指定計画相談支援における説明と同意の義務
記事の概要:
障害福祉サービスの一つである「計画相談支援」では、サービス開始前に利用者への重要事項の説明と同意取得が義務付けられています。このルールは、厚生労働省の定める指定計画相談支援の運営基準(第5条)に基づいており、サービス事業者が利用者に対して事前に必要な情報をわかりやすく伝え、納得してもらった上で契約を結ぶことを目的としています。本記事では、この「説明と同意」の具体的な内容とポイントを、やさしくシンプルに解説します。
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サービス開始前の重要事項説明と同意取得
指定特定相談支援事業者(計画相談支援を行う事業者)は、利用者に計画相談支援サービスを提供開始するにあたり、まず重要事項の説明を行い、利用者から同意を得なければなりません。重要事項とは、サービスを選ぶために利用者が知っておくべき大切な情報のことです。例えば、次のような内容が含まれます。
- 運営規程の概要(事業所の運営方針やルールの概要)
- 従業者の勤務体制(どんなスタッフがどのように配置されているか)
- 事故発生時の対応方法(サービス中に事故が起きたときの連絡や対処方法)
- 苦情処理の体制(苦情や相談を受け付ける窓口・方法)
事業者は、利用者の障害の特性に応じて適切に配慮しながら、こうした重要事項をわかりやすい資料(説明書やパンフレット等)で提供し、丁寧に説明します。例えば、知的障害のある方には難しい専門用語を避けて平易な言葉やふりがなを用い、視覚障害のある方には文字を大きくした資料や点字版・音声案内を用意するなど、障害特性に合わせた工夫が必要です。こうした配慮により、利用者はサービス内容を正しく理解でき、安心してサービスを選べるようになります。
事業者による懇切丁寧(親切で丁寧)な説明の後、利用者が内容に納得したら、サービス利用の同意をもらいます。通常、この同意は重要事項説明書や同意書への署名や押印などの形で確認します。利用者と事業所双方が説明内容を確認し、合意した証拠を残すため、書面で同意を確認して記録を残すことが望ましいでしょう。書面を用いておけば、後々「聞いていない」「説明と違う」といった認識の食い違いによるトラブルを防ぐことにもつながります。
契約時に交付する書面と記載すべき事項
重要事項の説明と同意を経て、利用者がサービス利用を決めたら契約を結びます。契約が成立した際には、事業者は利用者に対して契約内容を書面で交付しなければなりません。これは社会福祉法第77条第1項の規定によるもので、契約時に交付する書面(契約書や重要事項説明書)には以下の内容を記載する必要があります。
以上の5項目は法律で定められた必須事項です。契約書や重要事項説明書に漏れなく盛り込み、利用者に交付しましょう。最近では、利用者の希望に応じて紙ではなくメールなど電子データで書類を交付することも可能です。利用者の承諾があれば電子交付も法律上認められています(電子データを送れば書面を渡した扱いになります)。例えば、契約書類をPDFデータでメール送信する方法でも有効です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- サービス開始前の説明は義務:計画相談支援を提供する際は、契約前に必ず重要事項の説明を行い、利用者の同意を得ましょう。利用者にとって理解しやすい資料と言葉で説明し、質問や不安にも丁寧に答えることが大切です。
- 説明と同意の記録を残す:口頭の説明だけでなく、説明内容や同意を得た事実は書面(重要事項説明書や同意書)で記録し、双方で保管します。書面を残すことで後日の認識違いによるトラブルを防止できます。
- 契約書類に必要事項を網羅:契約時に交付する書類には、事業者情報からサービス内容、料金、開始日、苦情窓口まで、法律で決められた項目を漏れなく記載します。自社の運営規程とも矛盾がないよう正確に作成しましょう。
- 電子データでの交付も可能:利用者が希望する場合、契約書や重要事項説明書は電子データで交付できます。メール送信などデジタルな方法でも確実に相手に届くようにし、紙の場合と同様に内容を充実させておきましょう。
【免責事項】
