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独習 計画相談支援 指定基準 | 第二 指定計画相談支援に関する基準 1 人員に関する基準 (1) 後半

画相談支援の相談支援員とは?その配置要件とポイントをわかりやすく解説


記事の概要:
障害福祉サービスの計画相談支援において新たに位置づけられた「相談支援員」について、その役割と配置の条件を分かりやすく説明します。計画相談支援とは、障害者の方がサービス等利用計画(サービス利用計画)を作成・実行する際に支援を行う相談支援専門員等のサービスです。本記事では、指定計画相談支援事業所における相談支援員の設置要件や相談支援員自身の資格要件、業務上の注意点などをやさしくシンプルに解説します。

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相談支援員とは何か?その役割と背景

相談支援員とは、計画相談支援事業所で相談支援専門員の業務を補助・担当する新しい職種です。令和6年の報酬改定に伴い、その定義や配置ルールが厚生労働省の解釈通知(指定計画相談支援の指定基準解釈)に明記されました。相談支援員は、サービス等利用計画の原案作成やモニタリングなど、一部の業務を相談支援専門員の指導の下で行うことができます。これにより、相談支援専門員(いわゆる計画相談支援の専門職)の負担を軽減し、質の高い支援を継続することが期待されています。ただし、相談支援員を配置するためには事業所・人員双方で満たすべき厳格な条件が定められており、誰でも簡単に配置できるわけではありません。

相談支援員を配置できる事業所の条件(事業者要件)

相談支援員を事業所に置くためには、まず事業所側が満たすべき要件があります。指定特定相談支援事業所(計画相談支援を行う事業所)が相談支援員を配置できるのは、次のすべての条件をクリアした場合です。

機能強化型サービス利用支援費の算定要件を満たしていること。

機能強化型サービス利用支援費とは、計画相談支援事業所の体制が充実している場合に算定できる加算(追加報酬)のことです。例えば、常勤専従の相談支援専門員を複数配置し、そのうち一定数以上が研修修了者である等の基準を満たす必要があります。つまり、相談支援員を配置する事業所は、人員体制や研修体制が十分整った「機能強化型」の事業所である必要があります。

(補足)なお、一度相談支援員を配置した後も、この要件は継続して満たし続けなければなりません。ただし、やむを得ない理由で一時的に要件を満たせない場合であっても、速やかに要件を回復できる見込みがあるなら例外的に認められます。

主任相談支援専門員による指導・助言体制が確保されていること。

相談支援員は、経験豊富な主任相談支援専門員の指導の下で業務にあたることが求められます。そのため事業所には、主任相談支援専門員が相談支援員に対して適切に指導・助言できる仕組みを整えておく必要があります。具体的には、以下のすべてを満たす体制づくりが求められます。

  • 利用者の情報共有やサービス提供上の留意点などを伝達するための定期的な会議の開催
  • 主任相談支援専門員が同行する研修を継続的に実施し、全ての相談支援員が実践的に学べる機会を設ける
  • サービス提供の技術向上を目的とした指導・助言の実施
    (例:地域づくりや人材育成、困難事例への対応など、サービスの総合的かつ適切な利用支援につながる知識・技術の向上を図る指導)

上記のように、事業所側では充実した人員体制と研修・指導体制を備えていることが、相談支援員配置の大前提となります。ハードルは高めですが、この仕組みにより相談支援員の質を確保し、利用者への支援水準を落とさないようにしています。

相談支援員本人の資格要件と役割(人員要件)

次に、相談支援員として配置される人自身の要件です。相談支援員になれるのは、以下の条件を満たす方に限られます。

  • 有資格者であること:相談支援員として従事できる人は、必ず社会福祉士または精神保健福祉士の国家資格を持っていなければなりません。福祉分野の専門資格を有することで、利用者支援に必要な基礎知識・倫理観を担保する狙いがあります。
  • 専ら当該事業所の職務に従事すること:相談支援員は、原則として計画相談支援の業務に専念する常勤スタッフである必要があります。他の無関係な業務を兼務しながら片手間に行えるものではなく、計画相談支援事業所の業務に専従することが求められます。これによって、相談支援員が利用者支援に集中できるようにし、質の高い計画相談支援を提供できるようにしています。

相談支援員の兼務に関するルール

相談支援員の兼務についても細かな規定があります。基本的な考え方として、相談支援員は計画相談支援のサービス提供時間中は他の業務を行ってはいけないとされています。これは前述の専従義務を具体的に示したもので、勤務時間帯は計画相談支援の仕事に集中させるという趣旨です。

しかし、いくつか例外的に認められる兼務もあります。同じ法人内で一体的に運営されている以下のような事業であれば、相談支援員が兼務することが可能です。

  • 指定障害児相談支援事業所(障害児を対象とした計画相談支援)
  • 指定一般相談支援事業所(地域相談支援の一種)
  • 指定自立生活援助事業所(自立生活援助サービス)
  • その他これらに類する業務(※具体例:基幹相談支援センター業務や障害者相談支援事業など)

上記の業務は計画相談支援と目的や内容が類似・関連しているため、組織的にまとめて運営されている場合には相談支援員が兼務できます。ただし、例えば基幹相談支援センターや市町村から委託を受けた障害者相談支援事業の業務を兼務させる場合は、その業務を委託している自治体(市町村等)が兼務を認めた場合に限られる、という条件があります。これは、公的な相談支援機関の仕事を兼ねる際には自治体の了解を得て調整する必要があるためです。

(補足)相談支援員の兼務に関する注意点や考え方は、指定基準の他の職種(例えば相談支援専門員等)の兼務規定と基本的に同様です。要は「利用者支援に支障が出ないよう、兼務は慎重に」という原則になります。

以上のように、相談支援員は計画相談支援専門員を補佐しつつも、その配置には厳しい条件が課されています。適切に配置・運用することで、事業所の計画相談支援機能を強化し、利用者へのきめ細やかなサービス提供につなげることができます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 相談支援員の配置にはまず事業所要件のハードルを確認:自社の計画相談支援事業所が機能強化型サービス利用支援費の算定要件を満たす規模・体制かどうかをチェックしましょう。加えて、主任相談支援専門員による研修・指導の仕組みを構築できているかも重要です。
  • 人材確保と資格要件:相談支援員として採用できる人材は、社会福祉士または精神保健福祉士の資格保持者に限られます。あわせて、そのスタッフは計画相談支援業務に専念させる必要があるため、常勤スタッフの人件費や配置計画もしっかり検討しましょう。
  • 兼務の可否を事前に計画:相談支援員は基本的に他業務兼務ができませんが、障害児相談支援など関連事業との一体的運営であれば兼務が可能です。自法人で複数の相談支援事業を行っている場合は、計画相談支援と障害児相談支援を一緒に運営し、人員を融通する戦略も考えられます(ただし自治体の了承が必要なケースあり)。
  • 質の担保とサービス向上:相談支援員を導入する際は、単に人数を増やすだけでなく、指導・研修体制の整備によりスタッフのスキルアップを図ることが肝心です。定期会議やOJT研修を通じて相談支援員の力量を高めることで、利用者へのサービスの質を維持・向上できます。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。