
障害児を受け入れる場合でも、職員数は従来の小規模多機能型居宅介護の基準を満たすよう確保しなければなりません。具体的には、通いサービスを利用する高齢者と障害児を合わせた総利用者数に対し、必要な人数の職員を配置する必要があります。共生型サービスだからといって特別に余分な職員配置基準が課されるわけではありませんが、利用者が増える分の職員増員は怠らないようにしましょう。
また、通常の小規模多機能型居宅介護ではサービス管理責任者(障害福祉サービスでいう「児童発達支援管理責任者」)の配置義務はありません。しかし、障害児を受け入れる場合、事業所の管理者や主任スタッフに対して児童発達支援管理責任者に準ずる研修の受講が強く推奨されています。具体的には「児童発達支援管理責任者基礎研修」や「相談支援従事者初任者研修(講義部分)」といった研修です。こうした研修を修了した職員がいれば、その職員が障害児一人ひとりの児童発達支援計画(個別支援計画)を作成することが望ましいとされています。適切な計画を立てることで、障害児に対して質の高い支援を提供できるようになります。
専門機関との連携と技術的支援
障害児を受け入れる際には、事業所単独で抱え込まず、外部の専門機関と連携することが大切です。具体的には、近隣の障害児入所施設や児童発達支援センター、医療機関などから必要な技術的支援や助言を受けていることが望ましいとされています。障害児のケアには専門的な知見が求められる場合が多いため、経験豊富な機関と協力することで安全かつ適切なサービス提供につながります。実際に、医療的ケアが必要な児童の受け入れでは地域の医療機関と協力したり、発達障害のある児童の支援では児童発達支援センターと情報共有を行ったりするなど、他機関のサポートを活用している事業所もあります。こうした連携体制を整えることで、事業所内に専門職が不足していても質の高い支援を維持できるでしょう。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 通いサービスの定員 – 障害児を含めた1日あたりの利用人数は登録定員の1/2~15名(サテライトは12名)までに制限され、登録定員が26名以上では16~18名の固定上限が適用されます。
- 職員配置と専門性 – 高齢者と障害児の合計利用者数に見合った職員を配置し、可能であれば児童発達支援管理責任者に準ずる研修修了者を配置して障害児の支援計画を作成させることが望まれます。
- 環境整備と連携支援 – 居間・食堂の広さは十分なゆとりを確保し、障害児の受け入れに際しては障害児施設や医療機関と連携して技術的な支援を受ける体制を整えましょう。
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