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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第四(療養介護) 1 人員に関する基準 (6) サービス管理責任者と他の職務との兼務について

ービス管理責任者は他職務を兼務できる?療養介護での専従ルールと例外を解説


記事の概要:
障害者福祉サービス事業所に配置が義務付けられているサービス管理責任者(いわゆる「サビ管」)は、基本的にその職務に専従することが求められます。つまり原則としてサービス管理責任者は他の職種を兼務できない決まりです。サービス管理責任者は利用者一人ひとりの支援計画(療養介護計画など)を作成し、サービスの提供状況を客観的に評価する重要な役割があるため、現場で直接ケアを行うスタッフとは別の存在であることが望ましいからです 。しかし、「絶対に他の仕事をしてはいけない」というわけではありません。利用者へのサービス提供に支障がなければ、サービス管理責任者が他の職務を兼務することも認められています。本記事では、この専従の原則と兼務の条件について、厚生労働省の基準(基準第50条第6項)の内容に沿ってわかりやすく解説します。

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サービス管理責任者とは何か?役割と配置基準

まず、サービス管理責任者(サビ管)とは何でしょうか。サービス管理責任者は、障害者総合支援法に基づき障害者福祉サービス事業所ごとに配置が義務付けられている職種です。具体的な業務内容は、利用者ごとの個別支援計画(例えば療養介護計画)の作成、サービス提供内容の確認や評価、スタッフへの助言など多岐にわたります。事業所で提供する障害者向けサービスの質を管理・向上させるという重要な役割もまた、担っています。「サービス管理責任者」という名前の通り、サービス提供の計画と結果に責任を持ち、利用者一人ひとりが適切な支援を受けられるよう管理します。

サービス管理責任者の配置基準(必要人数)は提供するサービスの種類によって異なります。多くの日中活動系サービス(例:生活介護、自立訓練、就労支援など)では利用者60人につき1人のサビ管配置が必要ですが、グループホーム(共同生活援助)では利用者30人につき1人と厳しめになっています。例えば生活介護事業所で利用者が60名の場合はサビ管1名で足りますが、グループホームで30名の場合はサビ管1名が必要、31名になると2名必要になる計算です。このようにサービスによって基準が異なる点に注意しましょう。

原則は専従:サビ管は自分の仕事に集中するのが基本

障害福祉サービス事業所のスタッフ(従業者)は、原則として専従、つまりそれぞれ自分の職務に専念することが求められます。特にサービス管理責任者については、「基本的に他の職務を兼ねてはならない」と定められています。なぜそこまで専従が原則とされるのでしょうか?

ポイントは、サービス管理責任者の仕事の重要性と客観性にあります。サービス管理責任者は、利用者ごとの課題を把握し、その人に合った支援計画(例えば療養介護計画)を立て、定期的にモニタリングして効果を評価する、といった専門的かつ重要な業務を担います。もしサービス管理責任者が自分も日常のケア(生活支援など)に追われてしまうと、サービス全体を冷静に見渡して計画を練る時間や心の余裕がなくなるかもしれません。また、自らケアに入ってしまうと、そのサービスの評価を客観的に行うことが難しくなる恐れもあります。たとえるなら、サッカーチームで監督が選手を兼任するようなもので、自分がプレーしながら全体の指揮を執るのは大変ですよね。

こうした理由から、基準ではサービス管理責任者は直接支援を行うスタッフ(例えば生活支援員)とは別の者であることが望ましいとされています。要するに、「サービス管理責任者さんはサービス管理責任者の仕事に集中してくださいね。他の業務と掛け持ちするとサービスの質に影響が出かねませんよ」というのが原則の考え方です。

例外的に認められる兼務:条件を満たせばOK

専従が原則とはいえ、現実には人手や経営上の事情で一人が複数の役割を担わざるを得ない場面もあります。そこで基準でも一定の条件下では兼務が認められる余地を設けています。

ポイントとなるのは「利用者に対するサービス提供に支障がない場合」という条件です。言い換えれば、サービス管理責任者が他の仕事を掛け持ちしても、利用者への支援が疎かになったり質が落ちたりしなければ、兼務しても良いですよ、ということです。

例えば、小規模な事業所で利用者数もそれほど多くない場合、サービス管理責任者が日中の一部時間を他のケア業務にあてても問題なく回っているケースもあるでしょう。そのような場合には、サービス管理責任者が同じ事業所内で別の職務(例:生活支援員や世話人など)を兼務することが可能です。

ただし、兼務が許されるのは「サービス提供に支障がない」ことが大前提です。この判断は事業所ごとに慎重に行う必要があります。利用者やほかのスタッフから見て「サビ管さんが他の仕事で忙しすぎて計画作成やモニタリングが回っていない」ような状況では、まさに支障が出ていると言えます。その場合は兼務はNGとなります。

もう一つ、兼務に関する重要なルールがあります。それは「サービス管理責任者が他の職務を兼務する場合、その兼務先の職務については常勤換算上、その人の勤務時間を含めてはいけない」という決まりです。少しわかりにくいので例を使って説明します。

