スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第四(療養介護) 3 運営に関する基準 (12) (13) (14) (15)

害福祉サービス「指定療養介護」運営基準(第63条〜66条)をやさしく解説


記事の概要:
厚生労働省の通知には、指定療養介護事業者が守るべき詳細な基準(障害福祉サービス基準第63条〜66条)の趣旨と具体的な内容が説明されています。この記事では、その通知に沿って第63条から第66条までのポイントをやさしくシンプルに解説します。基準の目的を正しく理解し、現場で適切に活かすことで、利用者に安心・安全で質の高いサービスを提供できるでしょう。

▶︎ 療養介護 関連記事まとめページはこちら

基準第63条「その他のサービスの提供」

第63条では、療養介護事業所が通常の介護だけでなく、利用者の生活を豊かにするための取り組みを行うよう求めています。具体的には次の2点です:

  • レクリエーション行事の実施: 事業者は利用者のために、適宜レクリエーション活動(例:野外活動、音楽や映画の鑑賞会、季節のイベントなど)を行うよう努めなければなりません。毎日の介護が画一的で単調なものにならないように、利用者それぞれの趣味・嗜好に合わせた活動の機会を作ります。これは利用者の心身のリフレッシュやQOL(生活の質)向上につながります。
  • 利用者の家族との連携: 事業者は常に利用者のご家族との連絡や連携を図り、利用者と家族が交流できる機会を確保するよう努めなければなりません。例えば、事業所だより(会報)を定期的に家族へ送ったり、施設で開催する行事に家族を招待したりします。また、家族が面会しやすいように面会の時間帯や場所を配慮することも大切です。家族との絆を保つことで利用者の精神的な安定や安心感につながり、家族も施設の様子を知ることができます。

療養介護の利用者にとって、日々の生活に楽しみや変化を持たせることは心のケアに不可欠です。レクリエーションを提供するのは、施設が単に介護をするだけの場にならず、利用者が自分らしく充実した生活を送る手助けをするためです。また、家族との関係を大切にする趣旨は、施設に入所していても家族とのつながりや愛情を感じられる環境を維持することにあります。利用者本人の安心感や人生の充実のため、事業者にはこのような配慮が求められています。

事業所では、余裕のある範囲で定期的にイベントを企画しましょう。大掛かりなものでなくても、季節ごとの小さな催しや趣味活動の時間を設けるだけでも効果があります。利用者一人ひとりの興味を把握するために個別支援計画に好きなことを盛り込み、職員みんなでアイデアを出し合うと良いでしょう。また、月刊ニュースや写真付きのお便りを家族に送り、遠方であっても利用者の日常の様子を共有します。コロナ禍など直接会えない時期でも、電話やオンライン面会など工夫して家族との交流を続けることが大切です。このような取り組みは運営基準で努力義務とされていますが、結果的に利用者満足度の向上や信頼関係の強化につながります。

基準第64条「緊急時等の対応」

第64条では、利用者の容体が急変した場合など緊急時の対応について定めています。療養介護は医療的ケアが必要な方が多いため、事業者および従業員はサービス提供中に利用者の病状が急に悪くなったときやその他緊急の必要が生じたときには、速やかに適切な対応を取らなければなりません。具体的には、事前に定めた緊急対応マニュアル(運営規程の一部)に従って、近隣の提携病院や主治医、救急車など専門の医療機関へ連絡を行い、必要な処置を講じることが求められています。

事業所ごとに緊急時対応マニュアルを作成し、全職員に共有・周知しておきましょう。マニュアルには「急変時の連絡先(医師、救急、家族)」「対応の手順(バイタル測定、応急処置、記録報告)」などを具体的に定めます。また、定期的に緊急時対応の訓練(スタッフ間のシミュレーションや救急蘇生法の講習)を実施すると、いざという時に落ち着いて行動できます。夜間や少人数勤務の際の対応も決めておき、連絡網の整備や救急セットの備置も忘れずに。ポイントは、「迷ったらすぐ連絡・相談」という意識づけを職員に浸透させることです。利用者の命と健康を守るため、迅速な判断と対応ができる環境を整えておきましょう。

基準第65条「市町村への通知義務」

第65条では、利用者に関する重大な事態が発生した場合に、市町村(利用者の住所地の自治体)へ報告する義務について定めています。事業者は、療養介護サービスを受けている利用者が以下のようなケースに該当したとき、遅滞なく(できるだけ早く)その旨を意見書を添えて市町村に通知しなければなりません。

