指定計画相談支援における「会計の区分」と「記録の整備」について
記事の概要:
この記事では、障害福祉サービスの「指定計画相談支援」に関する重要なルールのうち、「会計の区分」と「記録の整備」について、やさしくシンプルに解説します。これらのルールは、法令遵守や適切な事業運営に欠かせないポイントです。
会計の区分(基準第29条)とは
「会計の区分」とは、計画相談支援を提供する事業者がお金の管理をしっかり分けることです。具体的には、
- 事業所ごとに経理を区分する:複数の相談支援事業所を運営している場合、それぞれの事業所ごとに収入や支出を別々に管理します。
- 事業(サービス)ごとに会計を区分する:計画相談支援の会計と、他の事業(他の障害福祉サービスなど)の会計を混ぜずに分けて記録します。
こうすることで、事業所やサービスごとの収支が明確になり、不正やミスの防止、財務状況の把握が容易になります。行政による実地指導や監査の際にも重要なチェックポイントです。例えば、A事業所の計画相談支援の収支はA事業所単位で帳簿管理し、B事業所や他サービスの収支とは混同しないようにします。会計をきちんと区分しておけば、各事業の経営状況が把握しやすくなり、運営の信頼性も高まります。
記録の整備(基準第30条)とは
「記録の整備」とは、事業運営に関するさまざまな記録をきちんと書面で残すことです。指定計画相談支援事業者は、職員(従業者)や設備、備品、会計などに関する記録を整理・保存しておかなければなりません。また、利用者に対して計画相談支援サービスを提供した際には、少なくとも次の5つの記録を残し、提供日から5年間以上保存する義務があります。
- 連絡調整の記録 – 福祉サービスを提供する他事業者等との連絡・打ち合わせの記録。
- 相談支援台帳(利用者ごと) – 各利用者について以下の事項をまとめた記録です:
- サービス等利用計画案およびサービス等利用計画
- アセスメント(課題やニーズの評価)記録
- サービス担当者会議等の記録(関係者が集まって話し合った内容)
- モニタリング結果の記録(サービス提供後の経過観察・見直し)
- 市町村への通知に関する記録 – 基準第17条に基づき市区町村へ行った通知の記録。
- 苦情の記録 – 基準第27条第2項に基づく、利用者等からの苦情内容と対応結果の記録。
- 事故の記録 – 基準第28条第2項に基づく、サービス中の事故状況と対応策の記録。
上記の記録は最低5年間保存する必要があります。これは法律で定められた保存期間で、事業者はこの間いつでも提示できるよう整理して保管しておきましょう。これらの書類は実地指導や監査で確認されるだけでなく、サービスの質を向上させたり、利用者や家族との信頼関係を築くための大切な情報資源です。
記録整備のポイントとして、「相談支援台帳」は利用者ごとに一冊のファイルにまとめ、サービス計画からモニタリング結果まで一連の流れがわかるように整理すると良いでしょう。また、苦情や事故の記録は日頃からすぐ記録する習慣をつけることが大切です。万が一トラブルが起きても、迅速に対応できます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 会計は事業所別・事業別に分ける:計画相談支援の会計と他事業の会計を明確に区分し、事業所ごとに帳簿を管理しましょう。財務の透明性と信頼性向上のためにも必須です。
- 記録を整備し漏れなく保存:従業者や設備の記録から、サービス提供時の重要書類(連絡調整記録、計画書、アセスメント、会議録、モニタリング結果など)まで、日々整理・保管しておきましょう。
- 記録は最低5年間保管:法令で保存期間が定められています。紙でもデジタルでも構いませんが、少なくとも5年間は確実に見返せる状態で保管しましょう。行政からの指導・監査対策にも有効です。
【免責事項】
