令和6年度報酬改定で変わるサービス提供責任者の資格要件を解説
記事の概要:
令和6年度(2024年度)の障害福祉サービス等報酬改定により、サービス提供責任者の資格要件に重要な見直しが行われました。サービス提供責任者(略して「サ責(させき)」)は、障害福祉サービス事業所で利用者へのサービス提供を取りまとめるキーパーソンです。例えば、居宅介護などの事業所では、サ責が利用者ごとの支援計画を作成し、ヘルパーの指導やサービス調整を行います。この記事では、サービス提供責任者の具体的な資格要件について、やさしくシンプルに解説します。
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サービス提供責任者の資格要件【令和6年度改定のポイント】
令和6年度の改定により、サービス提供責任者になれる人の資格条件が明確化・厳格化されました。事業所においては、週32時間以上の勤務実態を有する者など、常勤としての勤務実績を満たすサービス提供責任者を配置する必要があります。サービス提供責任者は、次のいずれかの資格を持っていることが求められます【厚生労働省 令和6年度報酬改定 関係資料】:
- 介護福祉士 – 国家資格である介護のプロフェッショナルです。介護福祉士を持っていればサ責に選任可能です。
- 実務者研修修了者 – 介護職員実務者研修を修了した人です。実務者研修は介護の上級研修課程で、介護福祉士の受験資格にもなる研修です。
- 介護職員基礎研修修了者 – 平成24年度まで行われていた旧制度の研修(介護職員基礎研修)を修了した人です。現在は新規開催されていませんが、修了者はサ責の要件を満たします。
- 旧ホームヘルパー1級課程修了者 – かつて存在した訪問介護員養成研修1級(ホームヘルパー1級)を修了した人です。こちらも旧制度の資格ですが、修了者は有資格者として認められます。
- (参考)介護職員初任者研修修了者+3年以上の実務経験 – 介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級に相当)を修了し、介護等の実務経験が3年以上ある人。※重要:この初任者研修+3年経験のみのケースは、令和5年度までの暫定措置でした。令和6年度の改定でこの暫定措置は廃止され、原則として初任者研修だけのスタッフを新たにサービス提供責任者に充てることはできなくなりました。
上記のとおり、2024年4月以降は基本的に介護福祉士や実務者研修修了者といった一定以上の資格を持つ人材でなければサ責になれません。以前は人材不足の緩和策として初任者研修修了者にも門戸が開かれていましたが、段階的な経過措置を経てついに終了しました。なお、看護師等の資格を持つ方については研修科目の免除規定があり、実務経験年数の要件が緩和されるケースがあります。簡単に言えば、看護師など医療系有資格者は必要な研修を修了したものとみなされるため、サ責の資格要件を事実上満たすことができます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 有資格者の確保が必須:事業所ごとに資格要件を満たす常勤のサービス提供責任者を1名以上配置することが法律で定められています。新規開業時には、介護福祉士など上記の資格を持つ人材をあらかじめ確保し、申請書類にその方をサ責として記載する必要があります。経営者ご自身が資格を持っている場合は管理者とサ責を兼任することも可能です。
- 初任者研修のみのスタッフへの対応:既存事業所で、もし介護職員初任者研修しか資格がない職員をサ責にしている場合は、早急に対応しましょう。該当スタッフには実務者研修の受講などステップアップを促し、速やかに要件を満たすようにすることが重要です。資格要件を満たさないままでは基準違反となり、事業継続に支障をきたす恐れがあります。
- 質の高いサービス提供のために:サ責は利用者支援の要です。資格要件の厳格化はサービスの質向上につながる措置でもあります。有資格者を配置することで、適切な居宅介護計画の作成やヘルパー指導が行われ、利用者により良い支援を提供できます。事業者としても安心してサービス運営ができるでしょう。
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