  • サービス不履行による状態悪化: 利用者が正当な理由もなく事業所からの介護や療養上の指示に従わず、その結果として障害の状態などが悪化したと認められる場合。例えば、医師やスタッフの指導を故意に無視して治療を拒否し、症状が重くなったケースなどが考えられます。
  • 給付の不正受給(詐欺): 利用者が虚偽や不正な手段によって介護給付費や療養介護医療費などの支給(公的なサービス費用負担)を受けた、または受けようとした場合です。いわゆるサービスの不正利用で、虚偽申告により本来受けられない給付を受け取ったケースが該当します。


この規定の背景には、公的資金の適正な利用と利用者の適切な支援の確保があります。利用者がサービスの利用契約や指示を守らずに状態を悪化させた場合、事業所だけで抱え込んでいては利用者にとっても危険です。市町村への報告によって、自治体が状況を把握し、必要に応じてケアプランの見直しや指導を行うことができます。また、不正受給は限られた福祉財源を損ねる行為です。事業者からの通知は、市町村が不正を把握し、法に基づき不正に受け取った額の返還請求など適切な措置を講じるために不可欠です。つまり、この条文はサービスの公正さと利用者の適正利用を守るため事業者に課せられた責務と言えます。

基準第66条「管理者の責務」

第66条では、指定療養介護事業所の管理者(施設長のような立場の人)の責任について定めています。管理者はその事業所における運営全般の取りまとめ役であり、具体的には次のような責務があります:

  • 事業所内の管理業務を一元的に行う: 管理者は、事業所の従業員の管理(スタッフの勤務状況の把握や指導)やサービス提供の状況把握など、施設運営に関わる様々な管理業務を一括して担当します。つまり、サービスの質を維持し、安全で適切な運営がなされているか常に目を配り、必要に応じて改善します。
  • 運営基準遵守の指揮命令: 管理者は、自施設のスタッフに対して、国が定めた運営基準や関係法令を遵守させるための指示・命令を行う義務があります。簡単に言えば、「ルールを守って業務を行うように現場に指導する」役割です。例えば、新人職員に運営基準を教えたり、内部研修で法令遵守について周知徹底したり、不適切な対応があれば是正を命じたりします。

療養介護のような高度なケアを提供する場では、施設運営が複雑になりがちです。誰かが全体を見渡して統括しないと、責任の所在が不明確になり、サービス品質のばらつきや事故につながる恐れがあります。そこで管理者を置き、その人が一元管理することで、職員間の連携ミスを防ぎます。また、法律や基準を現場に浸透させるためには、管理者がリーダーシップを取って現場を指揮監督することが不可欠です。この条文の趣旨は、管理者が単なる名義上の存在ではなく、現場の舵取り役として機能し、基準遵守とサービス向上に努めてもらうことにあります。

管理者は、毎日の業務ミーティングや書類チェックを通じて、スタッフの動きや利用者の状態を把握しましょう。定期的に運営基準やマニュアルの確認を行い、職員に必要な教育・指導を行ってください。例えば、「緊急時対応の流れ」を全員が理解しているか確認したり、「身体拘束の禁止」など重要なルールを周知徹底する場を設けたりします。また、管理者自身も法改正や通知の更新にアンテナを張り、最新の運営基準を把握しておくことが大切です。必要に応じて行政書士や外部研修を活用し、自身の知識をアップデートするのも良いでしょう。現場では時に人手不足などで管理者が実務に追われがちですが、「現場全体を見る時間を確保する」ことが質の高い運営のカギです。管理者のリーダーシップ次第で施設の運営水準が決まると言っても過言ではありません。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 利用者のQOL向上を意識したサービス提供: 単調な介護にならないように工夫し、レクリエーションや家族交流の機会を積極的に作りましょう。利用者の笑顔が増える取り組みは、事業所の評価向上にもつながります。
  • 緊急時対応の準備と訓練: 「いざという時どうするか」をスタッフ全員で共有し、定期的に訓練しておくことが重要です。運営規程に沿った対応策が取れるよう、連絡先リストやマニュアル整備を怠らないでください。
  • 不正や利用拒否への適切な対処: 利用者に不正利用の疑いがある場合や、支援拒否で状態悪化が懸念される場合は、早めに自治体と相談・連携しましょう。問題を把握したら速やかに市町村へ報告することが義務であり、サービスの公正さを守る姿勢が求められます。
  • 管理者のリーダーシップ発揮: 管理者は事業所の要です。スタッフへの声かけ、ルール遵守の指導、サービス品質のチェックなど、リーダーとして積極的に現場を動かしましょう。運営基準を単なる書面上のものにせず、現場で生かすも殺すも管理者次第です。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。