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独習 障害児通所支援 指定基準 | 第三 児童発達支援 5 基準該当通所支援に関する基準 (1) (2) (3) 

準該当児童発達支援の基準をわかりやすく解説 – 指定児童発達支援との違いは?


記事の概要:
児童発達支援は、障害のある未就学児を対象に発達を支援する福祉サービスです。本記事では、その中でも「基準該当児童発達支援」に焦点を当て、必要な人員や設備などの基準について解説します。基準該当児童発達支援とは、いわゆる指定事業者ではないものの一定の基準を満たし自治体から認められた児童発達支援事業所のことです。指定事業所(正式に指定を受けた事業所)と比べ、人員配置や設備要件にどのような違いがあるのか、現行のルールに基づいてやさしくシンプルにまとめます。

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基準該当児童発達支援とはどんな事業?

まず基準該当児童発達支援の位置づけを確認しましょう。児童発達支援事業を行うには通常、各自治体から「指定」を受けた指定児童発達支援事業所として運営するのが一般的です。一方、基準該当児童発達支援事業所は、正式な指定は受けていないものの、行政が定めた一定の基準に適合する事業所として認められたケースを指します。地域によって児童発達支援の提供体制が不足している場合などに、基準該当事業所としての運営が可能になることがあります。基準該当だからといってサービス内容が大きく異なるわけではなく、利用者への支援内容や質は指定事業所と同等であることが求められます。ただし運営にあたっての細かなルールに、一部指定事業所との違いが設けられている点がポイントです。以下、人員基準・設備基準・定員の順に詳しく見ていきます。

人員に関する基準の比較(指定 vs 基準該当)

児童発達支援の運営で最も重要なのが人員配置基準です。指定事業所であれ基準該当であれ、適切な職種のスタッフを必要人数配置しなければなりません。特に「児童指導員」や「保育士」の配置、および児童発達支援管理責任者(略称:児発管)の配置が規定されています。基準該当の場合の人員基準を、指定事業所の場合と比較しながら押さえましょう。

  • 児童指導員・保育士の配置数: 基準該当事業所でも、指定事業所と同等の配置基準が課されています。具体的には、利用定員10名までの施設で2名以上の児童指導員または保育士を配置する必要があります。以降、児童の数が5人増すごとに職員1名を追加配置するルールも同じです(例:定員11~15名なら3人以上、16~20名なら4人以上の配置)。さらに、配置する児童指導員・保育士のうち少なくとも1名以上は常勤である必要がある点も指定と共通です。つまり、「基準該当だからスタッフを減らせる」ということはなく、子どもの数に応じた十分なスタッフ確保が求められることに注意しましょう。
  • 児童発達支援管理責任者の配置: 児童発達支援管理責任者(児発管)は、支援計画の作成やサービス提供全体の管理を担う重要な役職です。指定児童発達支援の場合、この児発管は専任(他の職務と兼務しない)かつ常勤で1名以上配置することが定められています。しかし基準該当児童発達支援では、この「専任」である必要がないとされています。つまり、児発管が他の職種を兼務していても差し支えありません。例えば、小規模な事業所で児童指導員のスタッフが児発管を兼ねる、といった運用も可能です。専任を要求しない分、人員体制に柔軟性が生まれるメリットがあります。ただし兼務が可能でも、児発管としての責務(アセスメントや個別支援計画の管理など)は同様に果たさねばならず、形だけ置けば良いというものではありません。実質的に児発管業務をこなしつつ他の職務も担う場合、負担が過重にならないよう配慮が必要です。
  • 「単位」の考え方: 人員基準に関連して、サービス提供の単位という考え方も指定と同じ趣旨で適用されます。例えば定員が大きい場合、一つの事業所内で複数のグループ(ユニット)に分けて運営することがあります。この場合でも、基準該当だからといって1つのユニット当たりの職員数を減らせるわけではありません。1単位あたりの子どもの数と職員数の比率は指定事業所と変わらず設定されます。要は、基準該当であっても子どもに対する支援の手厚さが損なわれないよう、人員配置単位の考え方は指定と同等だと理解してください。

以上のように、人員に関しては児童指導員・保育士の数や児発管の配置など基本的な枠組みは指定事業所と共通しています。ただ一点、児発管の専任要件のみ緩和されているのが大きな違いです。これから事業を始める方は、スタッフ計画を立てる際にこの点を踏まえておくとよいでしょう。

設備に関する基準 – 発達支援室は必須?

続いて設備基準です。指定児童発達支援事業所の場合、児童が活動するための専用スペースとして「発達支援室」を設けることが求められていました。専用の療育室・訓練室のようなイメージです。しかし、基準該当児童発達支援の場合は必ずしも独立した「発達支援室」を確保する必要はありません。

ただし注意すべきは、「専用の部屋が不要」というのはまったく場所がなくてもよいという意味ではないことです。基準該当事業所であっても、支援を提供する時間帯を通じて常に利用でき、支援の提供に支障がない十分なスペースを確保する義務があります。例えば他の用途と共用する部屋であっても、サービス提供中は仕切りやレイアウトによって安全かつ円滑に療育を行える環境を用意しなければなりません。専用室のように固定された部屋でなくてもよい分、柔軟に場所をやりくりできる利点はありますが、子どもたちが安心して活動できる環境整備は妥協せず行う必要があります。

要するに、基準該当では物理的な専用室を持たなくても開業可能ですが、サービスの質を確保できるだけの空間は必須ということです。物件選びや施設レイアウトを検討する際には、「発達支援室に相当するスペース」をどう確保するか計画しておきましょう。

利用定員に関する基準 – 定員設定は指定と同様

最後に利用定員(定員数)に関する基準です。児童発達支援事業所は各々、同時にサービス提供できる児童の利用定員を定めています。基準該当児童発達支援でも、この定員の考え方は指定事業所の場合と同趣旨で運用されます。具体的な定員数の上限は事業所の人員や設備の状況に応じて行政との協議で決まりますが、適切な定員設定を行うという基本ルールは共通です。先述の人員配置基準とも関係しますが、定員に対して必要な職員数を満たすことが前提となります。例えば小規模でスタッフが少ない場合には定員も小さく設定されますし、広い設備と十分な職員がいれば比較的大きな定員が認められるでしょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 人員配置は指定事業所と同等が基本 : 基準該当児童発達支援でも児童指導員・保育士の配置基準は指定と同じです。子どもの人数に応じたスタッフを確保し、少なくとも1名は常勤配置しましょう。また、児童発達支援管理責任者については専任不要とはいえ、役割を的確に果たせる体制を整える必要があります。
  • 発達支援室は必ずしも専用部屋でなくてOK: 基準該当サービスでは、専用の療育室(発達支援室)がなくても開業可能です。既存の施設の一角などを活用する場合でも、サービス提供中は十分な広さと安全性を確保し、支援に支障がない環境づくりを徹底してください。
  • 定員の設定と運営規模は適正に : 定員数の考え方は指定サービスと共通で、人員や設備に見合った範囲で決定します。必要以上に大人数を受け入れるよりも、手厚い支援が行える適正規模で運営することが重要です。報酬面でも基準該当事業所は単位数が抑えられるため、質の高い支援と経営のバランスを踏まえた計画を立てましょう。


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