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独習 計画相談支援 指定基準 | 第二 指定計画相談支援に関する基準 2 運営に関する基準 (18) 後半

画相談支援事業所のBCP研修・訓練のポイントを解説


記事の概要:
計画相談支援事業所では、感染症や自然災害などの緊急事態に備える業務継続計画(BCP)の策定が義務付けられています。そのBCPを実際に役立てるには、スタッフへの研修やシミュレーション訓練が欠かせません。本記事では、計画相談支援の指定基準に関する解釈通知に基づき、BCPに関する研修と訓練(シミュレーション)のポイントをやさしくシンプルに解説します。前回はBCP策定のポイントを説明しましたが、今回はその続きとして研修と訓練に焦点を当てます。

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BCP研修について

BCP研修の目的は、職員全員にBCPの具体的な内容を共有し、非常時だけでなく平常時からの備えの大切さや、いざ緊急事態が起きたときの対応方法をしっかり理解してもらうことにあります。具体的には、事業所が作成した感染症・災害時のBCPの中身をスタッフと確認し合い、普段から何を準備しておくべきか、緊急時にはどう動くかを共有します。

研修は少なくとも年1回実施することが求められ、新規職員を採用したときには別途BCP研修を行うことが望ましいとされています。つまり最低でも年1回は全スタッフ対象のBCP研修を行い、新人が入ったらその都度研修するのが理想です。また、研修を行ったら内容を記録しておきましょう。後から見直したり、行政から確認を求められた際の証拠にもなります。ちなみに、感染症に関するBCP研修は、感染症予防のための研修とまとめて実施しても構いません。事業所の状況に応じて、効率よく研修を進めましょう。

BCP訓練(シミュレーション)について

訓練の狙いは、実際に感染症の発生や自然災害が起こった際に職員が迅速に行動できるようにすることにあります。そのため、策定したBCPに沿って緊急時の役割分担を確認するシミュレーション訓練を定期的に行います。例えば、大地震が発生したとの想定で「誰が利用者に連絡するか」「相談支援専門員はどのようにサービス調整を行うか」など具体的にシミュレーションします。また、非常時に提供する支援(計画相談支援では利用者の安否確認やサービス調整など)の演習も行いましょう。訓練も研修と同様、年1回以上の実施が必要です。普段から訓練を重ねておけば、緊急時にも落ち着いて対応できるでしょう。

BCP訓練の方法については、「訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わない」とされています。つまり、必ずしも大掛かりな実地演習を行う必要はなく、机上訓練(テーブルトップ訓練)といった会議形式のシミュレーションだけでも構いません。職員が少ない事業所では机上シミュレーションは現実的な方法です。一人で運営している場合でも、想定事例を紙の上でシミュレーションし、その記録を残せば訓練実施と見なされます。ただし、可能であれば机上演習と実地訓練を組み合わせて実施するのが望ましいとされています。

なお、感染症のBCP訓練も研修と同様に、防疫訓練(感染症発生を想定した訓練)と一緒に行って構いません。

以上のように、計画相談支援事業所におけるBCP研修・訓練の目的はスタッフの意識向上と非常時対応力の強化です。なお、令和6年(2024年)4月からBCPの策定と研修・訓練の実施が完全に義務化されています。まだ準備ができていない事業者は早めに対応しましょう。定期的な研修・訓練で、非常時でもサービスを途切れさせない体制を整えることが事業者の責務です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • BCP研修は年1回以上、新規職員にも実施を:業務継続計画(BCP)の内容を全職員が理解しておくために、年1回以上の研修が必要です。新しく職員を採用した場合は、別途研修を行うことが望ましいとされています。研修を行ったら、内容を記録しておくことも忘れずに。これは後から見返したり、行政への報告時にも役立ちます。
  • BCP訓練(シミュレーション)は年1回以上、役割分担を明確に:緊急時に職員がスムーズに動けるよう、訓練も年1回以上行うことが求められます。感染症や災害を想定し、誰が何をするかを事前に確認し、具体的な支援手順を演習しておくことが大切です。
  • 感染症対策とBCPの研修・訓練は一体実施も可能:感染症対策とBCPの研修・訓練はまとめて実施しても差し支えありません。訓練方法は自由で、机上演習だけでも構いませんが、可能であれば実地訓練と組み合わせると、より実践的な備えになります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。