障害福祉サービス事業所で必要な「掲示」とは?基準第35条をやさしく解説
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障害福祉サービス事業を始めたり運営したりするには、法律で定められた多くのルールを守る必要があります。その中の一つに、事業所に重要な情報を掲示(張り出し)する義務があります。これは、利用者さんやご家族がサービス内容をきちんと理解し、安心して選べるようにするための決まりです。本記事では、厚生労働省のガイドラインにもとづき、この「掲示」(運営基準第35条)について何をどこに掲示すればよいのかをやさしくシンプルに解説します。
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「掲示」(基準第35条)とはどんな決まり?
「掲示」とは、障害福祉サービスの事業所内の見やすい場所に、利用者のサービス選びに役立つ重要な情報を貼り出すことを指します。障害者総合支援法にもとづく運営基準の第35条で定められており、事業者は必ず実施しなければならない義務です。掲示が必要な情報は、サービスの内容や運営状況を利用者に開示することで、利用者や家族がサービスを選びやすくするために決められています。
掲示しなければならない情報の内容
では具体的に、どんな情報を掲示する必要があるのでしょうか。厚生労働省の資料では、掲示すべき重要な情報として次のような項目が挙げられています。
これらはすべて、利用申込者(これからサービスを利用しようとする人)が事業所を選ぶときに参考になる大切な情報です。掲示することで、利用者さんは事業所の運営体制やサービス品質を事前に知ることができ、安心してサービスを選択できるようになります。
掲示する場所と方法のポイント
掲示する場所は、利用者や家族が見やすい場所であることが大切です。例えば、事業所の入口や待合スペースなど、利用希望者が必ず目にする位置に掲示しましょう。また、掲示方法については以下のポイントに注意します。
- 情報は常に最新のものを:運営規程の変更やスタッフ体制の変更、第三者評価を新たに受けた場合など、内容に変更があったときは掲示物も速やかに更新します。
- 名前は記載不要:スタッフの勤務体制を掲示する際は、「職員の氏名」を書く必要はありません。職種ごとの人数(例:「生活支援員:常勤◯名、非常勤◯名」など)で示せば十分です。
- 掲示が難しい場合はファイルで代用:掲示する紙が多く壁が埋まってしまう場合などは、掲示物の代わりに同じ内容をファイル(冊子)にまとめて備え付ける方法も認められています。その際は、利用者や家族がいつでも自由に閲覧できるようにし、希望者にはそのファイルを見られることを案内しましょう。
なお、この掲示義務は行政による運営指導などでも確認されるポイントです。掲示をしていなかったり内容が不足していたりすると指摘の対象となります。事業を開始したら早めに準備し、継続的に内容を見直すようにしましょう。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
最後に、障害福祉サービスの事業者やこれから起業を考えている方が確認しておきたいポイントをまとめます。
- 重要情報の掲示は義務:運営基準第35条により、事業所内の見やすい場所に運営規程の概要など重要事項を掲示しなければなりません。
- 掲示内容は5項目:運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故時の対応、苦情処理の方法、第三者評価の状況は最低限掲示しましょう。
- 利用者目線で見やすく:入口やロビーなど利用者や家族の目につきやすい場所に貼り出します。ファイルで代用する場合も自由に見られるようにします。
- 内容の更新を忘れずに:情報に変更があった際は速やかに掲示内容を修正し、常に最新の情報を提供します。
【免責事項】
