療養介護の定員遵守(基準第69条)とは?定員オーバーの条件と例外をわかりやすく解説
記事の概要:
療養介護は、重い障害がある人が長期間入院に近い環境で介護や医療的ケアを受ける障害福祉サービスです。その療養介護サービスを提供する施設(療養介護事業所)には、あらかじめ「利用定員」と呼ばれる受け入れ可能な人数の上限が決められています。この記事では、この利用定員を守る義務(定員遵守)について、シンプルにやさしく解説します。なぜ定員を超えて利用者を受け入れてはいけないのか(定員オーバーがNGな理由)、そして例外的に定員オーバーが認められる条件があるのかを制度のルールに沿って説明します。
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療養介護の利用定員とは何か
療養介護事業所には「利用定員」というものが設定されています。これはその事業所が同時にサービスを提供できる利用者の最大人数のことです。簡単に言えば、その施設で一度に受け入れ可能な障害者の人数上限です。療養介護では多くの場合、病院等の施設内に専用の病室があり、そのベッド数が利用定員になります。例えばベッドが10床ある療養介護事業所であれば、利用定員は10名です。
定員遵守の基本ルール(基準第69条)
障害福祉サービスの運営基準(基準第69条)では、療養介護事業所は利用定員を超えて利用者を受け入れてはならないと定められています。つまり定員オーバーは原則禁止です。このルールがあるのは、定員以上に受け入れるとベッドやスタッフが足りなくなり、利用者への適切なケアができなくなる恐れがあるためです。イメージとしては、50人までのバスに60人を乗せるようなもので、安全・安心なサービス提供が難しくなります。療養介護では特に医療的ケアや介護体制が必要なため、定員遵守は利用者の安全とサービス品質を守るための重要な決まりです。
もし理由もなく定員を超える運営を続けると、行政から指導を受けるなど事業継続に支障が出る可能性があります。事業者は常に自分の施設の定員を把握し、その範囲内でサービスを提供することが求められます。
定員オーバーが認められる例外条件
とはいえ、現場では「どうしても受け入れざるを得ない」状況もありえます。そうした場合に備え、制度上はやむを得ない事情があるときに限って、例外的に定員オーバーが認められる仕組みが設けられています。具体的には、たとえば地域に他の受け入れ先がなく、新規利用者の行き場がない場合などが該当します。
ただし、これはあくまで適切なサービス提供が確保されていることが前提です。受け入れ人数が増えても、スタッフ配置や設備状況に無理が出て、ケアの質が落ちてしまっては本末転倒です。あくまで緊急措置として、サービスの質と安全性が担保されているときに限り、以下のような条件を目安に受け入れ可能とされています。
① 1日あたりの利用者数の上限
- 利用定員が50人以下の事業所の場合:
1日あたりの利用者数が、当該単位ごとの定員の110%以内であること。
例:定員10人なら最大11人、定員30人なら最大33人、定員50人なら最大55人まで。
- 利用定員が51人以上の事業所の場合:
「定員から50を引いた数 ×105%」+55という計算式で出た人数が1日あたりの上限になります。
例:定員60人なら(60−50)×105%=10.5、これに55を加えて最大65.5人まで。
定員100人の場合なら、(100−50)×105%=52.5、+55=最大107.5人までとなります。
この方式は、施設が大きくなるほどわずかに受け入れ余地が広がる設計になっています。
② 過去3か月間の延べ利用者数の上限
こちらは、過去3か月の実績として、延べ利用者数(各日の利用者数を合計した数)が、
定員 × 開所日数 ×105%以内
であることを条件とするものです。
簡単に言えば、「長期的に見ても、定員の105%を超えて常に超過している状態ではいけない」という趣旨です。あくまで一時的・例外的に、平均して5%以内の軽度な超過に収まっていれば良い、という考え方です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 療養介護事業所は定員内で運営するのが原則:利用定員(受け入れ可能人数)は必ず守る。無断の定員オーバーは違反。
- 定員オーバーは例外的に可能だが条件あり:災害等のやむを得ない事情がある場合のみ、一定の条件下で定員を超えた受け入れが認められる。
- 具体的な例外条件を遵守:1日の利用者は定員の110%以内(利用定員50人以下の場合)、かつ、3か月合計でも定員の105%以内に収める必要がある。サービスの質が維持できる範囲内でのみ超過が許される。
- 超過時は慎重に対応:定員を超える場合は事前に対策を講じ、必要に応じて行政に相談する。常習的な定員超過は厳禁で、あくまで緊急措置と心得る。
【免責事項】
