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独習 計画相談支援 指定基準 | 第二 指定計画相談支援に関する基準 2 運営に関する基準 (8)

画相談支援における費用の受領方法をわかりやすく解説


記事の概要:
この記事では、指定計画相談支援(指定特定相談支援)に関する運営基準第12条の内容を、やさしくシンプルに解説します。具体的には、法定代理受領を行わない場合の料金の受け取り方、通常サービス地域外での交通費の扱い、利用者への領収証の発行義務、そして請求時の事前説明と同意について説明します。

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法定代理受領とは?その基本と計画相談支援での扱い

まずは「法定代理受領」という仕組みについて押さえましょう。法定代理受領とは、サービス事業者(指定特定相談支援事業者)が利用者に代わって市町村に給付費を請求し、給付費が直接事業者に支払われる仕組みです。多くの障害福祉サービス利用者はこの方式でサービスを利用しています。これに対し償還払い(法定代理受領を行わない場合)では、一旦利用者がサービス事業者に全額を支払い、後から自治体に給付費を申請して受け取る方式になります。償還払いは利用者が一時的に立て替える費用負担が大きく、手続きも複雑なため、現在では利便性の高い法定代理受領方式が主流となっています。

では、計画相談支援において法定代理受領を行わないケースではどうなるのでしょうか? 基準第12条第1項では、指定計画相談支援(サービス等利用計画の作成や見直し等の相談支援)を提供する際に法定代理受領を行わない場合、事業者はそのサービス料金(計画相談支援給付費)を利用者本人から受け取ること、と定めています。簡単に言えば、自治体から給付費を直接もらわないなら、利用者から料金をきちんと受領してくださいということです。これは償還払い方式に基づく規定であり、利用者は事業者に支払った後で自治体から給付費の支給を受ける流れになります。

法定代理受領 vs 償還払いの比較表 :

支払い方式内容と流れ
法定代理受領方式サービス事業者が自治体に給付費を直接請求する方式。利用者は自己負担分(原則1割)を事業者に支払うだけで、残りの給付費は自治体から事業者に支払われます。ほとんどのケースで採用される現代の主流方式です。
償還払い方式
(法定代理受領を行わない場合)
利用者がサービス料金全額を事業者にいったん支払い、その後で自治体に給付費の支給申請を行う方式です。利用者に一時立替えの負担がかかりますが、法律上この方法も可能とされています(基準第12条第1項)。

通常の事業地域外での訪問と交通費の受領

次に、サービス提供地域外での交通費の取り扱いについてです。基準第12条第2項では、指定計画相談支援の提供にあたり、利用者の希望により事業所の通常のサービス提供地域を超えて訪問を行う場合には、その移動にかかった実費分の交通費を利用者から受け取ることができる、と定められています。つまり、「普段の営業エリア外まで出張する場合は、ガソリン代や公共交通機関の運賃などの実費を請求してもよい」ということです。

しかし注意したいのは、この交通費を請求できるのは利用者の選択によって通常地域外の訪問を行う場合に限られる点です。事業者側の都合で発生した移動費用を利用者に負担させることはできません。例えば、自社の相談支援専門員が不足していて他地域から応援に来てもらった場合などは利用者の選択ではないので、利用者負担とするのは不適切です。また、「通常の事業の実施地域」は運営規程などで明確に定めておく必要があります。自治体によって標準的なエリア(市内全域など)の考え方がありますので、運営規程作成時に確認しておきましょう。

(通常の事業の実施地域…事業所ごとにあらかじめ設定するサービス提供可能エリアのこと。多くの場合、事業所の所在する市町村内や隣接地域などが該当します。)

利用者から費用を受け取ったら領収証を発行

基準第12条第3項では、上記のように利用者から費用の支払いを受けた場合には、必ず領収証を利用者に発行しなければならないと規定されています。領収証は、利用者にとって支払った証拠となる大事な書類です。特に償還払い(法定代理受領なし)で全額を受け取った場合、利用者はその領収証を自治体への支給申請の際に提出することになるため、確実に交付しましょう。また交通費についても同様に、実費を受け取ったらその分の領収証を発行します。

領収証には、発行日・支払者(利用者名)・金額・サービス提供日・提供内容(計画相談支援の業務内容)などを記載し、事業所名と押印(または署名)を入れるのが一般的です。なお、日付や金額の書き間違いが無いよう十分注意し、コピーを保管しておくことも大切です。実地指導などで領収証の写しを求められるケースもあるため、交付した領収証は事業所でも記録として残しておきましょう。

交通費を請求する際は事前の説明と同意が必須

最後に、基準第12条第4項の規定について解説します。利用者から交通費を受け取る場合には、事前にサービス内容と費用について説明し、利用者の同意を得なければならないとされています。簡単に言えば、「交通費を請求するなら、あらかじめ利用者にちゃんと説明してOKをもらっておいてね」ということです。

この事前説明と同意は口頭だけでなく、できれば書面で行うことが望ましいです。例えば、契約時に交付する重要事項説明書や契約書に「通常の提供地域外の訪問には実費交通費をご負担いただく場合があります。その際は事前に説明し、同意を得ます」といった旨を明記し、署名・押印をもらっておく方法があります。また、実際に通常地域外への訪問が決まった際にも改めて詳細な費用を伝え、同意を確認しましょう。事前の取り決めがないまま後から交通費を請求するとトラブルになりかねません。利用者との信頼関係を保つためにも、透明性のある丁寧な説明と合意形成を徹底してください。

なお、以上の規定は事業者と利用者双方のトラブル防止のために定められています。交通費に限らず、サービス提供に関わる費用負担については利用者に誤解のないように説明し、納得した上でサービスを利用してもらうことが大切です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 法定代理受領を活用するのが基本: 計画相談支援では通常、法定代理受領によって給付費を受け取るのが一般的です。そのため利用者から全額を受領するケース(償還払い)は少ないですが、万一その方式をとる場合は利用者に全額を請求して受領する義務があることを忘れないでください。利用者には後日自治体から給付費が支給されますが、一時的とはいえ負担が生じるため事前に十分説明しましょう。
  • 通常地域外の訪問には実費交通費を請求可能: 利用者の依頼でサービス提供地域外に出向くときは、かかった交通費を実費で請求できます。これは事業運営上、公平性を保つためのルールです。ただし、運営規程に定めた地域範囲や料金について明確にし、重要事項説明書にも同じ内容を記載しておく必要があります(書類間の整合性に注意)。
  • 利用者への事前説明・同意と書面の徹底: 利用者負担となる料金が発生する場合(全額自己負担や交通費負担など)は、事前説明と同意取得が鉄則です。口頭だけで済ませず、書面やメール等で証跡を残しましょう。特に重要事項説明書や契約書に盛り込んでおけば安心です。
  • 領収証を必ず発行し保管: 利用者からお金を受領した際は必ず領収証を発行し、利用者に渡します。領収証の控えは事業所でも保管し、行政から求められたとき提示できるようにしておきましょう。領収証の発行漏れや紛失は信用問題にも関わるので、確実な事務管理を心がけてください。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。