障害福祉サービスの「指定相談支援事業者」が守るべき基準(第8~11条)を解説
記事の概要:
障害者総合支援法に基づく指定計画相談支援では、指定特定相談支援事業者に対し運営基準が定められています。本記事では特に、(4) サービス提供困難時の対応(基準第8条)、(5) 受給資格の確認(基準第9条)、(6) 支給決定申請の援助(基準第10条)、(7) 身分証の携行(基準第11条)という4つのポイントを、やさしくシンプルに解説します。
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サービス提供困難時の対応(基準第8条)
指定相談支援事業所は、利用申込者から計画相談支援の依頼を受けても、「正当な理由」により自分の事業所では適切な対応が難しいと判断したとき、速やかに他の指定相談支援事業者を紹介する必要があります。例えば、事業所の通常のサービス提供エリア外で居住する人や、自分の専門外であるケースでは、無理に請け負うのではなく、他の相談支援機関を案内することが求められます。この際の「正当な理由」は、実施区域や職員の専門性、繁忙状況などが該当します。いずれにせよ、対応困難と認めたら放置せずに、適切な相談先への紹介や必要な手続きをすぐに行うことが基準で定められています。これにより利用者は早期にサービスを受けられる可能性が高まります。
受給資格の確認(基準第9条)
指定相談支援事業所が計画相談支援を提供するとき、まず利用者の受給資格を必ず確認しなければなりません。具体的には、利用者から提示された障害福祉サービス受給者証または地域相談支援受給者証で、以下の点をチェックします:
- 当該利用者が計画相談支援の対象者であること
- モニタリング期間(次回調査の時期)
- 支給決定の有無・有効期間(現在のサービス利用期間)
- 支給量または地域相談支援給付量(支給されるサービスの回数や量)
これらを確認することで、利用者が本当にサービス対象か、利用期間がいつまでか、どの程度の支給があるかを把握できます。さらに、支給決定を受けていない障害者について計画案を作成する場合は、市町村からのサービス等利用計画案提出依頼書があるかを確認します。利用者が市町村から計画案作成の依頼を受けていることを、通知書類で確かめることが必要です。これらの確認を怠ると、無用なトラブルや計画作成後の差し戻しにつながるおそれがあるため、必ず確認しましょう。
支給決定申請の援助(基準第10条)
利用者の支給決定期間がまもなく終了する場合で、その利用者がサービスの継続を希望しているときは、事業所から支援して申請を促す必要があります。具体的には、市区町村の審査に時間がかかることを見越し、終了期日より余裕をもって支給申請ができるよう、利用者に対して申請勧奨などの援助を行います。たとえば、支給決定の期限が3月末ならば、その何週間も前に書類準備や役所への申請手続きを案内しておく、といったイメージです。これにより利用者が途切れなく福祉サービスを受け続けられるよう配慮します。
身分証の携行(基準第11条)
利用者が安心して相談支援を受けられるよう、相談支援事業所の職員は身分を明らかにする証書や名札を必ず携行しなければなりません。初回訪問時や利用者・家族から要求があったときには、その場で提示できるようにします。身分証明書には事業所名と職員の氏名を記載します。また、写真貼付や職能名の記載を入れるのも望ましいとされています。たとえば、肩書や資格が分かる名札にしておくと、相手も安心しやすくなります。このルールは、訪問支援の際のトラブル防止にもつながります。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 対応困難時は他事業所を紹介:自事業所で支援が難しいと判断したら、迅速に別の指定相談支援事業者を案内しなければならない。無理に引き受けるのはNG。
- 受給資格は必ず確認:サービス計画作成前に受給者証をチェックし、対象者か・支給期間と量はどうかを確認する。支給決定がない場合は市町村の通知書も確認。
- 支給申請は早めに:現在の支給決定期限が近い利用者には、市区町村の処理期間を考え、余裕をもって申請するよう援助する。手続きの案内を速やかに行うこと。
- 訪問時のID携帯:職員は訪問時に事業所名・氏名入りの身分証や名札を身につけ、初回訪問時や求められた際に提示するよう指導する。写真入りにしておくとより信頼される。
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