指定計画相談支援の給付費通知の解説
記事の概要:
指定計画相談支援における利用者負担額の管理と給付費の通知について解説します。計画相談支援とは、一言でいうと障害者が受ける福祉サービスの計画を作成するための支援を行う事業です。本記事は、基準第14条の内容をやさしくシンプルにまとめます。
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計画相談支援給付費の通知義務(基準第14条)
① 利用者への通知 ― 法定代理受領を行った場合
計画相談支援では、原則として事業者が市町村から直接、給付費の支払いを受けます。これを「法定代理受領」と呼びます。つまり、利用者が自ら市町村に請求しなくても、事業者が代わって給付費を受け取る仕組みです。
この場合、事業者には「利用者に給付費の額を通知する義務」があります。単に「お金をもらいました」と一言伝えるだけでは不十分です。どの期間のサービスに対して、いくらの給付費が支払われたのかを文書で明示するなど、利用者が納得できる形で通知することが求められます。制度上、給付費はあくまで「本人に支給されるものを、事業者が代理で受け取っている」という考え方に基づいています。したがって、利用者が「自分の給付費がどこにどう使われたのか」を把握できるようにすることは、法的にも倫理的にも極めて重要です。この通知義務を怠ると、利用者との信頼関係が崩れるだけでなく、実地指導や監査時に指摘の対象となるおそれがあります。
② サービス提供証明書の利用者への交付 ― 利用者が直接支払った場合
一方、法定代理受領を行わず、利用者が事業者に直接、費用を支払ったケースではどうなるのでしょうか。この場合、基準第14条第2項により、事業者は利用者に「サービス提供証明書」を交付しなければなりません。この証明書には、以下のような情報を漏れなく記載する必要があります。
- 提供した計画相談支援の具体的な内容
- 支援にかかった費用の額
- 市町村に給付費を請求する際に必要な情報(支援の期間、支援区分、対象者情報など)
なぜここまで細かい情報が求められるのかというと、この証明書を使って、利用者自身が市町村に対し「私はこの支援を受けたので、給付費をください」と請求を行うからです。つまり、サービス提供証明書は「支援を受けた事実を証明する公式な書類」としての役割を果たします。事業者の記載ミスや交付の遅れがあると、利用者が正しく給付を受けられなくなる可能性もあります。とくに高齢の保護者がいる家庭などでは、役所への手続きが苦手な場合も多く、証明書の内容とタイミングが非常に重要になります。そのため、サービス提供証明書のフォーマットは事前に整備しておき、どの職員が、いつ、どのように交付するかという運用ルールまで事業所内で明確に決めておく必要があります。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 制度理解よりも優先すべきは「お金の流れ」の把握:計画相談支援を提供する事業者にとって、支援の質を高めることはもちろん重要ですが、それと同じくらい大切なのが「お金の出入り」に対する明確な責任です。今回取り上げた第14条の条文が示しているのは、まさにこの「費用の扱い」に関する透明性と説明責任です。
- 法定代理受領の有無にかかわらず説明が必須:市町村から給付費を直接受け取る場合でも、利用者自身が費用を支払う場合でも、その内訳や根拠を利用者にきちんと説明し、書面でも明示することが求められます。こうした誠実な対応の積み重ねが、信頼される事業運営につながります。
【免責事項】