たとえば、ある療養介護事業所で生活支援員の必要人数を算出する場合、常勤換算(フルタイム相当の勤務時間ベース)で計算しますよね。ここで、サービス管理責任者Aさんが生活支援員を兼ねているケースを考えてみましょう。制度上のルールでは、Aさんが生活支援員として働いた時間は、生活支援員の常勤人数にはカウントできません。サービス管理責任者として配置されているAさんが他の職務(ここでは生活支援員)を兼務していたとしても、その兼務分の勤務時間は「あくまでおまけ」扱いとなり、生活支援員の人員配置上はなかったものとして扱います。

つまり、一人の人間が二役をこなしていても、人員配置基準上は「サビ管としてはカウントされるが、支援員としてはカウントされない」ということになります。要は、兼務による人件費節約の抜け道は用意されていないということです。他の職務と掛け持ちすることで人員配置基準を満たしていないのに見かけ上クリアしたことにする――そんなことはできません。兼務を認める代わりに、「それならその分の人は居ないものとして数えてね」とルール化されているのです。この点は実務上とても重要なので押さえておきましょう。

複数事業所でのサービス管理責任者兼務:上限は利用者60人分まで

サービス管理責任者の兼務には、「同じ事業所内で他職務を兼ねる」場合だけでなく、「複数の事業所でサービス管理責任者を掛け持ちする」というケースもあります。特に、事業規模が小さい障害福祉サービス事業者の場合、サビ管の有資格者を新たに何人も確保するのは大変なので、一人のサービス管理責任者で二つの事業所を見られたら…と考えることもあるでしょう。これも一定の条件下で可能です。

厚労省の基準では、1人のサービス管理責任者が担当できる利用者数の上限を60人までとしています。裏を返せば、60人分の利用者範囲内であれば、一人のサービス管理責任者が複数の事業所のサビ管を兼務することも認められるということです。

具体例として、厚労省の通知では次のようなケースが示されています。

例: 利用者が20人の指定療養介護事業所のサービス管理責任者が、利用者10人のグループホーム(指定共同生活介護事業所)のサービス管理責任者を兼務する場合


上記の例では、20人+10人で合計30人の利用者を一人のサビ管がカバーすることになります。合計人数30人であれば、60人の上限範囲内ですから一人でも対応可能というわけです。療養介護とグループホームといった異なるサービス種別間であっても、この人数の範囲内であれば兼務OKという点が重要です。

なお注意したいのは、大規模な事業所では、専従かつ常勤のサービス管理責任者(=1人目)をまず配置する必要があるという点です。その上で、追加配置が必要な場合(2人目以降)に限って、他事業所との兼務で補うことが認められます。

一方、小規模な事業所であれば、各所の「メインのサビ管」を1人の職員が兼ねることも可能です。実際に通知では、療養介護20人+宿泊型自立訓練10人の例が示されており、合計60人以内であれば、一人のサビ管が両事業所の主担当を兼務することができるとされています。

まとめ: 専従と兼務ルールの目的は「サービスの質確保」

以上、サービス管理責任者と他の職務の兼務に関する決まりを見てきました。専従が原則で例外的に兼務OKとはいえ、少し複雑に感じられたかもしれません。しかし、一貫している目的は「サービスの質と利用者の安心を確保すること」です。サービス管理責任者が本来業務に専念できなかったり、担当利用者が多すぎたりすると、どうしても目が行き届かなくなってしまいます。法律や基準はそれを防ぐためにあるのだ、と考えると「なるほど、だから専従が基本なんだな」と腑に落ちるのではないでしょうか。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • サービス管理責任者は専従が基本:サビ管は障害者支援における要のポジションです。原則として他の職務を兼ねさせず、その仕事に集中してもらう体制を整えましょう 。専従の体制を取ることで、利用者それぞれに合った支援計画の質を高め、サービス全体の向上につながります。
  • 兼務させる場合は「支障がない」ことを最優先に:人手不足などでやむを得ずサビ管に他の業務を兼務させる場合でも、利用者支援に影響が出ない範囲に留めましょう 。兼務によってサビ管の本来業務がおろそかになっては本末転倒です。日々の業務状況を観察し、無理がないか確認することが大切です。
  • 人員配置基準の数字に要注意:サビ管が他職種を兼ねるときは常勤換算での二重計上は禁止です。例えばサビ管が支援員を兼ねても、その分支援員の定数を減らせるわけではありません。「一人二役」で人件費カットだ!と短絡的に考えず、基準上必要な職員数は別途ちゃんと確保しましょう。
  • 一人のサビ管に頼りすぎない:サービス管理責任者1人が担当できる利用者は最大でも60人(グループホームは30人)までです。複数事業所でサビ管を兼任させる場合も、この上限は厳守してください。利用者数が増えてきたらタイミングを見て増員や体制見直しを検討しましょう。基準を満たせない状態が続くと、行政監査で指摘を受けたり、最悪場合によっては報酬の減算(減収)といったペナルティにもつながります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。