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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第四(療養介護) 1 人員に関する基準 (1) (2) (3) (4)

養介護の人員基準をわかりやすく解説(医師・看護職員・生活支援員・サービス管理責任者)


記事の概要:
療養介護(りょうようかいご)は、障害者総合支援法にもとづく指定障害福祉サービスの一つです。重い障害があり、医療的ケアと常時の介護が必要な人が対象で、主に病院などの医療機関内で提供されます。具体的には、入院中の障害者に対して、機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護や日常生活の世話などを行うサービスです。簡単に言えば、医療と介護の両方を受けられる障害福祉サービスであり、利用者の健康管理から日常生活の支援まで包括的に担う役割を持っています。

療養介護事業所(サービスを提供する施設)には、医師・看護師・准看護師・生活支援員・サービス管理責任者・管理者といったスタッフが配置されており、事業規模ごとに配置人数の基準が定められています。これらのスタッフ配置基準は厚生労働省の通知で細かく決められており、サービスの質と利用者の安全を確保するための最低条件となっています。

本記事では、療養介護の人員基準(医師・看護職員・生活支援員・サービス管理責任者)について、やさしくシンプルに解説します。

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療養介護の人員配置基準

厚生労働省が定めた療養介護事業所の人員配置基準は以下のとおりです。それぞれどんな職種で、どれくらい配置が必要なのか、順番に見ていきましょう。

医師:事業所ごとに1名以上を配置

療養介護では、各事業所ごとに医師を最低1名配置する必要があります。法律上は「健康保険法第65条第4項第1号に規定する厚生労働大臣の定める基準以上」の医師と定められています 。簡単に言うと、国の定めた基準を満たす医師(必要な資格を持ち、診療できるお医者さん)を1人以上確保しなければならないということです。療養介護は医療ニーズの高いサービスのため、利用者の健康管理や医療的ケアを担う医師の配置が必須となっています。

看護職員:利用者2人につき看護職員1人以上(常勤換算)

※この項は非常にボリュームがありますので、ご入用の方のみご一読ください。

療養介護では、医療的ケアを日常的に必要とする障害者を対象としているため、看護職員の配置は非常に重要です。ここでの「看護職員」とは、

  • 看護師(正看)
  • 准看護師
  • 看護補助者(いわゆる看護助手など)

の3職種すべてを含みます。これらを合計した人数で、必要な人員数を満たしていくことになります。

基本ルール:利用者数 ÷ 2(常勤換算)

療養介護の人員基準では、常勤換算を用いて「利用者2人につき1人以上」の看護職員を配置することが求められています。「常勤換算」とは、パートタイムの職員も含めて、働いている時間を合算し、フルタイム職員何人分に相当するかで換算する方法です。たとえば、週20時間勤務の職員が2人いれば、1人分の常勤換算になります。

このようにして、実際の勤務実態に応じて柔軟に計算できる一方で、配置数の下限(利用者÷2)だけは必ず守らなければならない点に注意が必要です。

もうひとつの基準:「病棟」の診療報酬ルールとの関係

ただし、ここで気をつけたいのが、「もうひとつのルール」が存在することです。療養介護の現場は多くが病院の病棟内に設けられます。そのため、病棟としての「診療報酬」上の看護職員配置基準も守ってね、という縛りがかかってきます。

病院では、国の定めた「入院基本料」に応じて、「看護師を何人置いているか?」で報酬が変わる仕組みになっています。これがいわゆる「7対1」や「10対1」といった看護配置基準です。

  • 「10対1」:入院患者10人あたり看護師1人必要
  • 「7対1」:より手厚く、7人に1人必要

たとえば病棟が「10対1」の基準なら、10人の入院患者に看護師1人で足りることになります。一方で、療養介護では10人の利用者に5人の看護職員が必要です。つまり、この場合は療養介護の方が厳しい。

→ よって、療養介護の基準(利用者÷2)に従えばOKです。

医療報酬の観点から見ると、たとえば病棟が「7対1」の基準で運営されている場合、10人の患者に2人(厳密には1.43人)の看護師が必要になります。これでも療養介護の基準(5人)より少ないですが、病棟として「7対1」の条件を満たさないと、医療報酬がもらえない。

このようにそれぞれの基準で必要な看護職員の人員は変わりますが、「障害福祉」の基準と「医療」の基準、両方がかかる場面では、より厳しい方に合わせて看護職員を置きましょうというのが国の方針です。

“診療報酬の対象外”の看護職員もカウントOK

ここで重要な補足があります。診療報酬の世界では、「この看護職員は診療報酬上はカウントしてはいけない」というルールがあります。たとえば、

  • 看護補助者(資格のない補助スタッフ)
  • 必要な研修を受けていない看護師
  • 非常勤・短時間・高齢などの理由で除外される職員

これらの職員は、医療保険の診療報酬を請求する際の看護師数としては認められません。しかし、障害福祉サービスである療養介護の人員基準では、これらの職員も「看護職員」としてカウントすることが認められています。

生活支援員:利用者4人につき1人以上

生活支援員(介護職員)は、食事・排せつ・入浴・着替えなど日常生活上の介助や見守りを行うスタッフです。配置基準は常勤換算で利用者数の4分の1以上、つまり利用者4人につき生活支援員1人以上が必要とされています。たとえば利用者が10人の場合、常勤換算で2.5人分の生活支援員が必要になります。端数を切り上げて、実際には3人分以上の勤務時間が必要になります。また、生活支援員のうち一人以上は常勤でなければなりません。

なお、療養介護では看護職員の配置人数が手厚い場合に限り、一定数の看護職員を生活支援員の配置数に充当できるという特例があります。具体的には、利用者数の半数を超えて配置している看護職員の人数を、生活支援員の人数に含めてカウントすることができます。この規定により、医療スタッフを手厚く配置している施設では、その分必要な介護職員の数を減らすことが可能です。

サービス管理責任者:利用者60人につき1人(60人超は40人ごとに1人追加配置)

サービス管理責任者(サビ管)は、サービス提供計画の作成や提供内容のチェック・見直しなど、療養介護のサービス全体を管理・監督する責任者です。療養介護事業所では、利用者の人数に応じて以下のようにサービス管理責任者を配置しなければなりません:

  • 利用者数が60人以下の場合:サービス管理責任者1名以上
  • 利用者数が61人以上の場合:利用者が60人を超えてから40人ごと(端数は切り上げ)にサービス管理責任者を1名追加配置

例えば、利用者が80人の施設ではサービス管理責任者2名以上、120人では3名以上が必要です 。配置すべきサービス管理責任者の人数は、原則として前年度の平均利用者数にもとづいて算定します(新規開設の場合は見込利用者数で算定)。

さらに、サービス管理責任者のうち少なくとも1名は常勤(フルタイム)であることが義務付けられています。これは事業規模に関わらず、最低1人は常勤のサビ管を置いて利用者支援の質を安定させるための措置です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 管理者は医師であること: 療養介護事業所の管理者は医師でなければなりません医療的ケアが中心となるサービスのため、医師が施設の管理運営に携わることが求められています。
  • 人員配置計画に余裕を持つ: 人員配置基準は最低ラインであることに留意しましょう。利用者の状態が重度なほど、基準以上の人員配置が求められる場面もあります。特に看護職員と生活支援員は手厚く配置することで、利用者に安心・安全なサービスを提供できます。また、常勤職員を最低1名ずつ配置するルール(生活支援員・サビ管)も忘れず遵守し、人員計画を立てることが大切です。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。