計画相談支援の運営規程のポイント解説(基準第19条①〜③部分)
記事の概要:
指定計画相談支援の事業者(指定特定相談支援事業所)は、事業運営のために運営規程というルールブックを整備する義務があります。運営規程には、障害者総合支援法に基づく人員・運営基準(基準第19条)で定められた項目を盛り込む必要があります。本記事ではそのうち解釈通知の①〜③について、やさしくシンプルに解説します。(※残りの項目は次回解説予定)。
▶︎ 計画相談支援 関連記事まとめページはこちら
従業者の職種・員数・職務の内容
運営規程のまず一つ目のポイントは、従業者(スタッフ)の職種と人数および職務内容を定めることです。指定計画相談支援事業所では、スタッフを大きく分けて相談支援専門員、相談支援員、その他の従業者の3区分に分類し、それぞれ担当する役割(職務内容)と配置人数を記載します。
- 相談支援専門員:支援計画の作成や利用者との相談対応を担う専門職です。
- 相談支援員:相談支援専門員を補助し、利用者支援の実務を行うスタッフです。
- その他の従業者:上記以外で事業所運営を支えるスタッフ(事務担当者など)です。
人数の書き方のコツ:スタッフの人数は日々変動しうるため、正確な人数を書いてしまうと変更のたびに規程を修正する手間が生じます。そこで、法律上必要な最少人数さえ満たしていれば、運営規程には「○人以上」のように必要最低人数以上であることを示す書き方で問題ありません。こうしておけばスタッフが増減しても規程の修正が不要になります。
例えば、運営規程には「相談支援専門員:1人以上(計画作成・相談対応)、相談支援員:1人以上(専門員補助)、その他従業者:1人以上(事務処理 等)」のように記載できます。このように「○人以上」としておけば、法定の最低人数を下回らない限りOKです。事業規模に応じ適切な人員を配置し、その役割を明確に示すことが大切です。
サービスの提供方法・内容と費用の額
二つ目のポイントは、指定計画相談支援の提供方法・内容および利用者から受け取る費用とその額を定めることです。
まずサービスの提供方法・内容には、事業所がどのように相談支援サービスを提供するかを具体的に記載します。例えば、サービス内容(どんな支援を行うか)、相談を受ける場所(自宅訪問、事業所の相談室 等)、課題分析(アセスメント)の手順(例:初回相談→支援計画案作成→内容説明・同意→支給決定申請)などです。読んだ人がサービスの流れをイメージできるよう丁寧に書きましょう。
次に利用者から受領する費用及びその額についてです。計画相談支援の利用料については、一般的には法定受領代理を経て事業者へ費用が支払われます。ただし、運営規程には例外的なケースも記載します。例えば、事業所が法定代理受領を利用せず直接利用者から費用を受け取る場合、全額を給付費相当額として受け取ります。また、特別な交通費や書類発行費等の実費負担(※基準第12条第2項で規定)が発生し得る場合には、その旨と上限額などを明示します。
要するに、「サービス提供にかかる費用のなかで、例外的に利用者に請求し得る費用があれば明確に示す」ということです。利用者との金銭トラブルを防ぐため、費用に関する取り決めは契約前に説明できるよう運営規程に盛り込んでおきましょう。
通常の事業の実施地域
三つ目のポイントは、通常の事業の実施地域、つまりサービス提供の基本的なエリアを定めることです。事業所が普段サービスを提供する地域を、例えば「○○市全域」のように客観的に区域が特定できる表現で記載します。
注意したいのは、この「通常の実施地域」はあくまで目安だという点です。利用申込み時の調整を円滑にするための参考範囲にすぎず、定めた地域を超えてサービス提供してはいけないという意味ではありません。実際、利用者のニーズ次第では地域外でもサービス提供は可能です。規程では主な活動エリアを示しつつ、必要に応じて柔軟に対応できる方針を持っておくことが大切です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 運営規程の整備は必須:指定計画相談支援事業を開始するには運営規程作成が欠かせません(指定申請時に提出)。①〜③の内容も漏れなく盛り込みましょう。
- スタッフ人数の表記方法:相談支援専門員など必要人員を確保し、「○人以上」と最低人数を示せば増減時も柔軟に対応できます。役割分担も明確に示しましょう。
- サービス内容と費用の明示:提供する相談支援の流れや方法を具体的に示し、利用者負担が基本ないことを明記します。費用を徴収する場合は、その条件や額を事前に説明できるようにしておきましょう。
- 提供エリアは目安:通常の実施地域はあくまで目安です。地域外でも対応できる柔軟さを持つことで、より幅広い利用者ニーズに応えられます。
【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。
