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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第三(居重同行) 1 人員に関する基準 (7) 指定行動援護事業所の取扱い

動援護事業で起業するには?人員基準とサービス提供責任者の資格要件を解説


記事の概要: 
この記事では、行動援護サービス事業を始めるにあたって知っておきたい「人員基準」と「サービス提供責任者をはじめとする従業者の資格要件」について、平易な言葉で解説します。また、資格要件の特例措置(経過措置)や実務上の注意点も取り上げています。

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行動援護サービスの人員基準と資格要件(制度の概要と特例)

まず行動援護とはどんなサービスか簡単に説明します。行動援護は、知的障害または精神障害により行動に著しい困難があり常時介護が必要な障害児者に、自傷行為や異食、徘徊などの危険を回避するための支援を行うサービスです。

行動援護事業の指定要件(行政から事業所指定を受ける条件)は基本的に居宅介護や重度訪問介護など他の訪問系サービスと共通ですが、大きな違いとして従業者(ヘルパー)やサービス提供責任者に追加の資格要件が課されています。つまり、行動援護のヘルパーやサービス提供責任者には所定の研修修了と障害者支援の実務経験が求められ、これを満たさない人はサービスに従事できません。既存の居宅介護事業所でも、職員がこの要件を満たしていなければ行動援護を提供できない点に注意しましょう。

行動援護の人員基準(スタッフ配置基準)は他の訪問系サービスと同様で、常勤換算2.5人以上の従業者とサービス提供責任者1名以上の配置が必要です。管理者1名(資格不要)はサービス提供責任者と兼務可能です。サービス提供責任者と従業者の資格要件が重要なポイントです。以下に、この2つの職種について必要な資格と経験を比較した表を示します。

職種要件①: 専門研修修了 + 実務経験
(標準要件)
要件②: 一般介護資格 + 長期実務経験
(経過措置による特例)
サービス提供責任者行動援護従業者養成研修修了者 または 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践研修)修了 知的障害者または精神障がい者への直接支援業務経験が3年以上(540日以上)あること介護福祉士など介護系の資格を保有 知的障害者または精神障害者への直接支援業務経験が5年以上(900日以上)あること
※要件②は経過措置による特例で、令和9年3月31日まで有効
従業者(ヘルパー)行動援護従業者養成研修修了者 または 強度行動障害支援者養成研修修了 知的障害者または精神障害者への直接支援業務経験が1年以上(180日以上)あること介護福祉士など介護系の資格を保有 知的障害者または精神障害者への直接支援業務経験が2年以上(360日以上)あること
※要件②は経過措置による特例で、令和9年3月31日まで有効


要件①にある「行動援護従業者養成研修」や「強度行動障害支援者養成研修」は、各自治体等が実施する行動援護の専門研修で、新たに行動援護ヘルパーになるには原則この修了が必要です。研修修了後も一定の実務経験が要求されます。一方、要件②は研修未修了でも知的・精神障害者の介護経験が長ければ暫定的に認められる経過措置です。ただし経験は知的・精神障害者への介助(入浴・排せつ・食事・家事等)の直接支援業務に限られ、高齢者介護のみの経験などは含まれない点に注意しましょう。

なお、要件②に含まれる「介護福祉士など介護系の資格」のひとつとして「1級課程修了」がありますが、看護師等の資格を持っている方については、この1級課程を修了したものとみなされます。また、居宅介護職員初任者研修課程を修了したとされた看護師等の方々は、3年以上の実務経験については求められません。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイン

  • 資格要件の確認と研修計画: 行動援護サービスを提供するにはスタッフ全員が上記の資格要件を満たしている必要があります。事業開始前に資格・経験を確認し、不足があれば早めに研修を受講させましょう。経過措置による要件②で一時的に指定を受けることも可能ですが、この特例は令和9年3月末で終了予定です。それまでに研修修了者に切り替えておかないと、以降は基準を満たせなくなるので注意が必要です。
  • 居宅介護との併設: 行動援護事業は既存の居宅介護事業所と同じ拠点で併設することも可能です。ただし居宅介護の職員がそのまま行動援護の従業者になれるとは限りません。行動援護ヘルパーの資格・経験を持つ職員を確保するか、現職員に研修を受講させる計画が必要です。
  • サービス提供責任者の人選: 行動援護のサービス提供責任者(サ責)は、個別支援計画の作成やヘルパーへの指示・助言など重要な役割を担います。ハードルは高いものの管理者やベテラン職員がサ責を兼務することも可能なので、人材が足りない場合は採用や育成も視野に入れておきましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。