計画相談支援における感染症・災害に備えた業務継続計画の義務化とは
記事の概要:
計画相談支援事業所は障害福祉サービスの一つですが、こちらについても業務継続計画(BCP)の策定と、それに基づく研修・訓練の実施が義務化されています。これは、感染症や災害が起きてもサービスを継続できるように準備するための新しいルールです。本記事では、その新しいルール(指定基準第20条の2)について、やさしくシンプルに解説します。
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業務継続計画(BCP)策定の義務化とは?
業務継続計画(BCP)とは、感染症のまん延や地震などの災害が発生しても、事業所の業務をなるべく途切れさせずに継続し、早期に復旧させるための計画のことです。指定特定相談支援事業者(計画相談支援事業所)に対して、令和6年度(2024年)の制度改正でこのBCPの策定と研修・訓練の実施が義務(必須)となりました。
実際の指定基準第20条の2では、感染症や災害が起きても利用者が継続して計画相談支援(サービス等利用計画の作成支援)を受けられるように、各事業所が業務継続計画(BCP)を策定することと定められています。さらに、その計画に従って職員に対する研修や訓練(シミュレーション)を行わなければならないとも規定されています。
ポイントは、非常時にもサービス提供を途切れさせない工夫と、早めに業務を再開できる体制を平常時から作っておくことです。また、BCPの策定や研修は事業所ごとに行うのが基本ですが、他のサービス事業所と協力して作成・実施しても問題ありません。例えば、地域の他の障害福祉サービス事業所と合同で訓練を行うといった連携も可能です。さらに、実際に緊急事態が起きたときには職員全員で協力して対応する必要があります。そのため、研修や訓練にはできるだけ全職員が参加できる形が望ましいとされています。
業務継続計画に盛り込むべき内容
では、BCPに具体的にどのような内容を盛り込むべきかを見てみましょう。基準では、感染症の場合と自然災害の場合に分けて、下記のような項目を計画に記載することとされています。それぞれの詳細は厚生労働省の「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」および「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」が参考になります。また、想定される災害は地域によって異なるため、自事業所の地域特性に合わせて項目を追加・調整することも重要です。なお、感染症向けのBCPと災害向けのBCPを別々に作成せず、一体的にまとめて策定することも可能です。
このように、平常時の備えから緊急時の初動対応、関係機関や地域との連携までを事前に決めておくことで、いざというときに慌てずに利用者への支援を継続しやすくなります。BCPは「備えあれば憂いなし」の精神で、普段から計画と訓練を重ねておくことが大切です。
事業者・起業希望者が押さえるべき3つのポイント
- BCPの策定と職員研修は義務:業務継続計画(BCP)の作成と、計画に基づく職員への研修・訓練は、指定計画相談支援事業所において義務化されています。作成や実施がなければ行政指導や報酬減算の対象になるため、確実に対応が必要です。
- 単独対応でなく、地域連携やガイドライン活用で実効性を高める:BCPは単独で策定する必要はなく、他の事業所や関係機関との連携も可能です。厚労省が公表している感染症・災害対応のガイドラインや様式例を活用し、地域のリスクに即した現実的な内容を計画に盛り込みましょう。
- 計画は作って終わりではない:全職員参加・定期的な見直しが鍵:緊急時は誰が現場を担うか分からないため、職員全員が参加する訓練が望まれます。また、一度作った計画も定期的に見直し、実践を通じて得た課題や改善点を反映し続けることが、BCPの本来の目的を果たすために不可欠です。
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