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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 4 共生型障害児通所支援に関する基準 (3) 前半

規模多機能型居宅介護で始める共生型児童発達支援とは?定員29人ルールを解説


記事の概要:
共生型児童発達支援とは、高齢者向けの介護保険サービス事業所が、障害児向けの児童発達支援を同じ拠点で提供する新しいサービス形態です。平成30年(2018年)の法改正で創設された「共生型サービス」により、介護サービス事業所が障害福祉サービスも一体的に運営できるようになりました。本記事では、小規模多機能型居宅介護などの介護事業所が共生型児童発達支援を行う際の定員基準(登録定員)について、やさしくシンプルに解説します。

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共生型児童発達支援とは何か?

共生型児童発達支援とは、介護保険の指定を受けた介護サービス事業所(例:通所介護事業所や小規模多機能型居宅介護事業所)が、新たに障害福祉サービスである児童発達支援の指定も受けて、障害児に対する発達支援サービスを提供する形態を指します。つまり、一つの事業所で高齢者向けと障害児向けのサービスを共生(=併せて提供)することができます。これにより、地域の既存資源を活用して、高齢者と障害児が同じ場でそれぞれ適切な支援を受けられるようになります。

対象となる事業者(小規模多機能型居宅介護事業者等)

本記事で扱う共生型児童発達支援を提供する事業所のタイプとしては、指定小規模多機能型居宅介護事業者や指定看護小規模多機能型居宅介護事業者、および指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業者といった、介護保険サービスのうち地域密着型サービスに分類される事業所があります(「共生型」には他にもバリエーションがあります)。これらをまとめて「指定小規模多機能型居宅介護事業者等」と呼びます。いずれも地域の高齢者を対象に、通い・訪問・宿泊を組み合わせた柔軟なサービスを提供する事業所ですが、ここが障害児支援も担えるようになります。

なお、「サテライト型指定小規模多機能型居宅介護事業所」と呼ばれるものもあります。サテライト型とは、本体の小規模多機能事業所の分室のような位置付けで、主に利用者の利便性向上のために設けられる小規模な拠点です(定員も本体より少なく設定されます)。

登録定員は合計29人まで(サテライトは18人まで)

共生型児童発達支援を行う場合でも、登録定員(事業所に登録できる利用者の数)の上限は変わりません。高齢者と障害児を合わせた合計で、1事業所あたり最大29人までが登録可能です。これは通常の小規模多機能型居宅介護事業所の定員上限と同じ数字です。サテライト型事業所の場合はさらに小規模となり、合計18人が上限となります。

たとえば、ある共生型事業所が高齢者20名を登録しているなら、障害児は最大でも9名まで登録できます(20 + 9 = 29で上限)。逆に、高齢者の登録者数が少なければ、その分多くの障害児を受け入れることも可能です。ただし、高齢者のみ・障害児のみであっても合計の登録者数が29名(サテライトは18名)を超えることはできません。登録定員は事業所の人員配置や設備規模に応じて法律で定められた上限であり、共生型サービスだからといって特別に増やせるわけではない点に注意しましょう。

共生型サービス利用者の範囲

登録定員の合計には、その事業所が提供する介護サービスと障害福祉サービスの利用者が全て含まれます。具体的には、小規模多機能型居宅介護の登録者(通常は高齢者)が何名いるか、そして共生型児童発達支援の登録障害児が何名いるか、その合計人数が定員内に収まる必要があります。さらに仮に同じ事業所が他の共生型サービス(例えば共生型生活介護や共生型放課後等デイサービスなど、他の障害者向け通所サービス)を併せて提供している場合も、これらの利用者すべてを合わせて29名以内としなければなりません。つまり、一つの事業所で複数のサービスを展開していても、登録できる利用者総数は合わせて29名(サテライト18名)という制限が一貫して適用されます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 定員オーバーは不可: 共生型児童発達支援を導入しても、事業所の登録定員は合計29人まで(サテライトは18人まで)です。高齢者と障害児の合計がこの数字を超えないよう、利用者数を管理する必要があります。
  • 既存資源の有効活用: 介護事業所が障害児支援を行うことで、人員や設備を共有して効率的に運営できます。ただし、その分人員配置や設備要件などの運営基準を満たしていることが前提です(例:障害児受け入れにあたり専門施設から必要な技術的支援を受けていること)。
  • サテライト拠点の活用: サテライト型事業所でも共生型サービスは可能ですが、定員は18名が上限です。地域ニーズに応じて小規模なサテライトを開設する場合でも、定員管理は怠らないようにしましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。