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独習 障害福祉サービス 指導監査 | 指定障害福祉サービス事業者等指導指針 5 指導方法等 (1) 運営指導 ② 指導方法 前半

営指導における確認項目と文書の効率的活用について


記事の概要:
運営指導とは、障害福祉サービス事業者に対して自治体(都道府県や市町村)が行う実地の指導・確認のことです(以前は「実地指導」と呼ばれていました)。令和6年(2024年)4月からは、この実地指導の名称が「運営指導」に変わり、一部オンラインの活用や書類提出の簡素化など、事業者の負担軽減に向けた改正が行われました。

この記事では、最新の運営指導の方法とポイントについて、厚生労働省の通知文書(令和6年3月5日付の解釈通知)をもとに、やさしくシンプルに解説します。

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運営指導の方法:面談形式とオンライン活用

運営指導は、原則として行政の担当者が事業所を訪問して行います。方法としては、事業者側の関係者(管理者やサービス管理責任者など)に対して関係書類を示しながら説明を求め、面談形式で確認を進める形です。

また、施設・設備の状況や利用者へのサービス提供状況など、現地でなければ確認できない事項以外については、オンライン(ビデオ会議システム等)の活用も可能となりました。ただし、その際は情報セキュリティを確保することが前提であり、かつ事業者に過度な負担とならないよう十分配慮して実施されます。

標準確認項目に基づく重点チェック

運営指導では、厚生労働省が示した「主眼事項及び着眼点等」というガイドラインに沿って確認が行われます。これは運営上の重要チェックポイントをまとめたもので、非常災害対策(火災だけでなく水害・地震などの自然災害対策も含む)などが盛り込まれています。

原則として、このガイドライン上で下線が引かれた「標準確認項目」だけを確認し、それ以外の項目は特別な事情がない限りチェックしません。また、確認に用いる資料も、あらかじめ定められた「標準確認文書」で行うのが基本です。

ただし、指導を進める中で不正の疑いが出るなど詳細な確認が必要と判断された場合には、標準確認項目以外についても確認が行われ、標準確認文書以外の追加資料の提出を求められることがあります。

提出書類は直近のみ・重複提出を削減

運営指導で確認する書類の範囲も、事業者の負担軽減のため明確にされています。原則として、前年度から直近までの実績に関する書類が対象となり、何年も前の書類まで遡って求められることはありません。また、利用者の個別記録(支援記録やサービス提供記録など)のチェックも、特に必要な場合を除き最大3名分程度に絞られます。

事前提出書類や当日提出書類についても、部数はそれぞれ1部で足ります。自治体側が既に保有している書類(例えば指定申請時に提出済みで内容が変わっていないもの)は、再提出を求めない方針です。具体的には、事前に提出した資料と当日確認する資料が重複しないようにしたり、法人内で共通の書類を事業所ごとに重ねて提出させない、といった配慮が行われます。

さらに、書類をICT(情報通信技術)で管理している事業者の場合には、運営指導の際にパソコンの画面上で必要なデータを直接確認するなど、電子データを活用した柔軟な方法で書類確認を行うことも認められています。これにより、紙の資料を大量に印刷して用意するといった手間も減らすことができます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 運営指導は面談形式+オンライン併用 – 行政職員が事業所で面談しながら書類を確認しますが、現地確認が不要な内容はオンライン会議等も活用されます(セキュリティ確保と事業者負担軽減が前提)。
  • 標準確認項目を中心にチェック – あらかじめ定められた重点項目(標準確認項目)に沿って指導が行われ、原則としてその範囲内でチェックされます。問題が疑われる場合のみ、それ以外の項目や追加書類の確認があります。
  • 書類提出は直近分のみでOK – 提出資料は前年度から最近のものが中心で、過去の書類を何年も準備する必要はありません。事前提出・当日提出も各1部で足り、以前提出済みの書類の再提出も不要です。ICT管理のデータは画面上で確認対応可能です。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。