療養介護におけるサービス管理責任者の責務とは?障害福祉サービス起業者向けガイド
記事の概要:
本記事では、「療養介護」におけるサービス管理責任者(いわゆる「サビ管」)の責務について、シンプルにわかりやすく解説します。療養介護事業を運営する事業者やこれから障害福祉サービス事業の起業を考えている方に向けて、押さえておきたいポイントを整理しました。サービス管理責任者の役割は事業の質を左右する重要なものです。
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サービス管理責任者の責務(基準第59条)の解説
療養介護は、重度の障がいがあり医療的ケアが必要な方に対し、医療と介護を一体的に提供する障害福祉サービスです。療養介護サービス提供事業所では、サービス管理責任者という担当者を配置し、個々の利用者ごとに適切な支援計画(療養介護計画)の作成やサービス提供の管理を行います。そのサービス管理責任者の役割について、厚生労働省の定める基準第59条では次のように規定されています。
基準第59条の概要: 「サービス管理責任者は、前条(※療養介護計画の作成等)に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行うものとする」とされ、主に3つの責務が挙げられています。- 利用申込時の状況把握: 利用申込者(これからサービスを利用しようとする人)の申し込みに際し、その方が他に利用している障害福祉サービスがあるかどうか、また心身の状態はどうかといった情報を把握すること。簡単に言えば、「サービスの利用開始前に、利用者の体の状態や、他に使っているサービスについてしっかり調べる」ということです。必要に応じて他のサービス事業者や関係機関に問い合わせ、ケアの全体像をつかみます。この状況把握により、利用者にとって最適な支援を計画する土台を作ります(制度の趣旨として、サービスの重複利用を避け効率的・適切な支援を行う狙いがあります)。
- 自立生活への移行支援: サービス利用中は、定期的に利用者の状態を見直し、「この方は施設を退所(退院)して地域で自立した生活ができるだろうか?」をチェックします。もし「自立した日常生活が営める」とサービス管理責任者が判断した利用者については、地域生活へ移行するための支援を行います。つまり、「利用者さんが自分の家や地域で暮らせるようになる見込みがあれば、おうちに戻るお手伝いをする」ということです。具体的には、家族や相談支援専門員と協力して退所後の住まいや在宅サービスの調整をしたり、必要な手続きを支援したりします。この責務は、利用者の可能な限りの自立を促し、障害のある方の地域生活への移行を進めるという制度の趣旨に基づいています。定期的な点検は少なくとも半年に一度程度行い、状況が変われば療養介護計画の見直しや変更も検討します。
- 従業者への技術的な指導・助言: 現場で直接ケアにあたる職員や従業者に対して、専門的な立場から技術的な指導や助言を行うこともサービス管理責任者の大切な役割です。平たく言えば、「スタッフに対してケアのやり方を教えたりアドバイスしたりする」ことです。例えば、新人職員に対して療養介護計画に沿った介護の手順を教えたり、利用者対応で困っている職員に改善策を助言したりします。これによりスタッフ全体のスキルアップとサービス品質の維持・向上が図れます。
以上の3つが、療養介護におけるサービス管理責任者の主な責務です。それぞれ利用者の支援プロセスの異なる場面(利用開始時、サービス提供中の定期見直し、日々の現場支援)に対応しており、サービス管理責任者は利用者一人ひとりの生活を総合的に支えるコーディネーター兼リーダーと言えます。また、障害福祉サービス全般を通して「利用者の自己決定の尊重」や「地域移行の推進」といった理念が背景にあり、サビ管は単に書類上の計画を作るだけでなく現場でその理念を実践する役割を担っています。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- サービス管理責任者の配置要件遵守: 療養介護事業を行うには有資格者をサービス管理責任者として配置することが法律で義務付けられています。事業開始前に必要な資格や研修を満たす人材を確保しましょう(サビ管は他のサービス種別ごとに1名必要です)。定員や利用者数によっては複数名の配置も検討が必要です。
- 利用者情報の適切な収集と共有: 利用申込時には、利用者の心身の状態や他のサービス利用状況を把握するためにアセスメント(事前聞き取りや評価)を丁寧に行います。他のサービス提供者や医療機関から情報をもらう際は、本人・家族の同意を得て連携しましょう。集めた情報はチーム内(管理者・看護師・生活支援員等)で共有し、支援計画に反映させることが大切です。
- 定期モニタリングと計画見直し: サービス管理責任者は、少なくとも半年に一度は利用者と面談するなどして状況の変化を確認し、「この人は地域生活へ移行できそうか?」を評価してください。もし状態が改善して自宅等での生活が可能になりそうなら、早めに関係機関と退所に向けた調整を開始します。逆に状態悪化などで支援内容の変更が必要な場合も、療養介護計画を見直し、サービス内容を修正することが求められます。こうしたモニタリング記録や計画変更の経緯は書面で残しておくと、実地指導や監査の際に説明しやすくなります。
- スタッフ支援と研修の実施: サービス管理責任者自身が忙しい現場業務に追われると、つい職員指導が後回しになりがちです。しかしスタッフへの技術指導や助言はサービスの質を維持向上する鍵です。定期的にケース検討会やミーティングを開き、利用者支援について職員と話し合う場を設けましょう。新人職員にはOJTで丁寧に教え、ベテラン職員からも意見を募ることでチーム全体のスキルアップにつながります。また、サービス管理責任者が主体となって外部研修の受講や内部研修の企画を行うのも効果的です。
- 記録と報告の徹底: サービス管理責任者が行った状況把握や支援内容の検討、スタッフへの指導内容などはできるだけ記録に残しましょう。例えば「〇月×日に○○さんのサービス担当者会議を開催し、他事業所ケアマネと情報共有」「△月□日に看護職員へ医療的ケアに関する指導を実施」等を記録しておけば、後日振り返りや引き継ぎがスムーズになります。事業所内でサービス管理責任者の業務チェックリストや日報様式を用意し、「これだけは押さえておこう」という項目をルーチン化するのがおすすめです。
