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独習 計画相談支援 指定基準 | 第二 指定計画相談支援に関する基準 2 運営に関する基準 (20) 前半 

定計画相談支援における衛生管理(基準第22条)を解説:感染対策委員会のポイント


記事の概要:
この記事では、障害福祉サービスの計画相談支援に関する指定基準の一つである「衛生管理」(基準第22条)について、やさしくシンプルに解説します。指定計画相談支援事業所では、職員や設備の衛生保持とともに、感染症を予防し拡大させないための体制整備が求められています。

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計画相談支援の指定基準と衛生管理とは?

計画相談支援事業所(指定特定相談支援事業所)を運営するには、法律にもとづく人員及び運営基準(指定基準)を満たす必要があります。その中の第22条「衛生管理」では、事業所において以下のような衛生面の義務が定められています。

  • 職員の清潔保持と健康管理:職員は常に清潔に努め、健康状態にも留意しなければなりません。例えば、手洗いや消毒の徹底、体調不良時の報告など基本的な対策が求められます。職員の健康が利用者の安全に直結するため、日頃から体調管理を徹底することが大切です。
  • 設備・備品の衛生的管理:事業所内の設備や備品(机や椅子、相談室の備品など)も清潔に保つ必要があります。定期的な清掃や消毒を行い、利用者が安心して相談できる環境作りに努めましょう。

このように衛生管理の基本は「人と環境を清潔に保つ」ことです。そして近年の感染症拡大(新型コロナウイルス感染症など)の経験から、単なる清潔保持だけでなく感染症対策の体制を整えることも重視されています。そこで基準第22条では、感染症が発生・まん延しないように講ずべき措置として感染対策委員会の設置等が規定されました。

感染対策委員会の設置義務と役割

感染対策委員会とは、事業所内で感染症の予防策や万一発生した場合の拡大防止策を検討するための委員会です。指定計画相談支援事業所では、この感染対策委員会を設置することが求められています。

では、感染対策委員会はどのような構成・役割なのでしょうか?主なポイントは次のとおりです。

  • 幅広いメンバー構成:委員会には事業所内の様々な職種の職員が参加することが望ましいとされています。さらに重要なのは、感染症対策の知識を有する人を含めることです。例えば、医療・看護の知見があるスタッフや、外部の感染症の専門家(保健所OBや看護師、医師など)に参加してもらえると理想的です。外部専門家を積極的に招くことで、最新の感染症情報や専門的視点を取り入れることができます。
  • 役割分担の明確化:委員会のメンバーそれぞれに責任範囲や役割を明確にしておきます。特に、専任の「感染対策担当者」を事前に決めておく必要があります。感染対策担当者は、事業所における感染症対策の実務をリードするキーパーソンです。規模の小さい事業所では他の業務と兼任でも構いませんが、「誰が感染対策の責任者か」をはっきりさせておくことが重要です。
  • 他組織との合同も可能:感染対策委員会自体は各事業所ごとに設置が義務づけられていますが、実際の運営にあたっては他のサービス事業者と連携して行うことも認められています。例えば、小規模な事業所同士が合同で委員会を開催し、情報共有や合同研修を行うことも可能です。この柔軟性により、単独では専門人材を確保しにくい事業所でも効果的な感染対策が講じられるよう配慮されています。

委員会の開催頻度と運営方法

感染対策委員会は定期的に開催しなければなりません。基準では、おおむね6ヶ月に1回以上の定期開催が求められています。半年に一度は最低でも会議を開き、事業所の状況を踏まえた感染予防策の検討や見直しを行いましょう。また、インフルエンザの流行時期や新たな感染症発生時など、状況に応じて随時開催し、臨機応変に対応することも必要です。

委員会の開催方法についても押さえておきたいポイントがあります。

  • リモート会議の活用:感染対策委員会は、必ずしも全員が対面で集まる必要はありません。テレビ会議システム等(リアルタイムのビデオ通話など)を活用して開催することも可能です。遠方の外部専門家に参加してもらう場合や、感染拡大防止のため対面を避けたい場合にはオンライン会議が有効でしょう。
  • 障害のある参加者への配慮:委員会に障害を持つ方(例えば当事者の意見を聞くため利用者や家族が参加する場合など)が参加する場合、その障害の特性に応じた配慮を行う必要があります。聴覚障害のある方には手話通訳や要約筆記を用意する、知的障害のある方にはわかりやすい資料を準備するといった対応です。せっかく参加いただくので、発言しやすく理解しやすい環境を整えましょう。
  • 個人情報保護の遵守:感染症に関する話し合いでは、利用者や職員の健康情報など敏感な個人情報に触れることもあります。そうした情報の取扱いには最新の注意を払い、厚生労働省の「福祉分野における個人情報保護に関するガイドライン」等を遵守することが求められます。委員会で知り得た個人の情報は外部に漏らさない、資料は適切に管理するといった基本を徹底しましょう。

なお、既存の会議体との統合も可能です。事業所によっては、運営規程上別の委員会(例えば「苦情解決委員会」「虐待防止委員会」など)が設置されている場合があります。そのような場合には、感染対策委員会を他の委員会と一体的に設置・運営しても差し支えないとされています。つまり、「○○委員会(感染症対策も兼ねる)」のように一つの委員会で複数の目的を担わせても構いません。ただし形だけの統合にならないよう、感染症対策に関する議題が定期的にしっかり話し合われることが肝心です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 職員と設備の衛生管理義務 – 計画相談支援事業所では、スタッフの清潔保持や健康管理、事業所内設備の清掃・消毒など衛生管理が義務付けられています。常に清潔な環境を維持し、利用者が安心できる場を作ることが基本です。
  • 感染対策委員会の設置と担当者 – 感染症の予防とまん延防止のため、事業所ごとに感染対策委員会を設置しなければなりません。感染症に詳しいメンバー(外部専門家を含む)を交え、専任の感染対策担当者を決めて、定期的に対策を話し合う体制を整えましょう。
  • 委員会の運営方法と協力体制 – 感染対策委員会は半年に1回以上開催し、必要に応じて随時集まります。テレビ会議の活用や障害者への配慮、個人情報保護の遵守が求められます。また、小規模事業所では他の委員会と兼ねてもOK、他事業者と合同で開催してもOKと柔軟な運用が可能です。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。