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独習 計画相談支援 指定基準 | 第二 指定計画相談支援に関する基準 2 運営に関する基準 (20) 後半

定計画相談支援における衛生管理(基準第22条)を解説:指針と研修・訓練のポイント


記事の概要:
令和6年(2024年)から、障害福祉サービスの一つである計画相談支援事業所において、感染症対策の強化が義務化されました。具体的には、各事業所で「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」を定め、さらに従業者に対する定期的な研修・訓練(シミュレーション)を実施する必要があります。本記事では、この新しい指定基準のポイントをやさしくシンプルに解説します。

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感染症の予防及びまん延防止のための指針とは?

計画相談支援事業所は、自社の事業所内で感染症が発生した場合に備えて、「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」というガイドラインを作成しなければなりません。この指針には、大きく分けて平常時の感染予防策と、感染症が発生したときの対応策の両方を盛り込みます。

平常時の対策とは、感染症が起きていない普段からの予防策です。例えば、事業所内の衛生管理(こまめな清掃や換気などによる環境整備)や、スタッフ・利用者と接する場面での手洗いやマスク着用といった基本的な感染予防策の徹底などが含まれます。

一方、感染症発生時の対応としては、万一事業所で感染者や感染の疑いがある方が出た場合にどう行動するか、あらかじめ決めておきます。具体的には、感染発生時の状況把握、感染が広がるのを防ぐ措置(消毒や感染した方の隔離等)、医療機関や保健所への連絡、さらに市区町村の福祉担当部署など関係機関への報告・相談を行う手順などが想定されます。また、誰が誰に連絡するかといった事業所内外の連絡体制も決めておき、指針の中に明記しておくことが必要です。

この指針の内容を検討する際には、厚生労働省が公表している「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」も参考になります。同マニュアルには事業所で取るべき具体的な感染症対策の例が示されていますので、指針作成のヒントとして活用すると良いでしょう。

感染症対策の研修と訓練を定期的に実施

指針を定めただけで安心せず、従業員への研修と訓練(シミュレーション)も定期的に行うことが求められます。研修や訓練を通じて、実際に職員一人ひとりに感染症対策の知識と行動を浸透させることが目的です。

まず、研修(トレーニング)についてです。事業所の従業者に対し、感染症の基本的な知識や予防策を理解してもらい、事業所内の衛生管理ルールや指針に沿った対策をしっかり実践できるように、定期的な研修を行います。研修は年に1回以上開催することが望まれており、加えて新しくスタッフを採用したときには入職時に感染対策の研修を実施するのが望ましいとされています。研修を実施した際には、その内容(何を教え、誰が参加したか等)を記録しておくことも必要です。

研修のやり方は事業所の実情に合わせて構いません。例えば、厚労省の前述のマニュアルや関連資料を用いて社内研修を行うなど、必ずしも外部講師を呼ばなくても、自社で工夫して実施して問題ありません。

次に、訓練(シミュレーション)です。平常時から、実際に感染症が起きたケースを想定した訓練を年に1回以上行う必要があります。訓練の目的は、もし本当に感染症が発生したときに職員が慌てず迅速に行動できるようにしておくことです。

訓練では、あらかじめ定めた指針や研修で学んだ内容に沿って、事業所内の役割分担を確認します。例えば、「誰が利用者への対応をするのか」「誰が保健所に連絡するのか」など役割を決め、それぞれの担当者が実際にその役割を果たす練習を行います。また、感染者が出たことを想定し、防護具(マスクや手袋等)を着用して利用者を支援する手順や、隔離対応のシミュレーションを行うと、より実践的な訓練になるでしょう。

訓練の方法に特に決まりはありません。机上でシナリオを使って手順を確認する机上訓練(テーブルトップ訓練)でも良いですし、実際に体を動かしてみる実地訓練でも構いません。重要なのは、机上と実地の両方を組み合わせて行い、職員がシミュレーションに慣れておくことです。そうすることで、有事の際にスムーズに対応できるようになります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 事業所ごとに感染症予防の指針を作成し、平常時の対策と感染発生時の対応策の両方を明記すること。
  • 感染症対策の研修を年1回以上実施し、新規スタッフにも入職時に研修を行って、内容を記録に残すこと。
  • 感染症発生を想定した訓練(シミュレーション)を年1回以上行い、役割分担の確認や感染対策を踏まえた支援手順を職員と共有しておくこと。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。