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独習 計画相談支援 指定基準 | 第二 指定計画相談支援に関する基準 2 運営に関する基準 (11) ⑯〜⑰

画相談支援におけるサービス等利用計画案の説明・同意と交付のポイント


記事の概要:
指定計画相談支援とは、障害のある方が適切な福祉サービスを利用できるように、相談支援専門員(いわゆるケースマネージャー)がサービス利用計画を作成・調整する仕組みです。この記事では、厚生労働省の定める指定計画相談支援の基準に基づき、「サービス等利用計画案の説明・同意」と「サービス等利用計画の交付」に関するポイントを、やさしくシンプルに解説します。

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サービス等利用計画とは?

これは、障害者が利用する複数の福祉サービスを一つの計画にまとめた「サービス利用のための総合計画」です。相談支援専門員が利用者やご家族の希望・課題を丁寧にアセスメントし、どのサービスをどのように組み合わせて提供するかを記載します。一方、各サービス事業者側でも個別支援計画という、自事業所で提供する支援内容の計画書を作成します。サービス等利用計画は利用者側の全体プラン、個別支援計画は事業所ごとのプランと考えると分かりやすいでしょう。計画相談支援では、これらをうまく連携させながら利用者本位の支援を実現していきます。

サービス担当者会議とは?

これは計画相談支援において重要なステップです。サービス担当者会議とは、利用者の支援方針を検討するために相談支援専門員が中心となって開催する話し合いです。利用者本人やご家族、そしてこれからサービスを提供する各事業所の担当者(サービス管理責任者など)が一堂に会し、計画案について専門的な意見交換を行います。この会議でサービス等利用計画の原案が固まったら、次はいよいよ利用者への説明と同意のステップです。

サービス等利用計画案の説明と文書での同意取得

サービス担当者会議でまとめたサービス等利用計画案は、利用者本人(またはご家族)に対してきちんと説明し、納得を得る必要があります。相談支援専門員は計画案の内容を利用者・家族にわかりやすく説明し、その上で文書により同意をもらわなければなりません。これは口頭で「了解しました」というだけでは不十分で、書面で正式に合意してもらうことが法律上求められているからです(指定計画相談支援の基準第15条第2項第13号に規定)。例えば、計画案の内容を説明する際には専門用語をかみ砕き、「どのサービスをどれくらい利用するか」「各サービスでどんな支援が受けられるか」などを丁寧に伝え、疑問があればその場で解消します。その上で利用者または家族から署名や押印等の形で文書同意を得ましょう。これにより、利用者側も自分の利用計画を正しく理解し、安心してサービス利用を開始できます。

サービス等利用計画の交付と関係者への共有

利用者の同意が文書で得られ計画案が確定したら、相談支援専門員は速やかにサービス等利用計画を完成させます。完成した計画書は、遅滞なく(できるだけ早く)利用者本人および関係する各サービス事業所の担当者に交付しなければなりません(基準第15条第2項第14号に規定)。計画書を手渡す(あるいは郵送等で送付する)だけでなく、交付時にはその計画の趣旨や内容を十分に説明することが求められています。具体的には、「この利用者にはどんな目標があり、それを実現するためにどのサービスで何を担うか」という計画の狙い・役割分担を各担当者と共有します。それぞれのサービス提供担当者が、「自分の提供するサービスが全体計画の中でどの位置付けにあるのか」を理解できるように配慮することが重要です。こうした説明と共有により、チーム全体で利用者支援の方向性を一致させることができます。

さらに、事業所間の連携強化もポイントです。指定計画相談支援の解釈通知では、サービス等利用計画の交付に際して相互連携を深めるための情報交換が推奨されています。具体的には、各サービス事業所(障害福祉サービス事業者や施設等)は自ら作成した個別支援計画を相談支援専門員に提供(交付)する義務があります。お互いに計画書を交換し合い、サービス提供後のモニタリング結果(支援の経過や成果のフィードバック)も共有します。また、必要に応じてお互いの会議に出席するなど、双方向の連携を図ることが重要とされています。例えば、サービス担当者会議にサービス提供側も積極的に参加し、一方でサービス事業所が開催する個別支援計画の会議や検討にも相談支援専門員が関与する、といった形です。こうした連携により、利用者を中心とした支援体制の質が一層向上します。

最後に記録の保管についても押さえておきましょう。作成したサービス等利用計画は、最低5年間の保存義務があります。これは指定計画相談支援の基準第30条第2項に定められており、後日万一サービス内容の検証や監査が入った際に備えて計画書を保管しておく必要があるということです。紙で保管する場合は利用者ごとにファイリングし、電子データで管理する場合もバックアップを取りつつ5年間は確実に保存しましょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 利用者への説明と書面同意は必須: サービス等利用計画案は、サービス担当者会議で専門家同士が合意した内容でも、最終的には利用者本人の理解と合意が不可欠です。必ず利用者やご家族に内容をわかりやすく説明し、納得の上で文書による同意をもらいましょう。口頭の同意では不十分なので注意が必要です。
  • 計画の速やかな交付と共有: 同意を得た後は、速やかに計画書を利用者と全てのサービス提供担当者に交付します。渡す際は計画の目的や各サービスの役割分担をしっかり説明し、チーム全員で共通認識を持つようにします。「配っただけ」で終わらせず、各担当者が自分の担当部分を理解できているか確認しましょう。
  • 双方向の連携体制づくり: 相談支援専門員から計画を渡すだけでなく、サービス事業者側からも個別支援計画の提供を受けたり、モニタリング結果を共有したりすることで双方向の情報共有を図ります。必要に応じてお互いの会議に参加するなど、密な連携体制を築くことが大切です。これにより、利用者支援の質をより高めることができます。
  • 計画書の保存期間を遵守: 作成したサービス等利用計画書は最低5年間は保管しましょう。行政からの実地指導や監査に備えて記録を残すのは事業運営の基本です。紙媒体でも電子媒体でも、期間内は確実に取り出せる状態で保存しておくことが求められます。 


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。