「療養介護」の指定基準(第50条第5項①〜④)をやさしく解説
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今回は障害福祉サービス「療養介護」に関する指定基準のうち、第50条に規定されたポイント(特に解釈通知でいう(5)の①〜④)について、シンプルにやさしく解説します。療養介護事業を運営する上で欠かせないサービス提供の単位や人員配置に関するルールを、「なるほど!」と思える記事にまとめました。
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サービス提供の単位とは?(基準第50条第3項)
まず「サービス提供の単位」という言葉が出てきます。 これは簡単に言うと、「1日の中で同じ時間帯にひとまとまりで提供される療養介護サービスのグループ」のことです。通常、1つの療養介護事業所では利用者全員に対し一体的にサービス提供を行いますが、状況によっては同時に複数のグループ(単位)に分けてサービス提供を行う場合があります。例えば、大人数をフロアや場所ごとに分けてケアするようなケースです。この“単位”の考え方は、定員や人員配置を考える上でとても重要な基礎になります。
では、1つの事業所で複数のサービス提供単位を持つにはどういった条件が必要でしょうか? 厚生労働省の通知文書では、次の3つの条件をすべて満たす場合にのみ2つ以上の単位を設置できるとされています。
- ① 同時に2か所でサービス提供を行っており、一体的に行われていないこと。
- ② 単位ごとの利用定員が20人以上であること。
- ③ 単位ごとに必要な従業者(スタッフ)が確保されていること。
以上が「サービス提供単位」の考え方と、複数単位に分けるための条件です。一言でまとめると、「療養介護を同時並行で2グループ以上に分けて提供したいなら、各グループ20人以上で、ちゃんと別々に十分な職員を配置しなければダメ」ということになります。逆に言えば、この条件を満たさない限りは、利用者全員に対しひとつの単位で一体的にサービス提供を行う(1単位運営)のが原則です。
単位ごとの人員配置のルール(基準第50条第4項)
続いて、「サービス提供単位ごとの従業者の配置」に関するルールです。これは先ほど触れた第3項の②と③の条件にも関わる部分ですが、ポイントは「各単位ごとにその単位専属のスタッフをちゃんと確保してね」ということです。
少し専門的な表現では「指定療養介護の単位ごとに専ら当該指定療養介護の提供に当たる者を確保すること」とされています。噛み砕くと、それぞれのサービス単位には、その単位のサービス提供に専念する職員を配置してくださいという意味です。特に重要なのが生活支援員(利用者の日常生活を支援するスタッフ)についてです。各単位のサービス提供時間帯に、その単位専属の生活支援員が常にいる状態を確保しなければなりません。
例えば、ある単位のサービス提供時間が1日8時間だったとしましょう。この8時間ずっと専属で働く生活支援員を1人置けばOKです。しかし、もし生活支援員が半日ずつ交代で専従するような場合はどうでしょうか? 仮にAさんとBさんがそれぞれ4時間ずつ専従で担当するなら、2人で1単位分の配置が必要という計算になります。要は、専従スタッフが常に途切れないように、人員をシフトや時間配分で調整しつつ配置してください、ということです。
このルールは、一見当たり前のようですが、複数単位を運営する場合に特に注意が必要です。片方の単位の職員がもう片方の単位も兼任してフラフラ行き来…というようなことが起こると、専従配置とは言えなくなります。利用者の安心安全のためにも、「このグループの面倒を見るスタッフはちゃんとこのグループ専属」と決めて配置するよう求められているわけですね。
複数単位運営時の常勤職員配置(基準第50条第5項)
次は「常勤の従業者の配置」についてです。これも複数単位を同時に運営するケースに関係するルールで、簡単に言えば「同時並行で走っているサービス単位の数だけ、常勤の職員を確保しなさい」という決まりです。
例えば、1つの療養介護事業所で2単位のサービス提供を同時に行っているとします(つまり2グループの利用者に並行して療養介護を提供)。この場合、その事業所には常勤の(例えば生活支援員)従業者が2人以上必要になるということです。もし3単位同時なら3人以上の常勤職員、と単位数に応じて必要人数が増えます。
従業者の員数に関する特例(基準第50条第7項・第8項)
具体的には、次の2つのケースに該当する施設が対象になります。
指定医療型障害児入所施設との一体運営の場合
まずひとつめは、「指定医療型障害児入所施設」としての指定も受けている施設が対象です。つまり、障害児向けに医療と生活支援を提供していた施設が、18歳以上の方も受け入れられるよう「療養介護」として再編されたようなケースです。このような施設では、児童福祉法に基づく「指定医療型障害児入所施設の人員基準(省令第52条)」を満たしていれば、療養介護に必要な人員基準もクリアしているものと“みなされる”ことになります。
もう少しやさしく言い換えると、「子ども向けにしっかりと人を配置していた施設なら、大人向けの療養介護になっても、そのままの配置でOKですよ」ということです。これは、すでに高いレベルの医療支援体制が整っている施設にとって、大きな負担軽減になります。
指定発達支援医療機関の場合
ふたつめは、「指定発達支援医療機関」として指定されている医療機関です。こちらも同様に、発達障害のある児童に対して医療や訓練などの支援を行ってきた施設で、適切な人員体制を確保している場合、療養介護においても人員基準を満たしていると“みなされる”という特例が設けられています。ポイントは、「発達支援医療機関として、ちゃんと必要なスタッフを確保していれば、それでよしとしますよ」という運用です。
この特例の意義
この特例があることで、障害児入所施設などに長期入所していた方が、18歳の誕生日を境に突然サービスから外されることを防げるようになります。また、施設側としても、療養介護としての人員配置基準を一から満たし直す必要がないため、スムーズに指定を受けることができるというメリットがあります。これは特に、既存の医療・福祉施設が、療養介護事業を新たに立ち上げる際にも大きな追い風となるでしょう。事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- サービス提供単位の考え方:療養介護では、通常は利用者全員を一体でケアする1単位運営です。同時に2単位以上に分けて運営したい場合は、各単位20人以上・専属スタッフ配置など厳格な条件を満たす必要があります。規模拡大を考える際はこの条件を要チェックです。
- 単位ごとの人員配置:利用者に安心安全なサービスを提供するため、各単位ごとに常に専任の生活支援員等がいる状態を作ることが求められます。シフトを組む際は「その単位に今この時間帯は誰が専従で入っているか」を明確にし、人員が手薄にならないようにしましょう。
- 常勤職員の配置数:仮に2単位を同時提供するなら常勤スタッフも最低2名必要、と覚えておきましょう。サービス管理責任者以外で常勤の方を増やす必要があるため、人件費や採用計画にも影響します。「単位=常勤職員1人以上」は事業運営上の計算に入れておくべきポイントです。
- 人員基準の特例の活用:医療型障害児入所施設や発達支援医療機関としてすでに適切な人員体制を整えている施設であれば、その人員基準をもって療養介護の人員基準を満たしたものとみなされる特例があります新たに人員を追加せずに療養介護への参入が可能になる場合もあるため、事業転換や多機能化を検討している法人は制度上の利点として計画段階から確認すべきです。特に「18歳の壁」への対応を意識した受け皿づくりとして、地域福祉にも大きく貢献できます。
