指定計画相談支援の具体的取扱方針とは?~相談支援専門員と支援員の役割と留意点~
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障害福祉サービスを利用する際には、市町村への申請を経て「サービス等利用計画」を作成する必要があります。この計画作りを支援するのが指定計画相談支援です。本記事では、厚生労働省の定める基準(基準第15条)にもとづき、計画相談支援を行う相談支援専門員(以下、専門員)と相談支援員(以下、支援員)の役割や責務、利用者や家族への支援の基本的な留意点をやさしくシンプルに解説します。
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相談支援専門員と相談支援員の役割
指定計画相談支援では、相談支援事業所の管理者が相談支援専門員に対して「サービス等利用計画」の案作成などの業務を担当させることが決められています。つまり、アセスメント(利用者の状況把握)から計画案の作成・見直し、サービス担当者会議の開催や計画の最終化・モニタリング(実施状況の把握)まで、計画相談支援の中心的な業務は専門員が担います。専門員には豊富な実務経験や都道府県研修の修了が求められ、その専門性が発揮される仕組みです。
一方で、相談支援員は専門員の補佐を行う職員で、常勤専従の社会福祉士や精神保健福祉士等が配置されます。配置には、いわゆる機能強化型事業所で主任相談支援専門員(以下、主任専門員)の指導・助言体制を整える必要があります。支援員は、日常的な資料準備や面談の補助などを行いながら、主任専門員や専門員の同行指導を受けて成長します。ただし、専門員以外の支援員は単独で重要な業務を行うことはできません。具体的には、サービス等利用計画案の説明・同意取得、計画書の交付、サービス担当者会議の運営や計画の変更などの業務は支援員だけでは実施できず、必ず主任専門員等と連携・同行しながら担当します。
下表はそれぞれの主な役割のイメージです。
支援の進め方と基本的留意点
指定計画相談支援は、利用者(や家族)の意向や参加を大切にしながら進めることが重要です。そのため、相談支援専門員は常に利用者目線で懇切丁寧な対応を心がけます。具体的には、サービスの提供方法や利用計画の内容について、利用者や家族に十分に理解しやすいよう説明しなければなりません。必要があれば、同じ障害を持つ当事者による支援(ピアサポート)など、利用者にとって理解しやすい手法を取り入れることも推奨されています。このように利用者と家族の主体的な参加と意欲を促しながら支援を行うことで、より効果的なサービス計画作りが可能になります。
また、利用者の情報や課題を整理するアセスメントや、各種サービス事業者との調整も専門員の重要な仕事です(アセスメントやサービス担当者会議の開催など)。これらを通じて利用者の希望や生活上の課題を把握し、最適なサービスの組み合わせを考えて計画案を作成します。その後、市町村による支給決定(いわゆるサービス利用の許可)に合わせて計画案を最終化・交付しますが、このときも専門員は利用者に説明し同意を得る役割を担います。支援員はこうした流れに同行・補助し、業務全体を学びながらサポートします。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 専門員に計画作成を担当させる:指定計画相談支援では、サービス等利用計画の作成等は相談支援専門員が担当します。事業所管理者は必ず専門員を配置して業務を任せてください。
- 支援員の配置要件:相談支援員は常勤の福祉系資格者で、主任相談支援専門員の指導・助言のもとで配置可能です。機能強化型の要件を満たし、定期的な指導体制を整えることが必要です。
- 単独業務の制限:支援員は専門員と異なり、サービス計画の説明・同意取得や計画書の交付、サービス担当者会議の運営など重要な業務を単独で行えません。これらの場面では主任専門員に同行しながら対応し、全体のプロセスに参加する形で支援してください。
- 利用者・家族への丁寧な説明:支援の際は利用者や家族の目線で、懇切丁寧にわかりやすい説明を行うことが求められます。資料や言葉を工夫し、疑問点を解消しながら進めましょう。
- 参加・意欲の促進:利用者や家族が計画作りに主体的に参加し、問題解決への意欲を持つことが重要です。説明の理解度に応じて方法を工夫し、ピアサポート等も活用しながら支援を進めると効果的です。
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