監査結果の通知先と国への報告義務を解説
記事の概要:
本記事では、その監査後の情報共有や報告のルールについて解説します。監査とは、事業所に法令違反や不正のおそれがある場合に、自治体などが詳しく調査を行う手続きです。監査の結果判明した事実や、それに基づく行政処分の内容は、監査を実施した自治体だけでなく、関係する他の自治体にも情報提供(通知)されます。また、指定取消しのような重大な処分に関しては、国(厚生労働省)にも事前に情報提供する決まりです。さらに、監査の実施状況や行われた行政処分の状況は、国へ定期的に報告することが義務付けられています。
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監査結果は都道府県と市町村で相互に通知
監査の結果は、監査を行った行政機関だけでなく、都道府県と市町村の間で必ず共有されます。具体的には、都道府県がある事業所を監査した場合、その事業所が活動している市町村に対し、監査結果とそこで判明した問題点、そして科された行政処分(改善指導や指定取消しなど)を通知します。逆に、市町村が事業所を監査した場合は、その結果や処分内容を都道府県に伝えます。このように監査内容を関係自治体へ情報提供することで、事業所の所在地を管轄する自治体と指定権限を持つ自治体の双方が、監査の結果を把握できる仕組みになっています。
指定取消処分は決定前に国へ情報提供
障害福祉サービス事業者に対して指定取消しなどの重い行政処分を行う際には、最終決定を下す前に国(厚生労働省)へ情報提供するルールがあります。指定権限を持つ都道府県や市町村は、事業者の指定を取り消す処分等の内容について決定する前に、所定の方法で厚生労働省の担当部署(社会・援護局障害保健福祉部企画課)に対し情報を提供しなければなりません。つまり、事業所の指定を取り消すような重大な処分を行う場合には、あらかじめ国にもその内容を伝えておく必要があるということです。この手続きにより、国の機関も重大な処分案件の情報を事前に得ることができます。
監査や処分の実施状況は国へ報告義務あり
都道府県および市町村は、自ら実施した監査の件数や結果、それに基づく行政処分(指導勧告、命令、指定停止・取消し等)の状況について、厚生労働省に対して定期的に報告する義務があります。これは「別に定めるところ」による手続きで行うとされていますが、平たく言えば各自治体でどれだけ監査を行い、どんな行政措置を取ったかを、国が取りまとめて把握する仕組みです。報告された情報をもとに、国は全国の障害福祉サービス事業者の指導監査の実施状況を把握しています。事業者側から見ると、自分の事業所に関する指導監査や処分の情報も、最終的には国に集約されていることになります。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 監査の結果や処分内容は、監査を実施した自治体からもう一方の自治体(都道府県⇔市町村)へ必ず通知・共有されます。
- 指定取消しなど重大な処分を行う際は、最終決定前に国(厚生労働省)への情報提供が必要とされています。
- 自治体が行った監査や行政処分の状況は国にも報告されており、全国的に状況が集計・管理されています。
【免責事項】
