療養介護における衛生管理(基準第71条)をわかりやすく解説
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療養介護の現場では、職員も利用者も健康に過ごすために衛生管理がとても大切です。特に、重度の障害者の方が利用する療養介護では、インフルエンザなどの感染症や食中毒が広がると命に関わる危険もあります。そこで厚生労働省は、障害福祉サービスの運営基準(基準第71条)で、療養介護事業所の衛生管理に関するルールを定めています。感染症対策の具体例や押さえるべきポイントをシンプルにやさしくシンプルに解説します。
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職員の清潔保持と健康管理
まず何より、療養介護事業所では職員(スタッフ)の清潔さと健康状態をきちんと管理することが基本です。職員が不衛生だったり体調不良のまま働いていると、利用者に病気をうつしてしまうリスクがあります。例えば、インフルエンザにかかった職員がマスクもせずに仕事をすると、他の職員や利用者に感染が広がってしまいます。こうした事態を防ぐため、職員自身が感染源とならないように日頃から健康管理を行い、手洗いやうがいなど衛生習慣を徹底する必要があります。また、発熱や嘔吐など体調不良の症状がある場合は無理に出勤せず、休養を取らせるなどの対応も大切です。
手洗い設備や感染予防の備品を準備
職員の衛生管理を徹底するには、適切な設備や道具(備品)を用意することも必要です。特に、職員がすぐに手を洗える場所を確保することが重要になります。事業所内のトイレやケアの現場近くに手洗い用の洗面台を設置し、石けんやアルコール消毒液を常に使えるようにしておきましょう。使い捨て手袋やマスク、エプロンなどの感染予防のための備品も十分に揃えてください。
例えば、排泄介助や食事の配膳の際には使い捨て手袋を着用し、作業ごとに新しい手袋に交換することで、職員から利用者への感染リスクを減らせます。また、調理業務がある場合には、調理スタッフが手袋や帽子を着用し、器具の消毒や食品の温度管理を徹底することで食中毒を防ぐことができます。
保健所との連携と感染症ごとの対策
施設内の取り組みだけでなく、外部機関との連携も衛生管理では重要です。療養介護事業者は、地域の保健所と日頃から緊密に連絡を取り、必要に応じて助言や指導を受けることが求められています。普段から保健所と情報交換をしておけば、施設で感染症や食中毒の疑いが出たときにすぐ相談でき、拡大を防ぐ適切なアドバイスをもらえるでしょう。
また、インフルエンザやO157による食中毒、レジオネラ症など、それぞれの感染症について厚生労働省から対策のガイドラインが示されています)。これらに基づき、例えばインフルエンザの流行期には職員に予防接種を受けてもらう、レジオネラ症対策として入浴設備の定期清掃と塩素消毒を行う、といった具体的な対策を講じましょう。最新のガイドラインを把握しておくことで、適切な感染症対策を迅速に実践できます。
施設の環境を清潔・快適に
最後に、施設そのものの環境管理も衛生管理に欠かせません。療養介護事業所では、室内の温度や湿度を適切に保つことが求められています。なお、厚労省の通知にも、空調設備で適切な温度を保つよう明記されています。暑すぎたり寒すぎたりする環境では体調を崩しやすく、湿度が高いとカビや細菌が繁殖しやすくなります。エアコンや換気設備を活用して、季節を問わず快適な室温・湿度を維持しましょう。
また、定期的な換気や清掃によって施設内を清潔に保つことも大切です。空気の入れ替えを行い、床や手すりなど人が触れる場所は消毒を行うなど、病原体がたまりにくい環境作りを心がけてください。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 療養介護事業所では、職員の清潔保持と健康管理を徹底し、職員自身が感染源にならないように努めます。
- 感染症や食中毒を防ぐため、手洗い設備を整え、石けん・消毒液・手袋など必要な備品を十分に用意します。
- 日頃から保健所と密接に連携し、インフルエンザや食中毒等のガイドラインに沿った感染症対策を行います。
- 空調や換気で施設内の環境を快適に保ち、清掃・消毒を徹底して病原体の繁殖を防ぎます。
