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独習 障害福祉サービス 指導監査 | 指定障害福祉サービス事業者等監査指針 4 監査方法等 (1) 報告等

害福祉サービスにおける監査の基本:報告・実地検査のルール解説


記事の概要:
監査とは、事業者が法律で定められた基準(指定基準)をしっかり守って運営しているかを確認するための調査です。この記事では、監査の際に行政がどのような方法で事業所をチェックするのか、そして市町村と都道府県の役割分担について、公式の解釈通知に沿ってやさしくシンプルに解説します。

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監査では何が行われるのか?

監査では、行政(都道府県知事や指定権限のある市町村長)が必要と判断した場合、事業所に対して詳しい報告や資料の提出を求めることができます。具体的には、帳簿書類の提出命令や担当者の出頭要請、関係者への質問、そして事業所への立入検査(実地検査)などの方法で調査が行われます。以下の表に監査時にとり得る主な措置をまとめます。

監査で行われる措置内容(何をするか)
報告・資料の提出命令事業者に対し、運営状況の報告や帳簿・書類などを提出させる。
出頭の要求事業者や関係者に役所へ来てもらい、詳しい事情を聞く。
関係者への質問行政職員が事業所のスタッフや関係者に直接質問し事実確認。
サービス事業所への立入検査(実地検査)行政職員が事業所を訪問し、設備や帳簿書類などを現地で検査。

このように、監査では書類のチェックから現地確認まで、事業運営の実態を詳しく調べられることになります。日頃から帳簿類や記録を整理し、法令に沿った運営をしておくことが重要です。

市町村が監査を行う場合の連携ルール

監査を実施する主体は、原則として指定権限を持つ自治体です。指定権限のある市町村長とは、具体的には政令指定都市や中核市の市長を指し、それ以外の一般市町村長は多くの障害福祉サービスで指定権限を持ちません。では、指定権限を持たない市町村(一般市や町村)が事業所に対して監査を行うことはあるのでしょうか? 実は可能ですが、その場合には都道府県など本来の指定権者としっかり連携する決まりになっています。

まず、指定権限のない市町村が事業所の立入検査(実地検査)を行うときは、事前にその監査を実施する旨を、当該サービスの指定権限を持つ都道府県知事や指定都市・中核市の長に対して情報提供(連絡)しなければなりません。例えば事業所の所在地や利用者が複数の市町村にまたがる場合には、都道府県が全体の調整役となって監査の段取りを統括します。

次に、市町村が監査を行って重大な指定基準違反などを見つけた場合です。このとき市町村長は、書面によりその事実を速やかに都道府県知事(または指定権限のある市町村長)へ通知しなければなりません。ただし都道府県と市町村が協力して同時に現地検査を行っていたようなケースでは、お互い情報共有できているため、この通知は省略可能とされています。

違反が見つかった場合の措置は?

監査の結果、もし事業者が基準違反をしていると確認された場合、次のステップとして行政上の措置が取られます。具体的には、まず事業者に対して不足や違反を正すよう改善勧告(指導)が行われます。勧告を受けた事業者は定められた期限までに改善し、その結果を文書で報告する義務があります。

勧告に従わない場合や悪質な違反が認められた場合、行政は命令を発出し(改善の強制)、それでも改善されなければ指定停止や取消しといった厳しい処分に踏み切ることができます。例えば、サービス事業所の指定を一定期間停止したり、重大な場合には指定そのものを取り消す(運営継続不可にする)措置です。さらに不正に受給した給付費があれば返還命令や加算金の徴収といった経済的措置も行われます。

このように、監査で問題が指摘された場合の影響は大きいため、日頃から遵法経営に努めることが大切です。軽微な指摘であれば後日書面で注意を受け改善報告を求められる程度で済みますが、重大な違反は事業継続に関わる処分につながりかねません。サービスの質と法令順守を常に確認しておきましょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 監査では帳簿提出から立入検査まで徹底的に調査される – 行政は必要に応じて書類提出命令や現地での検査を行い、事業運営が基準通りか確認します。日頃から記録類を整備しておきましょう。
  • 市町村による監査は都道府県との連携が必須 – 一般市町村が事業所を監査する際は、事前に都道府県など指定権者へ連絡し、違反時は速やかに通知します。監査主体ごとの役割分担を理解しておきましょう。
  • 違反が見つかれば行政処分につながる – 監査で基準違反が判明すると、まず改善勧告が出され、改善しない場合は命令、それでも是正されなければ指定停止・取消し等の処分が科されます。最悪の場合、事業継続が困難になるため注意が必要です。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。