スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害福祉サービス 指導監査 | 指定障害福祉サービス事業者等指導指針 3 指導形態等 

害福祉サービスの指導形態とは?~集団指導と運営指導をやさしく解説~


記事の概要:
障害福祉サービス事業者には、行政(都道府県や市町村)による定期的な指導と監査が行われます。本記事では、そのうち「指導の形態」について、厚生労働省の公式通知の内容をもとに分かりやすく解説します。指導には集団指導と運営指導(実地指導)の2種類があり、それぞれ目的や方法が異なります。

▶︎ 指導指針 関連記事まとめページはこちら

指導形態とは何か?

「指導形態」とは、障害福祉サービス事業者に対して行政が行う指導の方法を指します。障害者総合支援法に基づき指定を受けた事業者(指定障害福祉サービス事業者)は、そのサービス提供が適正に行われるよう、行政から定期的にサポートやチェックを受けます。この指導には大きく分けて集団指導と運営指導(旧称:実地指導)の二つがあります。それぞれ狙いや進め方が異なるため、事業者として内容を理解しておくことが大切です。以下、集団指導と運営指導について詳しく見ていきましょう。

集団指導とは(事業者を集めた研修形式の指導)

集団指導とは、複数の障害福祉サービス事業者を一堂に集めて講習会形式で行われる指導のことです。都道府県または市町村(指定権者といいます※)が中心となり、対象となる事業者を会場に招集し、説明会や研修の形で実施されます。最近ではオンライン会議システムや動画配信を活用したオンライン開催も可能とされています。行政から事前に案内があり、指定日時に事業者の管理者等が参加する流れです。

集団指導が実施される場面としては、「事業者に対して指導が必要だと判断された場合」や「自立支援給付(障害福祉サービスに関する給付)で特に周知が必要な場合」が挙げられます。例えば、新規にサービスを始めた事業者への基本的なルールの周知や、制度改正があった際の説明会などがこれに該当します。指導内容に応じて必要と認められる場合に開催されるイメージです。

※指定権者: 障害福祉サービス事業者を指定(許可)する権限を持つ行政主体。サービス種別によって都道府県知事または市町村長が該当。

集団指導の内容は多岐にわたります。主な例として、その年度の指導・監査の進め方、過去の実地指導で指摘された事項、サービス基準や給付費(報酬)の算定方法の説明、最新の制度改正内容、苦情対応や人権・労務管理上の留意点などが含まれます。要するに、事業運営に関する最新情報や注意事項を幅広く共有する場と言えるでしょう。自治体によっては、集団指導で使用した資料やビデオをホームページ上で公開し、事業者が後から確認できるようにしているところもあります。また、都道府県が集団指導を行った場合はその資料を管内市町村に送付し、市町村が行った場合は都道府県へ情報提供する仕組みとなっており、行政間で情報共有が図られています。

運営指導とは(事業所への実地訪問による指導)

運営指導(旧称:実地指導)とは、障害福祉サービス事業所ごとに行われる個別指導で、行政職員が直接事業所を訪問して運営状況を確認し、必要な助言・指導を行う仕組みです。障害福祉サービス事業者が適切にサービスを提供できているか、法令や指定基準に違反していないかを行政がチェックするのが目的です。運営指導は都道府県または市町村の担当職員が事業所に赴いて実地に行うのが原則となっており、いわば現場検査に近い形態です。

運営指導の具体的内容としては、担当職員が事業所を訪問し、以下のような点を幅広く確認します。例えば、職員の資格・人数が基準を満たしているか、人員体制や研修受講状況のチェック、利用者との契約やサービス提供記録の確認、運営規程や各種マニュアルが整備・遵守されているか、給付費の請求が適正に行われているか、などです。これらはほんの一部ですが、人員基準・サービス提供・運営管理・請求管理といったあらゆる項目について書類審査やヒアリング等で細かく点検されます。事業者側は日頃から必要な記録類を整備し、法令遵守の運営を徹底しておくことが重要です。

運営指導の現場では、指摘事項があればその場で口頭や後日の文書で改善指導が行われます。改善の指示を受けた場合は、指導内容に沿って速やかに是正措置を講じ、行政に報告する必要があります。指導はあくまで事業運営を適正化するためのサポート的な位置づけですが、万が一重大な法令違反や不正が発覚した場合には、指導からより厳格な「監査」(調査)に移行することもあります。監査に至ると、最終的には指定の取消処分など事業継続に深刻な影響を及ぼす措置に繋がる可能性もあります。したがって、運営指導の段階で挙がった課題は「事業を守るための改善ポイント」と捉え、真摯に対応することが肝心です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 指導には2種類あることを理解する: 行政による指導は「集団指導」と「運営指導(実地指導)」の2形態があります。それぞれ目的や方法が異なるため、自社が受ける指導の種類を把握し、適切に準備しましょう。
  • 集団指導は積極的に参加する: 集団指導は法改正や報酬算定の変更点など、重要な情報が共有されます。欠席すると後日個別指導の対象となる場合もあるため、必ず出席し、得た知識を事業所内で共有・活用しましょう。
  • 運営指導へ日頃から備える: 運営指導(実地指導)は数年に一度、行政が事業所を訪問して行う詳細なチェックです。突然の指導にも慌てないよう、平常時から記録類の整備や基準遵守の徹底を心がけ、指摘事項があれば速やかに改善する習慣をつけましょう。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。