指定特定相談支援事業者の契約報告義務と提供拒否禁止の解説
記事の概要:
この記事では、障害福祉サービスの指定計画相談支援に関わる事業者が守るべきルールのうち、「契約成立時の自治体への報告義務」と「サービス提供の拒否禁止」についてわかりやすく解説します。法律や省令の基準では、契約を結んだときやサービス利用計画を作成したときに市町村へ報告することが定められており、また利用申し込みを拒否できる理由とできない理由も明確に示されています。本記事では、これらのポイントを踏まえて、押さえるべき内容をやさしくシンプルに整理します。
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契約成立時の報告義務(基準第6条)
指定特定相談支援事業者(計画相談支援を提供する事業所)は、利用者と契約が成立した時点で、遅滞なくその事実を市町村(自治体)に報告しなければなりません。また、利用者やその保護者にサービス等利用計画(サービス利用計画)を作成した場合には、その写しを遅滞なく市町村へ提出する義務もあります。これは契約内容や計画内容を自治体と共有することで、適切な支給管理を行うためです。
さらに、計画相談支援におけるモニタリング(計画の実施状況確認)結果についても、以下のような場合に市町村へ報告しなければなりません:
- 支給決定の更新や変更が必要となった場合。
- 利用者の生活状況が変わり、モニタリング期間を変更する必要が生じた場合。
- モニタリングを行う月を再設定する必要がある場合。
これらの場合、自治体への適切な報告により、支援計画の継続や給付管理が円滑に行えるようになります。
サービス提供の拒否禁止(基準第7条)
指定特定相談支援事業者は、原則として申し込みに応じなければならず、利用者の障害支援区分や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否してはなりません。つまり、区分や収入で差別せず、支援が必要な人には基本的に対応する義務があります。
ただし、以下のような場合は正当な理由として申し込みを断ることが認められています:
- 事業所の定員がいっぱいで新規受け入れが困難な場合。
- 利用申込者の居住地が事業所の通常のサービス提供範囲外の場合。
- 運営規程で対象とする障害の種類が定められており、申込者が該当しない場合。
- その他、適切な支援を提供できる体制が整っておらず、利用者の支援が難しい場合。
たとえば、施設の現員数が限界の場合や、居住地が対応エリア外の場合などは正当な理由になります。ただし、障害の程度(支援区分)や世帯の所得などだけを理由に断ることは禁じられています。
また、体制整備加算を算定している事業所では注意が必要です。行動障害支援や医療的ケア支援、精神障害支援、高次脳機能障害支援などの体制整備加算を得ている事業所については、対応できない理由で利用を断ることは認められません。つまり、それらの加算に対応する特性をもつ利用者から申し込みがあった場合は、拒否せず対応する必要があります。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 契約成立報告:利用者との契約が成立したら速やかに市町村へ報告する。また、サービス利用計画を作成した際は、その写しを自治体に提出する。
- モニタリング報告:支給決定の更新や変更、利用者の状況変化、モニタリング実施月の変更など、報告が必要なケースを把握しておく。
- 拒否禁止ルール:障害支援区分や所得による拒否はできない。定員超過や対応障害の種類外など、正当な理由のみで拒否できることを理解する。
- 体制整備加算の注意:体制整備加算を算定する事業所では、対象とする特性をもつ利用者を拒否しない義務がある点に留意する。
【免責事項】
