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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第四(療養介護) 1 人員に関する基準 (7) 管理者

養介護事業所における「管理者」とは?


記事の概要:
障害福祉サービス事業所に配置が義務付けられている「管理者」は、原則として当該事業所の管理業務に専従することが求められています。つまり、基本的には他の業務との兼務はできないルールです。ただし、すべての兼務が禁止されているわけではありません。管理業務に支障がなければ、一定の条件下で他職種を兼ねることが可能です。本記事では、厚生労働省通知(基準第51条)の内容に基づき、「管理者の専従原則」と「兼務の条件」、さらに「療養介護事業における特例」について、やさしくシンプルに解説します。

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管理者は原則、専従で配置する必要がある

まず前提として、「管理者は常勤で専ら管理業務に従事すること」、つまりその施設の運営管理に専念する人であるべきだということです。

では、なぜ常勤・専従(フルタイムでその仕事に専念)が求められるのでしょうか?それは、障害福祉サービス事業所の運営には利用者の安全管理やスタッフの指導、行政対応などやるべきことが山ほどあり、責任者が腰を据えて取り組む必要があるからです。管理者が他の仕事にかかりきりでは現場のマネジメントが疎かになり、利用者の支援にも支障が出かねません。そのため行政は「管理者はその事業所の管理業務だけに従事すべき」と基準で定めているのです。

管理者が他の役割を兼務できるケースとは?

原則は管理者専任ですが、実際の運営では人手や規模の問題から管理者が別の役割を兼ねるケースもあります。通知では、次のような例外条件なら兼務が認められるとしています:

  • ① 同一事業所内での兼務: 管理者が同じ事業所のサービス管理責任者や職員として働くケースです。たとえば小規模な事業所では、管理者自身がサービス管理責任者(個別支援計画の作成・管理を担う「サビ管」と呼ばれる役職)を兼ねたり、日々の支援業務を一部担ったりすることがあります。事業所の規模によっては人員に余裕がなく、責任者自ら現場に入る方が円滑に運営できる場合もあるでしょう。このような場合、管理業務に支障が出ない範囲であれば兼任可能とされています。実務的には、管理者が現場スタッフを兼ねるときは、管理の仕事(書類作成やスタッフ指導など)がおろそかにならないよう時間配分に注意する必要があります。
  • ② 別事業所での兼務: (療養介護事業所の)管理者が別の障害福祉サービス事業所や障害者支援施設の管理者、サービス管理責任者、または職員を兼務するケースです。たとえば、同じ法人が近接した場所でグループホーム(共同生活援助)と生活介護事業所を運営している場合に、一人の管理者が両方の施設を管理する、といったケースが該当します。重要なのは「特に当該事業所の管理業務に支障がない」と認められることです。つまり、複数の拠点を受け持っても問題なくマネジメントできる体制であることが条件になります。
    • 第一に管理者が当該指定療養介護事業所の利用者へのサービス提供場面で生じる事象を、適時かつ適切に把握できる体制であること。たとえば、現場でトラブルや業務の変化があった際に、管理者がそれを迅速に把握し、判断を下せる距離感・仕組みがあるかが重要です。
    • 次に、職員や業務について、一元的な管理・指揮命令が支障なくできる状態であること。兼務することで現場の指揮系統が混乱しないよう、組織内の役割分担や意思疎通の仕組みが整っていることが求められます。
    • 最後に、事故発生時などの緊急時には、事前に定めた対応フローに基づいて、管理者自身が必要に応じて速やかに出勤できる体制が整っていること。たとえば、夜間や休日でも対応可能なように連絡網やシフト調整が行われている必要があります。

経営効率の面から複数事業所で管理者を兼ねたい場合もあると思いますが、その際は現場運営に支障をきたさない範囲でという条件を忘れないでください。

療養介護事業所の管理者は医師でなくてはダメ

通知の中で特に触れられているのが、「療養介護」サービスにおける管理者の資格要件です。療養介護とは、重度の障害者の方で長期にわたり医療ケアと介護が必要な方に対し、主に病院等の医療機関で提供される障害福祉サービスです。

この指定療養介護事業所については、その性質上「事業所=病院」であるため、管理者は医師でなければならないと規定されています。平たく言えば、病院の院長先生クラスの人が管理者になる必要があるということです。通常、障害福祉サービスの管理者になるために特別な国家資格(例えば社会福祉士や看護師など)は求められません。極端に言えば、経験さえあれば資格のないオーナーでも管理者になることが可能です。しかし療養介護だけは別で、医療提供施設である以上、トップが医師でないと適切な医療管理ができないという理由からこの要件が設けられています。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 常勤専従の管理者を確保する: 障害福祉サービス事業では、各事業所にフルタイムで現場管理に専念できる「管理者」を置くことが義務です。起業の際は、自分自身または雇用するスタッフの中からこの管理者を一本立ちできる人員を確保しましょう。管理者不在や他業務で手一杯の状態は基準違反となり、指定が受けられなかったり運営停止のリスクもあります。
  • 他業務の兼任は計画的に: 管理者がサービス管理責任者等を兼任する場合は「管理に支障がないこと」が鉄則です。小規模事業所では管理者=サビ管のケースが多々ありますが、書類業務や現場対応がおろそかにならないよう業務体制を整えましょう。また、複数事業所の管理者を一人で兼ねる場合は、事業所ごとに十分な時間配分ができるか慎重に検討してください(必要なら人員配置を増やす決断も重要です)。
  • 療養介護は医師が必要: 医療的ケアを提供する療養介護事業では、管理者として医師を充てる必要があります。このサービスへの新規参入を検討する場合、医師の確保や医療法人との連携が不可欠です。他の障害福祉サービスでは資格要件は緩やかですが、療養介護だけはハードルが高い点を覚えておきましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。