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独習 障害福祉サービス 指導監査 | 指定障害福祉サービス事業者等指導指針 4 指導対象の選定

害福祉サービスの集団指導・運営指導とは?対象と頻度を徹底解説


記事の概要:
障害福祉サービス事業を運営している、あるいはこれから起業しようとしている皆さんにとって、行政による指導は避けて通れないポイントです。指導には「集団指導」と「運営指導」の2種類があります。それぞれどの事業者がいつ対象となるのか、基準が定められていることをご存じでしょうか。本記事では、厚生労働省が令和7年3月31日に改正した最新の指導指針に基づき、指導対象の選定基準についてやさしくシンプルに解説します。

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指導対象の選定とは?

障害福祉サービス事業者に対する指導は、本来全ての事業者が対象です。しかし行政も限られたリソースで効率的に指導を行う必要があるため、優先順位をつけて対象を選定しています。具体的には、指導の形態ごとに以下の基準で対象となる事業所・事業者が選ばれます。

集団指導の対象とタイミング

集団指導とは、自治体など指定権者が管内の複数の事業者を集めて行う研修・説明会のような指導です(近年はオンライン開催や資料配布で代替するケースもあります)。主な対象と実施タイミングは次のとおりです。

  • 新規指定の事業者は必ず受講: 新たに障害福祉サービス(自立支援給付対象サービス等)を開始した事業者は、おおむね1年以内に集団指導を実施されます。これは開業後間もない事業者に制度のルールや運営の基本を周知し、早期に適正な運営ができるようにする目的があります。
  • テーマごとの必要に応じて実施: また、行政は毎年度の制度改正や報酬(給付費)請求のルール変更、過去に起きた障害者虐待事案など指導上の問題事例の共有などに応じて、集団指導の対象を選び実施します。例えば、請求方法の変更点や法改正ポイントについて説明する場、過去の指導事例から学ぶ場として設定され、必要な事業者に参加を求める形です。

運営指導(旧称:実地指導)の対象と基準

運営指導とは、行政職員が各事業所を訪問して行う個別の指導です。事業所の運営実態を直接確認し、必要な助言・指導を行います。令和6年4月の法改正で名称が「実地指導」から「運営指導」に変わったことも覚えておきましょう。運営指導の対象選定基準は次のとおりです。

  • サービス種別ごとの頻度基準: 提供しているサービスの種類によって実地訪問の頻度基準が異なります。特に就労継続支援A型・B型および共同生活援助(グループホーム)を行う事業所については、少なくとも3年に1回以上の頻度で運営指導が実施されます。これらは利用者の就労支援や生活の場を提供する重要サービスであるため、定期的なチェックが求められます。他のサービス種類については、「3年に1回まで」といった頻度は求められていませんが、指定の有効期間内(通常は6年)に最低1回以上は実施されます。つまり、どの事業所も原則として指定更新までに一度は指導を受けることになります。
  • 新規事業所への初回指導: 新しく指定を受けた事業者については、指定後3年以内に初めての運営指導が行われます。中でも就労継続支援A型事業所は例外で、新規指定から約6か月後を目途に初回の運営指導を実施する取り扱いが従来から継続されています。A型事業所は特に運営体制の整備が重要視されているため、早期にチェックが入ると考えておきましょう。
  • 問題事業所は優先実施: 過去の指導内容や第三者からの通報等により、「運営が不適切ではないか」「不正な報酬請求をしているのではないか」と疑われる事業者については、優先的に運営指導を実施するとされています。重大な問題が認められる場合、通常の順番を待たず緊急的・随時に調査が入ることもあります。不正の放置は行政処分(監査・指定取消し等)につながりかねませんので、日頃から適正運営を心がけましょう。
  • その他必要と認められる場合: 上記に当てはまらない場合でも、行政(都道府県や市町村の担当部署)が「この事業者には一般指導が必要だ」と判断した場合には、その事業者を対象に運営指導を実施できます。この項目はいわば網羅的な規定で、例えば苦情が多く寄せられる事業所など、客観的基準に該当しなくても問題を抱えていそうな場合には指導が行われる可能性があると考えられます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 新規事業者への指導スケジュール – 開業後はまず「集団指導」(説明会形式の研修)を約1年以内に受ける機会があります。その後、「運営指導」(実地訪問による指導)は指定から3年以内(A型は半年後)に初回が予定されています。
  • サービス種別ごとの定期指導 – 就労継続支援A型・B型や共同生活援助を行う事業所は3年に1回以上という高頻度で運営指導を受けます。それ以外のサービスでも指定期間(通常6年)中に最低1回は実地指導が入るので、どの事業者も例外ではありません。
  • 問題があれば優先的にチェック – 過去の指導で指摘を受けたまま改善が不十分な場合や、利用者から苦情・通報が寄せられている場合などは、通常より早いタイミングで指導が実施されます。不正や違反が疑われると監査に移行し、最悪の場合は指定取消し処分にもつながりかねません。日頃から適正な運営を心がけ、指導には真摯に対応しましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。