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独習 障害福祉サービス 指導監査 | 指定障害福祉サービス事業者等指導指針 5 指導方法等 (1) 運営指導 ② 指導方法 後半

営指導の効率化と改善報告のポイント


記事の概要:
障害福祉サービス事業所に対する自治体の運営指導(※旧称「実地指導」)について、厚生労働省からその指導方法の効率化や指導後の手続に関する通知が発出されています。これにより、複数の事業所への同時指導や関連法の監査との合同実施、さらには指導時間の短縮などが推進され、事業者・自治体双方の負担軽減と運営指導の頻度向上が図られます。また、指導後には結果が文書で通知され、指摘事項があれば改善報告書の提出が求められる流れが明確化されました。

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複数事業所への運営指導を同日にまとめて実施

同一の所在地や近隣に複数の障害福祉サービス事業所がある場合、可能な限り同じ日または連続した日程で運営指導を実施するよう促しています。例えば、法人が同じ建物内や近隣に複数の事業所(グループホームや就労支援事業所など)を運営している場合、自治体はそれらを一緒の日程で指導し、移動時間の削減や内容確認の重複防止によって効率化を図ります。事業者側にとっても、指導日程が集約されるため対応しやすく負担が軽減されるメリットがあります。

関連する法律の監査との合同実施

障害福祉サービス事業所に対する運営指導に関連して、他の法律に基づく指導や監査も合同で実施することが奨励されています。自治体内部で担当部署同士が調整を行い、事業者の状況に応じて、障害福祉サービスに係る指導と関連分野の監査を同じ日または連続日にまとめて行う取り組みです。例えば、事業所が障害者支援だけでなく関連するサービス分野(児童福祉法に基づく障害児支援事業など)の指定も受けている場合、それぞれ別々に監査が入るのではなく一度に合同でチェックが行われる可能性があります。これにより事業者は何度も監査対応をする手間が省け、行政側も効率的に指導監査を進めることができます。

運営指導の所要時間を短縮し頻度を向上

通知では、各事業所あたりの運営指導に要する時間を可能な限り短縮する方針も示されています。具体的には、前述の同時実施や合同実施といった効率的な指導方法を踏まえて、1事業所ごとの指導時間を減らし、さらには1日に複数の事業所を指導できるようにする取り組みです。例えば、これまで1事業所の実地指導に半日かかっていたものを、書類の事前確認やICTの活用などで短時間で済ませることで、午前と午後で別々の事業所を指導するといった運用も想定されます。こうした時間短縮により、事業者と自治体双方の負担軽減につながるだけでなく、指導回数(頻度)の向上も期待できます。

運営指導の結果は後日文書で通知

運営指導が行われた後、その結果は口頭だけでなく文書で通知されることが明確化されました。特に、指導の中で改善が必要だと認められた事項があった場合、後日自治体から事業者宛てに書面により指導内容の通知が届きます。この文書には、どのような点について改善を求めるのか具体的に記載されます。事業者にとっては、指摘事項を正式な書面で確認できるため見落としを防ぎやすく、改善に向けた社内共有や対応計画の策定が行いやすくなります。また、万一指摘事項がなかった場合でも、「運営指導結果のお知らせ」のような形で報告が来る自治体もありますが、基本的には問題点がある場合に通知が届くと考えてよいでしょう。いずれにせよ、文書で結果が示されることで事業者は指導内容を正確に把握しやすくなるメリットがあります。

指摘事項の改善報告書を自治体へ提出

運営指導で指摘を受けた事項については、事業者から自治体へ改善報告書を提出することが求められます。通知にも「文書で指摘した事項にかかる改善報告書の提出を求めるものとする」と明記されており、これは事実上の義務と考えてください。改善報告書とは、指摘された項目に対してどのような改善措置を講じたかを報告する文書です。通常、自治体から送られてくる通知書に報告書の様式(フォーマット)や提出期限が記載されています。事業者は、その期限までに各指摘事項への対応内容を整理し、書面で報告を行う必要があります。例えば、「◯◯の記録が不十分」と指摘された場合、該当記録を整備し直したうえで「◯◯の記録様式を見直し、欠員が出ないよう◯月◯日から運用改善済み」といった具合に改善内容を具体的に記載します。報告書を期限内に提出しないと、自治体からの確認や督促が行われ、状況によっては行政処分の勧告や命令など次のステップに進む可能性もあります。したがって、指導後に通知が届いた際は速やかに社内で改善対応を進め、確実に改善報告書を提出することが重要です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 運営指導の効率化 – 運営指導(旧実地指導)は同じ場所・近隣事業所のまとめ実施や他分野監査との合同実施が推進され、指導時間も短縮されます。事業者は、この動きにより指導日程が集約・短時間化されることを理解し、必要書類の事前準備や当日の対応を効率よく行うことが求められます。
  • 指導結果は書面で確認 – 運営指導の結果、改善が必要な点は後日届く文書で正式に通知されます。現場で口頭説明を受けただけで安心せず、郵送等で届く指導通知書を必ず確認しましょう。そこに書かれた指摘事項が自社の課題リストとなりますので、内容を関係職員と共有し、改善計画に反映させることが大切です。
  • 改善報告書の提出は必須 – 指摘事項があった場合、定められた期限までに改善報告書を提出する義務があります。指摘に対する対応策を漏れなく実施し、その結果を報告書にまとめて自治体へ提出してください。期限内の確実な提出によって、行政からの信頼確保や重い処分の回避につながります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。