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独習 計画相談支援 指定基準 | 第二 指定計画相談支援に関する基準 2 運営に関する基準 (21) 

画相談支援における掲示義務とは?基準第23条の解説


記事の概要:
指定計画相談支援事業所を運営するには、事業所内に重要な情報を掲示する義務があります。この「掲示義務」は、サービスを利用する障害者やその家族にとって大切な情報をいつでも見られるようにすることで、利用者の保護とサービス選択の手助けをするためのものです。本記事では、基準第23条で定められた掲示義務の内容について、なぜ掲示が必要なのか、具体的にどんな情報を掲示するのか、掲示の代替方法やホームページ等での情報公開のポイントを、やさしくシンプルに解説します。

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掲示義務において求められるもの

まず、指定計画相談支援の基準第23条が何を求めているのかを見てみましょう。基準第5条では、事業者がサービス提供開始時に利用者に対して重要事項の説明を行い、同意を得ることが定められています。重要事項とは、サービス内容や運営体制など利用者にとって必要な情報のことです。この説明は契約時に書面で行われますが、基準第23条ではそれに加えて、サービス開始後も利用者がその情報を確認できるよう事業所内への掲示を義務づけています。つまり、一度説明して終わりではなく、利用中も大事な情報を見える形で提示して利用者を守ろうという趣旨です。

掲示すべき重要事項とその内容

それでは、具体的にどんな情報を掲示しなければならないのでしょうか。基準第23条第1項に基づき掲示が求められる「重要事項」は、利用者がサービスを選ぶ際に参考になる情報です。主な項目は次のとおりです。

  • 運営規程の概要 – 事業所の基本方針や運営内容、サービス提供日・時間帯など、事業運営のルールの要点
  • 基本相談支援および計画相談支援の実施状況 – 相談支援サービスをどのように実施しているかの概要(提供しているサービスの種類や実績など)
  • 相談支援専門員の資格・経験年数および勤務体制 – 配置している相談支援専門員(※サービス利用計画を作成する専門スタッフ)の保有資格や経験年数、職種ごとの職員数(常勤・非常勤の別も含む)
  • 研修修了者の配置状況(加算要件) – 行動障害支援や医療的ケア児者支援、精神障害者支援などの体制整備加算に該当する研修を修了した相談支援専門員を配置しているかどうか
  • 苦情解決の体制 – 苦情受付の窓口連絡先、苦情解決の仕組みや手順
  • その他 – 上記以外で、利用申込者(利用を検討している人)のサービス選択に資すると認められる情報

以上のような項目をまとめて掲示することで、利用者やその家族は事業所のサービス内容・体制をいつでも確認できます。特に運営規程の概要や苦情受付先などは、利用者の安心につながる重要な情報です。

掲示場所と掲示方法のポイント

掲示するときは、事業所の見やすい場所に掲示することが大切です。見やすい場所とは、利用者や家族が普段目にする入口や待合スペースの壁など、必要な情報が自然と目に入る位置を指します。掲示物は文字を大きめにする、掲示板を設置するなど、誰にとっても見やすい工夫をしましょう。

掲示内容の中には職員に関する情報も含まれますが、この際にスタッフ個人の氏名を貼り出す必要はありません。基準では「従業者の勤務体制」は職種ごとや常勤・非常勤の別ごとの人数を示す趣旨であり、個々の従業者の名前までは求めていないと解釈されています。例えば「相談支援専門員:〇名(常勤〇名/非常勤〇名)」という形で掲示すれば十分で、スタッフのプライバシーにも配慮できます。

さらに、体制整備加算(相談支援事業所の体制強化に応じて算定できる加算)の要件を満たす場合には注意が必要です。先ほど掲げた重要事項の中で、特定の研修修了者の配置状況(例えば行動障害者支援研修を修了した相談支援専門員がいる等)も掲示項目に含まれていました。このような加算を算定している場合は、その研修修了スタッフを配置している旨を必ず掲示して利用者に示す必要があります。

掲示の代替方法:ファイル備え付けという選択肢

事業所の事情によっては、壁に掲示物を貼り出すのが難しいケースもあるでしょう。例えば、掲示物が剥がされてしまう環境だったり、掲示スペースが限られていたりする場合です。そのようなとき、掲示に代わる方法として重要事項を記載したファイルを事業所内に備え付ける方法が認められています。これは基準第23条第2項に規定されたもので、利用者やその家族がいつでも自由に閲覧できるようファイルや冊子を受付などに置いておけば、壁に貼らなくても掲示と同じ効果があるとみなされます。重要なのは、利用者が遠慮なく手に取って見られる状態にしておくことです。初めて見学に来た方などには、「こちらのファイルで事業所の概要をご覧いただけます」と案内すると親切でしょう。

情報公開のすすめ:ホームページでの公表など

最後に、掲示とあわせて情報公開(公表)について触れておきます。基準第23条第3項では、事業所内で掲示するだけでなく、重要事項の公表に努めることが求められています。ここでいう「公表」とは、例えば事業所のホームページに掲載したり、パンフレット等で広く周知したりすることです。基本相談支援や計画相談支援の実施状況などをインターネット上で公開しておけば、これからサービスを利用しようと検討している人にとって有益な情報となります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 重要事項は事業所の見やすい場所に掲示: 運営規程の概要、相談支援専門員の資格・経験、苦情受付先など、利用者のサービス選択に役立つ情報を忘れずに掲示しましょう。スタッフの氏名までは不要ですが、人数や体制は明示します。
  • 掲示の代わりに閲覧ファイルでもOK:壁に貼るのが難しい場合は、重要事項を書いたファイルや冊子を受付に備え付ける方法でも構いません。利用者が自由に手に取って読めるようにし、来所者にはひと言案内してあげると親切です。
  • 情報は積極的に公開を:事業所内掲示に加えて、ホームページ等でサービス内容や実績を公表するよう努めましょう。特に体制整備加算など研修修了者の配置に関する事項は、掲示だけでなく外部への公表も必須です。透明性のある情報発信が利用者の信頼につながります。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。