障害福祉サービス居宅介護 基準第22条〜24条をやさしく解説
記事の概要:
障害福祉サービスの居宅介護に関する基準(第22条〜24条)について、利用者負担額の管理、介護給付費の通知、基本取扱方針などのポイントを、やさしくシンプルに解説します。基準の内容を正確に把握し、実際のサービス提供場面でも理解しやすいようにまとめています。
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利用者負担額に係る管理(基準第22条)
「利用者負担額に係る管理」とは、一言でいうと利用者さんの自己負担額(利用者負担額)をまとめて管理する仕組みです。障害のある利用者さんが、同じ月に複数のサービス(例:居宅介護と生活介護など)を利用している場合、利用者さんが各サービス事業者に支払う1ヶ月分の自己負担額の合計を算出し、管理します。具体的には、利用者さんから依頼があれば、居宅介護事業者(あなた)はその利用者さんがその月に利用した(あなたの事業所や他の事業所を含め)全ての障害福祉サービスについて、利用者さんが支払うべき金額(1割負担の合計)を計算します。そして、その合計金額を市町村に報告し、さらに利用者さん本人と、その月にサービスを提供した他の事業者にも通知します。
障害福祉サービスでは利用者ごとに月ごとの自己負担上限額が設定されています。この合計管理により、利用者さんの負担がその上限を超えないように調整できます。
介護給付費の額に係る通知等(基準第23条)
基準第23条は、事業者がサービス提供後のお金の流れについて利用者さんへ知らせることを義務づけています。ポイントは2つあります。
- 自治体から給付費を受け取った場合の通知: 多くの場合、障害福祉サービスの事業者は、サービス費用のうち利用者負担分(1割)を利用者さんから受け取り、残りの9割(介護給付費)を市町村から受領します(この仕組みを法定代理受領といいます)。この場合、事業者は利用者さんに対して、市町村が支払った金額(介護給付費の額)を知らせる必要があります。簡単に言えば、「○○円を市町村が負担しました」と伝えることです。利用者さんはその通知によって、自分が受けたサービスの総額や公的負担額を把握できます。
- 利用者さんが全額を支払った場合の証明書交付: 場合によっては、利用者さんがサービス費用をいったん全額自己負担するケースもあります(法定代理受領を利用しない場合)。まれに、事業者が市町村から給付費を直接受け取らないケースもあります。その場合、事業者は「サービス提供証明書」という書類を利用者さんに発行します。この証明書には提供したサービスの内容や費用が記載されており、利用者さんはそれを市町村に提出して、支払った費用のうち給付対象分(9割相当額)の払い戻しを受けられます。
どちらの場合でも大切なのは、利用者さんに対して金額やサービス内容をきちんと伝えることです。通知や証明書を交付することで、利用者さんは安心してサービスを利用できますし、事業者側も金銭トラブルを防ぐことができます。
指定居宅介護の基本取扱方針(基準第24条)
基準第24条は、居宅介護サービスの提供姿勢について定めたものです。簡単にまとめると、次の2点が求められています。
- 個別ニーズに合わせた支援: サービス提供が「漫然かつ画一的」(ただ漫然と一律に行われること)がないようにしなければなりません。つまり、利用者さん一人ひとりの体の状態や生活環境に応じて、適切なサービスを提供することが大切です。画一的な提供ではなく、その方に必要な支援を考えて提供しましょう。
- 提供後の評価と改善: 提供した居宅介護について、目標の達成度や利用者さんの満足度を常に評価し、それをもとに居宅介護計画(サービス計画)の見直し(アップデート)を行うよう努めなければなりません。サービス提供しっぱなしにせず、「ちゃんと効果が出ているかな?」「利用者さんは不便に感じていないかな?」と振り返り、必要ならサービス内容や頻度を調整します。
要するに、居宅介護事業者は利用者本位の支援を心がけ、提供後もアフターフォローと改善を怠らないことが大切です。利用者さんにとってより良い支援となるように、スタッフ間でも情報共有しながらサービス内容をブラッシュアップしていきましょう。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
最後に、障害福祉サービス事業者やこれから居宅介護分野で起業を目指す方が押さえておきたいポイントをまとめます。
- 利用者負担額の管理: 利用者さんが複数サービスを利用する場合、月単位の自己負担額を把握・管理できるよう体制を整えましょう。他事業所との連携や市町村への報告もあるため、あらかじめ主担当者を決めておくとスムーズです。
- 透明な会計と書類交付: サービス提供後は、費用の内訳を利用者さんに必ず伝えましょう。明細書や領収書を発行し、必要に応じてサービス提供証明書も交付します。請求事務に対応できる体制も整えておきましょう。
- 個別支援とサービス改善: 利用者さん一人ひとりに合った支援を提供するために、日々の業務で利用者さんの状態変化や要望を丁寧に把握しましょう。定期的にサービス内容を見直す仕組み(定期ミーティングやモニタリング記録)を設け、スタッフ全員でサービスの質向上に努めることが大切です。
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