小規模多機能型居宅介護事業所で児童発達支援を提供できる特例を解説①
記事の概要:
児童発達支援は本来、障害児を対象とした通所サービスですが、地域によっては事業所が不足し利用が困難な場合があります。そのような場合に、高齢者向け介護保険サービスである小規模多機能型居宅介護事業所が障害児の支援を行える特例制度があります。本記事では、この特例制度の内容をやさしくシンプルに解説し、特に登録定員や1日あたりの利用定員など重要なポイントに焦点を当てます。
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特例の背景と概要
地域で児童発達支援の提供が不足している場合、介護保険の指定小規模多機能型居宅介護事業所(および看護小規模多機能型居宅介護事業所)が障害児への支援を行うことが認められています。これは高齢者向けサービスと障害児向けサービスを一体的に提供する共生型サービスの一環で、提供される通いサービスは基準該当児童発達支援として扱われます。つまり、新たに児童発達支援事業所の指定を受けなくても、一定の基準を満たすことで「基準に該当する児童発達支援事業所」とみなされ、障害児への通所支援が可能になる仕組みです。
登録定員の上限と条件
特例を活用する際の登録定員(サービスに登録できる利用者数の上限)は、通常の小規模多機能型居宅介護事業所と同様に29人以下と定められています(※サテライト型事業所の場合は18人以下)。この登録定員には、もともと小規模多機能に登録している高齢者利用者だけでなく、本特例で受け入れる障害児や他の障害者(生活介護や自立訓練などの基準該当サービスを利用する方)の数も含めた合計人数となります。したがって、障害児を受け入れる場合でも、施設全体で登録できる利用者の総数は最大でも29名までに制限される点に注意が必要です。
1日あたり利用定員の上限と条件
1日あたりの利用定員(1日にサービスを利用できる人数)も厳密に定められています。基本的には、1日の利用人数は登録定員の1/2以上かつ15人以内に収める必要があります(※サテライト型では最大12人まで)。たとえば登録定員が20人の事業所であれば、1日にサービスを利用できる障害児・高齢者の合計は10~15人の範囲内に設定されます。通常は上限15人ですが、登録定員が26人以上と多い場合には次のように例外的な上限拡大が認められています。
- 登録定員が26~27人の場合:1日あたり16人まで利用可能
- 登録定員が28人の場合:1日あたり17人まで利用可能
- 登録定員が29人の場合:1日あたり18人まで利用可能
以上のように、事業所の規模上限内であれば、高齢者と障害児を合わせて小規模多機能型の通いサービスを提供できます。ただし、定員超過は認められないため、運営にあたっては登録者数と1日の利用者数をしっかり管理することが求められます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 地域の児童発達支援が不足する場合、介護保険の小規模多機能型居宅介護事業所でも障害児向け通所支援(児童発達支援)を提供できる特例制度がある(共生型サービスとして基準該当児童発達支援とみなされる)。
- この特例を利用しても、事業所の登録定員は合計で最大29人まで(サテライト型事業所は18人まで)と定められており、既存の高齢者利用者と障害児・者の合計がこの範囲に収まる必要がある。
- 1日あたりの利用定員は通常15人まで(サテライト型は12人まで)に制限されるが、登録者数が26人以上いる場合は1日の利用上限が16~18人まで拡大されるルールになっている。
【免責事項】
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